Unity1Weekの振り返り「バフ盛り盛り!!毛利先生!!」 (お題:ためる)
Unity1Weekに『バフ盛り盛り!!毛利先生!!』という作品を投稿しました。田きです。以下のリンクから遊べるので初見の方は是非プレイしてくださいね。
このゲームは、棒人間で表される毛利先生がバフを盛って圧倒的ダメージを与えるゲームです。
この記事では、『バフ盛り盛り!!毛利先生!!』の製作をある程度時系列に沿って、乱雑に説明していきます。制作過程はすべて書ききれないため、ハイコンテクストな部分が存在して読みにくいかもです。
そして、投稿した後の振り返りもします。こちらも乱雑に書くため、製作過程と同じことが書かれていることがあります。あらかじめご了承ください。
では目次です。
~0日目
Unity1Weekお題発表前にも、何をしたいか?は考えるようにしています。今回の場合は、以下のようなことをしたいな~と考えていました。
UniRxやUniTaskを活用した作品を作りたい!
ストレスフリーなゲームを作りたい!
少し凝った演出を作りたい!
評価を得たい!!!!!!!!!!!!!
u1wでは見た目を捨てる代わりにゲーム性があって長く遊べる事よりも、ゲーム性が低くとも短時間で遊べて少し嬉しくなれるゲームの方が評価される傾向にあると言われ、実際自分が遊ぶ中でもそう感じました。
そのため、今回はゲーム性以上に短時間で得られる体験や、誰でも遊べるゲームを作ろうと考えました。
1日目前半
2022/9/5 0:00にお題が発表されました。お題は「ためる」です。いつもアイデアだけ出して就寝しているので、今回もアイデア出しのみ行いました。
しかし、評価を狙うためには奇をてらった斬新なアイデアよりも、王道で明確でわかりやすいアイデアを使うべきと考え、「力を溜める」一本に絞りました。
そしておやすみなさい。
1日目後半
おはようございます。
さて、「力を溜める」ゲームを作ろうとしたわけですが、それだけではいまひとつです。
そこで、とにかくたくさんバフを盛るゲームにしよう!と考えました。キーボードやマウスを動かすだけで簡単にバフを盛り、持ったバフの数だけ強力な攻撃を相手に叩き込めるゲームを作ろう!という魂胆です。
草案
さあ何をするか決まったので、どんなゲームにするか草案を書きました。草案を転写すると以下の通りです。
題名:バフを溜めに溜めて超火力をたたき出すゲーム
キーボードを連打したらバフ獲得
マウスを動かしたり、クリックしたら基礎点獲得
制限時間は15秒
キーボードの各キーごとに、一定回数押すとバフゲット
バフには名前と倍率が存在する
タイトルとゲームはシームレスに
バフ盛る演出は過剰に
とどめも過剰に
カットイン+「今から行くぞ!」てきな音声
トランジション的暗転をし、4回切り刻む
トランジション的に暗転が明け、決めポーズ+決め台詞
大爆発、ダメージが下の桁から出現
でかでかとダメージ
他にも、謎のボイスストーリーや道徳的アラインメントによるゲームの分岐のアイデアがありましたが、今回ゲーム性は重視しないことにしたので採用しませんでした。
ゲームを遊んでくださった方ならわかると思いますが、この草案の中には実装されなかったものがあったり、書いてないことが実装されていたりもします。
とどめの演出について
さて、なんかやたらめったらトドメの過剰な演出について多く書いていますね。これは、私が最近(5~6月ごろ)『ソフィーのアトリエ ~不思議な本の錬金術士~ DX』をプレイしていて、プレイ終了後に、技一覧動画を見てどんな演出が盛り込まれているか何回も見ていました。
具体的には、下の動画を何度も何度も見ていました
中でもSpecial Attackは凝った作りになっており、技を使うだけで「なんかすごい!」「カッコいい!」「強そう!」という印象を受けます。
特に「ヴァルキリエ・ロンド」(動画内 https://youtu.be/HSd2-zVfYNc?t=508 )や、「星閃・双流波」(動画内 https://youtu.be/HSd2-zVfYNc?t=575 )は私の印象に残る技でした。
こうした動画をu1w前に見ていたため、妙に具体的に「こういう演出をしたい!!」と考えがあったのでしょう。
他にも、特撮の巨大な敵が巨大ロボにやられるシーンや、ポケモンの技「かたきうち」など、影響を受けている演出はあると思います。
進捗
何を制作するか定めたところで初日はベースとなる棒人間と、ボタンを連打するとバフを獲得できるシステムを作成しました。
二日目
二日目は草案の改良とゲームの制作を行いました。
一日目はやたらとどめの演出にこだわってましたが、二日目はバフ獲得とバフ清算の草案作成をしました。
草案
初期のバフ獲得とバフ計算の草案は以下の通りです。
背景は単色+上に上がる線
基礎点は右上、バフ獲得で右中に表示
盛り上がるBGM、残り5秒でカウントダウン
人がいて、人に溜めるエフェクトをずっと表示
人は常に揺れている
バフ計算では、基礎点が最初に表示される
その後、バフ名とバフ効果が表示されて点数更新
残りバフが少なくなったらトランジションし、とどめパートに移行
もちろん、この草案の中には実装されなかったものがあったり、書いてないことが実装されていたりします。
実装の面では、スタートのカウントダウンとバフ清算パートとトランジション、そして各イベントのタイミングを作成しました
実装内容
今回は、GameManagerという強そうな名前のクラスにタイミングを管理させ、プライヤーや敵、タイマーなどのクラスはGameManagerを参照し、イベントを登録する形の設計を行いました。UniRxをイベントの拡張として利用した形です。
今回の作品では、GameManagerが、ゲーム開始、連打でバフ溜め開始、バフ清算開始など、イベント発火のタイミングをたくさん設定しないといけないのが難点でした。一方、GameManagerはイベント登録のインタフェースと発火タイミングにだけ集中すればよかったため、ほぼほぼゲームのロジックを持つことはありませんでした。
また、棒人間を各シーンに合わせて数枚描きました
立ち、溜め、突撃、斬撃後、斬撃後にとどめを刺すまでの構え、の五つを書きました。
また、巨大な数を扱いそうだと感じたのでBigInteger構造体を調べました。
トランジションのシェーダー作成
トランジションはシェーダーを利用して作成しました。
GradientNoiseを横方向に大きく引き伸ばし、ずらすことでなみなみを表現しました。下の画像では、直線に見えて実は少し丸みを帯びています。
進捗
細かい部分は置いておいて、ゲームの一連の流れを作りました。
三日目
進捗
進捗ツイートを見た方が早いので早速進捗ツイートを貼ります。
三日目はエフェクトの作成と背景の作成、ダメージの表示など、見た目(絵作り)に関する部分を多く作成しました。そして、それをゲームで利用して、草案の内容を実現していきました。
エフェクト
斬撃エフェクトはParticleSystemでz軸に対して回転方向の力を与えつつ、Trailの色を上手い具合に使う事で実現しました。
その他のエフェクトは、外側ほど透明になる丸や星型のテクスチャを作成し、それを徐々に拡大させたり徐々に透明にしたりレインボーな色を付けたりして実装しました。やたらカラフルだったり星型が登場するのは、明らかに前述の『ソフィーのアトリエ 〜不思議な本の錬金術士〜』の技動画に影響を受けています。しかし、ハブをたくさん盛る事と、キラキラしたエフェクトは親和性があると判断し、そのまま採用しました。
背景画像用シェーダー
背景画像は、草原の写真を素材サイトから入手し、シェーダーでその画像の輝度を取得、色を3種類程度に分けていい感じに混ぜました。
空についても、画像と色を変更して同様のシェーダーを利用しました。
これらのシェーダーはかもそば先生の記事を参考……というよりそのまま使いました。
ダメージ演出
ダメージの数字が下の桁から表示される演出は、TextMeshProのパラメータをスクリプトから変更することで実装しました。世の中にはDOTWeenProなるものがあるらしく、それを使うともっと簡単に実装できるようです。
一連の動作
バフ獲得→バフ清算→切り刻み→トドメ演出、と一連の流れを見た目に反映しました。
この部分をさらに肉付けし、演出の過剰さに磨きをかけていこうと思っていました。四日目以降も、エフェクトやタイミングを調整しました。
四日目
ないちさんが公開してくださってるランキングアセットの改造をしたり、棒人間を書いたりしました。
棒人間の加筆
棒人間は突撃の構えが微妙だったり、動きが無かったり、頭や剣が透過していたりと微妙でした。また、棒人間以上のイラストを描ける力も時間も私にはありません。そこで、既存の棒人間をもう一度書き直しました。
立ち、構え、溜め、突撃、斬撃後、斬撃後にとどめを刺すまでの構え、の六つを書きました。
さらに、それぞれをトレースしたものを2枚づつ作成し、順に表示するようにしました。これにより、動いていないけど動きが無いことは無いようにしました。とはいえ、これで生まれるもにょもにょ感が無い方が良い場面もあるので、斬撃後やその後の構えではトレースしたものを使いませんでした。
ないちさんランキングの改造
ないちさんのランキングはすごく使いやすいですが、使っているうちに独自の機能をつけたくなることがあります。私の場合は、特定のキーと特定のアクションを紐づけ、シーンのレイアウトを変更する改造を施しました。
この日の苦悩
ランキングを実装したは良いものの、スコアをどうするか悩みました。というのも、ダメージをそのままスコアにしようと考えていましたが、それだと数字が大きすぎて扱えません。ないちさんのランキングをBigInteger対応にすることも考えましたが、ちょっと面倒だったのでやめました。
そもそも、巨大な数をランキングに表示したところですごさがわかりにくいですし、表示する数を万億兆京などの単位を使ってもいまいちピンとこない部分があります。そのため、ダメージに10を底とした対数を適用し、桁数をランキングに載せることにしました。
これに行きつくまでに長い時間がかかりました。
五日目
今まではメインのゲームだけを制作していましたが、五日目はタイトルと最初にクリックするだけのシーンを作成しました。
進捗
このようになりました。微調整を除き、変更点は最初の20秒程度です。
最初にクリックするだけのシーン?
UnityRoom、というよりWebブラウザの仕様で、突然音を鳴らすことはできません。そのため、プレイヤーにはまず画面をクリックして音が出るようにしてもらわないといけません。そのためのクッションとして、クリックするだけのシーンを用意しました。
なお、「クリックしてください」の文言と、クリックしたらタイトルに遷移する機能以外はついていません。
タイトル画面~Timeline~
タイトル画面では、長らく食わず嫌いしていたTimeLineを使いました。
TimeLineとAnimaterを利用して、UIが音と共に順番に表示されるようにしました。
順々に情報を提示することで全ての情報に目を通されやすい点と、最初に動きが存在すること点で良い印象を与えられたのではないかなと信じています。
特に、Zキー連打でゲーム開始の情報は重要なため、登場→拡大と二段階の画にメーションが存在しています。
なお、音が鳴らなかったのでWebGLではTimeLineから音を鳴らすのは上手くいかないようです。
あるいは、私が適切に音を管理できていないだけかもです。
タイトル画面~ボケ表現~
また、タイトル画面の背景はボケ表現(ゲーム業界ではDepth of Fieldと呼ばれる)を利用しています。これはポストプロセスのDepth of FieldのBokehから設定できます。くっきりした背景にUIを表示するよりも、ボケた背景にUIを表示する方がUIが際立ちます。
写真業界で言うポートレート撮影では、背景をぼかして人物を撮ることで、人物を主人公とはっきりさせます。それと同様の技法をUIでやっています。
下の画像は背景をぼかさない場合です。情報量が多く、何処に目をやれば良いかわかりません。
下の画像はぼかした場合です。ぼかすことにより背景の情報量が減少し、自然とUIに目が行きます。(それでもこの画像だけだと情報量が多いのですが。)
六日目
草案で描いていたゲームループを改良する日でした。
進捗
バフデータの入力
バフデータは初日に増産可能にしておいたので、そこにバフデータを入力しました。
上の画像のようなScriptableObjectを大量に生成し、それぞれのデータを打ち込んでいきました。
もっとも、今回は各アルファベットに5つのバフ、各数字に3つのバフ、計160ものバフを用意したため、入力は相当大変でした。ここだけの話、バフ名も倍率も押す回数も行き当たりばったりで決めてました。
敵データの入力
敵のデータもScriptableObjectで管理しています。こちらもデータ構造だけ一日目に先に作り、六日目に入力をした形となります。
……空やポストプロセスの色情報は後からくっつけた情報ですが。
特に工夫した点はありませんが、敵のHPは文字列で受け取り、BigInteger構造体がよしなにしてくれるようにしました。
草案の振り返り
さて、ここまで制作をしてきたわけですが、一日目や二日目の草案と演出を比較してみましょう。実装されなかった、実装内容が変わったものは打消し線が引かれ、修正内容が書かれます。
ゲーム概要
キーボードを連打したらバフ獲得
マウスを動かしたり、クリックしたら基礎点獲得キーボードだけで十分。マウスの実装をする手間さえ惜しいし、それで喜ぶのは少数派のやり込み勢だけ。
制限時間は15秒連打には長い。制限時間は5秒に
キーボードの各キーごとに、一定回数押すとバフゲット
バフには名前と倍率が存在する
タイトルとゲームはシームレスに別にどうでもいいので却下
バフ盛る演出は過剰に
とどめも過剰に
カットイン+「今から行くぞ!」てきな音声棒人間でカットインはキツかった。今回のゲームは音声を自分でやるとちょっとキツい
トランジション的暗転をし、
4回切り刻むダメージの大きさに応じて切り刻む回数を増やし、強さを演出する方向に。過剰さにも磨きがかかった。
トランジション的に暗転が明け、決めポーズ
+決め台詞決め台詞はキツい
大爆発、ダメージが下の桁から出現
でかでかとダメージ巨大な数字をでかく表示するのには無理があった
バフ盛る演出詳細
背景は単色+上に上がる線背景は自然っぽい場所に変更。理由は無いが殺風景よりはマシと判断した。
基礎点は右上、バフ獲得で右中に表示基礎点も倍率も画面下部に表示。バフ獲得で跳ねる。
盛り上がるBGM、残り5秒でカウントダウン当初、バフ盛る演出でBGMが変わる演出があったがそれは無くなった。
残り5秒からのスタートなので、カウントダウンも無くなった。
人がいて、人に溜めるエフェクトをずっと表示
人は常に揺れている完全に忘れていた。
バフ計算では、基礎点が最初に表示されるその後、バフ名とバフ効果が表示されて点数更新基礎点も倍率も画面下部に表示。バフ獲得で跳ねる。
残りバフが少なくなったらトランジションし、とどめパートに移行全てのバフを計算したら移行する。
変更点まとめ
と、このようにかなり大幅に変わっています。
実装がめんどくさかった、実装しない方があそびやすい、別の方法に切り替えて良い効果を狙う、忘れていた、など、複合的な理由を後付けしていますが、結局のところ製作中に違和感を感じたため変更した側面が大きいです。
七日目
最終日です!進捗は実際にゲームを遊んでみてください!!
最終日は、音入れと調整、ビルドを行いました。
効果音
効果音は様々な素材サイトを渡り歩きました。
使用する効果音は
爆発(大中小)
攻撃音
バフゲット
バフリザルト
駆け出す音
連続切りの音
連続着リフィニッシュの音
決定音
とし、各素材サイトを巡りました。
結果的に、連続切りの音とフィニッシュの音は同一になり、駆け出す音は見切ったかのような「キィン!」という効果音にし、決定音は様々な場面で使いまわしました。
また、バフゲットやリザルトの音は、音を発生させる瞬間の音量が小さかったため、加工して最初から大きな音が出るようにしました。
また、サウンドに関してはシングルトンのサウンドマネージャーを制作し、どこからでもサウンドマネージャーを呼べるようにしました。滅多にシングルトン使わなかったのですが、便利でした。
BGM
BGMの選択はめんどくさいのであまりしません。そこでどうしているかというと、私はまんぼう二等兵さんの公開されている曲の中からBGMを選択するようにしています。
今回は、戦闘ではあるけども苦しい雰囲気ではなく、朗らかで楽しい印象のゲームにしたかったため、「カナリアスキップ」という有名なBGMを選択しました。
そして、BGMは自然にループするような工夫を施しました。
UIやプレイフィールの見直し
音を実装してしまえばもうブラッシュアップだけなので、誤字チェックやプレイしている時にじれったい瞬間は無いかチェックしました。
その中で生まれたのが、バフ清算スキップ機能です。バフ清算も見てほしいものの、最大160ものバフを生産すると1分以上かかってしまうため、スキップできるようにしました。
そして投稿!
投稿したゲームを再掲します。ぜひ遊んでくださいね!!
ここからは、ゲームのこだわりや反省などについて語ります。
七日間以上かけた部分についても書かれますのでお覚悟を。
今回の「神は細部に宿る」ポイント
ゲームを作る上ではゲームの大枠以上に、細かい部分を丁寧に作る必要があります。そうした部分を紹介します。
紹介する内容は制作過程で述べた内容も含まれます。
最初にクリックするだけのシーン
既に書きましたが、これはWebGLビルド特有の現象への対抗策です。
ゲームをクリックされない限り音は鳴らず、入力も受け付けられません。
そのため、最初にクリックするよう誘導するシーンを挟むことで、音が鳴り、入力も受け付けるようにしました。
また、急にゲームが始まってびっくりしないようにする効果や、読み込みの待ち時間に放置していた際にタイトル(あるいはゲーム)が勝手に進行してしまい、やり直す手間が発生するのを防ぐ効果も見込めます。
「Zキーを押してみよう」の二段階アニメーション
タイトル画面にはかなりの情報を盛り込んでしまいました。
そのため、情報をただただ並べるだけではどれが大切な情報かわかりにくくなってしまいます。
そこで、最も大切な情報である「Zキーを押すとゲームに進める」という情報は二回アニメーションさせて強調しました。
他はスライドインだけですが、「Zキーを押すとゲームに進める」情報はスライドイン+拡大と二回アニメーションが入っています。
さらに、Zキーを押すとゲームが進む旨は、最後に登場し、一番目に付くようにしています。(更新でBキーでバフ一覧が見れる情報が一番最後に出るようになりましたが、非常に目立たないように出てくるので一番目立つのはZキーを押すとゲームが進む旨のはずです。)
タイトルで簡単にゲームを遊べる
このゲームはキーボードを連打するゲームです。そのため、敢えてゲームに進むためにはZキーを5回押さないといけないという不便な仕様にしています。
こうすることで、連打すると何が起こるか、事前にプレイヤーに刷り込ませる効果を見込みました。
万人に良い効果があると思っていたのですが実は……(後述の反省点にて)
タイトルやクリックするだけのシーンの背景が微量動いている
動きの少ないシーンにおいて、背景さえ動かないと全く動かない画面(=死んだ画面)になり、ゲームを遊んでいる感覚が得られなくなります。そこで、タイトルやクリックするだけのシーンでは背景を微妙に動かすことで、完全に死んだ画面を避けました。
こうした微量だけ動かす技は適切に用いることで、画面を生き生きとさせることができます。
多くの効果音は鳴るたびにピッチが変わっている
同じ効果音を何度も聞くと、単調に思います。
そこで、何度も何度も聞く効果音はパン(pan)とピッチ(pitch)を振りました。
同じ効果音を連続で再生する時、それぞれのピッチやパンを変化させることで、毎回微妙に異なった音が発生し、耳が飽きにくくなります。
実際に意識してプレイしていただくと、毎回同じ音が鳴るシチュエーション(カウントダウンやキィン音)と毎回異なる音が鳴るシチュエーション(斬撃やバフ)が存在することがわかると思います。
なお、WebGLではパンを振っても意味は無かったようです😢
バフ清算シーンのスキップ機能
今回最も、需要に応えた形の機能になるのではないかと感じているスキップ機能です。
本来、製作者の私としてはバフ清算シーンは見てほしい場面です。しかし、それを毎回見るのはあまりにも冗長で退屈でした。
そのため、断腸の思いでスキップ機能を搭載しました。
実際、プレイ風景を見せていただくと間違いなくこの機能は使われていました。
プレイヤーの行動を推測し、エゴイズムを捨て、プレイヤーフレンドリーになるように機能を付けた甲斐がありました。
バフ清算シーンはリズムに合わせて
バフ清算シーンは、実はBGMのビートに合わせてバフを清算しています。
というのも、音楽に合わせてバフが乗った方がノリが良いからです。
気になった方は、バフ清算シーンの時に出現のリズムに合わせて手拍子を叩いてみてください。あるいは、BGMのリズムに合わせて手拍子を叩いてみてください。すると、BGMとバフ清算がリンクしていることに気づくでしょう。
このゲームのプレイヤーの100人に一人が気づけば良いと思っている機能です。が、おそらく、いや、確実に無意識下で良い影響を与えていると信じています。
音楽は違和感の無いようにループする
このゲームでは、音楽が無限ループするように作られています。違和感の無いように。
Unityの機能で音楽のループを作ろうとすると、AudioSourceのLoopにチェックを入れるだけとしがちです。しかし、これでは上手くループできません。
そこで、以下の手順を踏んで音楽が無限にループするようにしました
使用するBGMはイントロとループ部分を含み、ループ部分の後ろの方も十分な時間を確保する(10秒もあれば安心?環境に依りそう)
使用するBGMのループポイントの始点と終点が何サンプリング数目かを記録する(大変)
UnityはUpdateでBGMが現在何サンプリング数目かを監視し、終点を超えたタイミングで(終点-始点)だけ現在参照中のサンプリング数目を引く
これをすることで、音楽の監視の用途では呼ばれる回数に不安があるUpdateでも、自然に音楽をループできます。ループポイントを超えて音楽が流れてしまっても、ループ内でそれに合致した場所まで再生位置をずらす処理になるためです。
カメラは平行投影、しかし背景には奥行きを
このゲームは2Dゲームで、カメラ設定はOrthographicです。
しかし、奥にあるとされるオブジェクトほど移動量を少なく、手前にあるとされるオブジェクト程移動量を多くすることで、画面に遠近感を出しています。
背景が微量動くときにも使いましたが、一番これを感じるのは主人公の毛利先生が敵に突撃し、それと同時にカメラが移動する暗転直前のシーンです。
1秒にも満たないであろうシーンのために、しかしそのシーンを際立たせるために実装しました。
特に、敵や毛利先生の手前にある草はその演出のためだけに存在しており、カメラ移動の際最も高速で移動し、視点移動のダイナミックさが生まれているのではないかと思っています。
物量を以て飽きさせない
各バフは各キーボードに応じていい感じに割り振っています。
例えば、cはcから始まる食べられるお菓子的なものがタイトルになっています。yは[貴方の〇〇]という形になっており、具体的な名前は与えられていません。その他、各文字について何かしらモチーフがあったり無かったりします。
oを8回押すと「オクトパス」でバフ効果も×8+888と、8ばっかり、といったネタ枠も存在します。
「漆黒」のバフ効果が×459と完全に語呂合わせになっているネタもあります。
なんで「割り勘しない」で攻撃にバフがかかるんだよ!!!!という突っ込み要素もあります。
かと思えば「火の精霊の加護」といういかにもバフっぽい題のバフもあります。
なんて思うとbキーは「倍の力」「倍倍の力」「倍倍倍の力」「倍倍倍倍の力」「倍倍倍倍倍の力」という手抜きもいい加減にしろ!という内容です。
また、各モンスターのフレーバーテキストや名前、HPの値も面白おかしく、どこかダサくて親しみやすい感じにしました。
HPが65535という、情報系の勉強をした人ならどこかで見た数値が出てくる。
「炎の鳥」は不死ではないが、HPが19540700と妙に年号を示唆していそう。
「闇に染まりし戦士」のHPは83838383838383と、闇闇闇闇闇闇闇になっている。
闇に染まった方が強そうだが、「デーモンドラゴン」は闇に染まる前の方が強いという謎設定をする。
「死を司る者」はいかにも解説しがいがあるのに「死です」という3文字ダジャレ解説になっている。
隠しボスの「鋼鉄の金ぽにょぽにょ」の説明文では意味深に「八苦」が赤くなってるが、これはHPが618970019642690137449562111=メルセンヌ素数2^89-1であるダジャレという誰一人気づかないであろう要素を盛り込む。
そんな謎の要素たちが目白押しです。
実際、ゲームの演出を楽しむと同時に、バフの題や敵のフレーバーテキストを楽しんでいただけた方がいらっしゃったので、大量生産して良かったなと感じています。
振り返り
では、投稿からほぼ2週間たった現在、思っていることを書きます。
なんと!今回全作品をプレイしましたので、他の作品の大雑把な傾向と合わせて書けたらなと思います。
ゲームのアイデア
力を溜める→バフをとにかく盛りに盛る
力を溜めて攻撃する作品はやはり多くありました。今回は王道を攻める考えでだったので、たくさん被るかなとは思っていました。とはいえ、多種多様な自己強化の形の表現では独自性があるのではないかと感じました。
多くのゲームはチャージショットやリソースをため込んで良い効果を発動といった感じで、溜める要素をゲームシステムに上手に組み込んでゲームを作っていました。一方、私のゲームは溜めることを全てとして簡単さを得て、引き換えにゲーム性を捨て去っています。
力を溜めるアイデアこそ同じものの、他の作品とは違う点を演出できていると信じています。
ゲームバランスについて
今回はゲームを攻略する楽しみなんて捨て去っていました。
そのため、頭なんて使わず沢山連打した者が勝つという、ゲームバランスの欠片も無い作りになっています。
とはいえ、用意したラスボスのHPはせいぜい10^23程度のため、キーボードをガチャガチャすればほとんどの方は突破できたのではないかなと感じます。
また、u1wにはランキングで上位を取ることを生きがいとする存在があります。彼らからはそんなに良い評価をもらえてないのではないかと感じております。というのも、このゲームはモニタやキーボードに pay to win なゲームだからです。どれだけ上手に連打しても、良いモニタやキーボードの前では敵いません。それに気づいてしまった方たちからは勝てない理不尽なゲームと思われてしまったかもしれません。
演出
このゲームの全てと言っても良い演出。これは自分ではよくできたのではないかと感じております。
とにかく力を溜める
↓
得た力を清算する
↓
敵に突撃し、暗転する
↓
暗闇の中、敵を切り刻む
↓
切り抜けて敵の背後に立つ
↓
決めポーズと共に大爆発、そして与えたダメージが出る
ぼくのかんがえたさいきょうのカッコいい演出が作れたのではないかと自負しております。
その他、バフ清算と音合わせ、カラフルなビジュアルエフェクトの作成、効果音の工夫など、後押しする要素をたくさん設けました。
コメントを見るに、この演出が爽快感につながっているだろうと確信を得ました。
ゲームの面白さについて
作っている最中は、バフを盛ってそれに合わせた演出を楽しむ!程度にしか考えてませんでした。
しかし、現在41ものコメントを頂いており、複数の配信でプレイを拝見しました。これらの情報を頼りに、このゲームの面白さを分析したいと思います。
コメントや配信を鑑みるに、以下の点を面白いと思っていただけると感じました。
爽快感
超でかい数字
各種テキスト
ひとつづつ紐解いていきたいと思います。特にコメント欄で多く触れられていたのが爽快感です。このゲームで爽快な点と言えば、演出です。一連の演出を面白いと感じていただけたのではないかと思います。
ぼくのかんがえたさいきょうの演出のために、このゲームは演出にかなりの時間を割きました。その成果が楽しさにつながったのでしょう!
超でかい数字は配信で触れられがちだったと感じます。「おおぉ」といった感嘆の声を聴いたような覚えがあります。コメント欄でも数字の大きさには何度も触れられています。
インフレ(というよりこのゲームは最初から超でかい数字なのでほんとにただの超でかい数字)は面白く、今回のu1wのゲームでは他にインフレ系は少なかったため、遊んでいただいた方の心に残ったのではないかと思います。
敵フレーバーテキストやバフの題を褒めてくださる意見もコメント欄に見られました。わざわざ160もバフを用意するのがすごい!という制作の苦労を褒めている側面と、たくさんの種類があるので読んでいて地味に面白いという側面があると感じております。
ゲーム本編よりもそちらを重視した方もおられました。テキストやバフの題が良いアクセントとなり、ゲームの面白さがちょっと増加しているのかなと思います。
これら三つがのべられていた面白さです。つまり、このゲームを遊んだ人は
「カッコいい演出を楽しみつつも、どこかシュールなフレーバーテキストとバカゲーに出てきそうな圧倒的にでかい数字を目の当たりにしてニヤリとする。そして大体の爽快感が場合勝る。」
こんな感じの面白い体験を得られるのではないでしょうか。
人気ゲーム常連!
今回のu1wではたくさんゲームを遊び、最終的にはすべてのゲームを遊びました。多くの方の目に触れたことでu1w期間中は毎日のように人気ゲームランキングに乗っていました。
目を引くサムネもあるでしょうが、なにより何度かリプレイをしていただいたおかげかなと思います。
反省点
今回は誰でも遊べる簡単ゲームを作ろうと意識しました。その一方で、特にガチ勢に対する配慮は足りなかったかなと感じております。
F5キー問題
ガチって連打すると、Functionキーや悪名高きCapsLockキーを押してしまいます。ゲームを有利に進めるためにはキーボードをガチャガチャするほかないので、バフを溜める方法を変えない限り根本的な解決は難しいです。
特に阿鼻叫喚を呼んだF5キーについては、数字キーの連打ではバフを得られないようにすることで回避できたかもしれないなとは感じております。
しかし、数字には変なフレーバーを足しやすいので、それとのトレードオフです……。
敵、あるいはランキング別にいらなくね問題
このゲーム、敵やランキングの存在意義がいまいちはっきりしていません。
しかしながら、演出を楽しんで大きい数字が出て「はいおしまい」ではさみしすぎます。
そのため、10の敵と1のチャレンジ用敵を用意して段階的に敵を切って行けるようにしましたが……。正直、連打力なんてそんなすぐ変わるものではないので、敵の数はフレーバー程度にしかなりません。フレーバーだけなのに敵は10も要らない気がします。僅かでも目的や達成感につながれば……とは思いますが、もっと良い方法を模索できそうです。
また、与えたダメージの対数ランキングを用意しましたが、これもとってつけたものです。10のどの敵と戦っても同じランキングなので、敵かランキングかどっちつかずな感じが生まれてしまいます。
Pay to Win と思われる問題
放っておいても良いのですが、あまりにもPay to Win なのは問題です。実際、私の環境でランキングを目指しても上位陣には勝てません。ノートパソコンで作業しているので。
今回のゲーム性の浅さと相まって、ゲームを攻略して高いスコアを出したいランカーからは高くはない評価をもらっているのではないかと感じています。
タイトルでZキー連打をゲームに進むトリガーにしたことがかえって勘違いを生んだ問題
Zキーのみを連打するように刷り込んだが故に、ゲーム中でもZキーしか使えないと思った方が10名ほど(ゲームプレイヤーの4%)いたようです。これは完全なる配慮不足でした。
自己評価
さて、ドキドキセルフ星付けの時間です。
楽しさ ☆☆☆☆☆
絵作り ☆☆☆★
サウンド☆☆☆☆
操作性 ☆☆☆☆
雰囲気 ☆☆☆☆☆
斬新さ ☆☆☆☆★
楽しさは、私は私の作ったゲームは楽しいので☆☆☆☆☆です😎
絵作りは、エフェクト演出頑張ったので☆☆☆☆☆欲しいですが、美しいわけではないので☆☆☆☆弱かなと感じます。
サウンドは、まあ要点は抑えたという事で☆☆☆☆です。
操作性は、F5がちょっとアレですが、簡単操作のため☆☆☆☆です。
雰囲気は、かっこいいので☆☆☆☆☆です😎
斬新さは、ゲーム性の面では今一つですが、u1wではあまり見ない演出重視のゲームという事で☆☆☆☆強かなと感じます。
無理に謙虚になるよりも自信を持っている方が好きなので、自信を持って自己評価しました!もし最終的な評価が悲惨だったら笑ってやってくださいな。
最後に
『バフ盛り盛り!!毛利先生!!』は、演出のかっこよさを全てとし、演出を楽しんでいただくためにあれこれ考えた作品です。ランキングに入れるゲームはこんなんでしょ?という自分なりのステレオタイプを実現した作品でもあります。そして、自分で何回も遊んでいても、楽しいな~と感じます。
そんな作品が、どういった順でどのような思想で作られたのか、公開後何を思ったのかを乱雑ではありますが綴ってみました。何か参考になる点があれば幸いです。
最後に、もう一度ゲームへのリンクを載せて、この記事をおしまいにしたいと思います。
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