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『美術品投資』は儲かるのになぜ不人気なのか


◇◇ 美術品投資とは

■概略

美術品(アート)は、想像を絶するほどの高値で取引されることがあります。
近年ニュースになっていた例では、前澤友作氏がバスキアの絵画を62億円で購入した後、6年寝かせて110億円で売却した報道は衝撃でした。

私自身も、長期投資として美術品をポートフォリオ(資産の分散先)に採用しており、実際にその威力は痛感しています。
また本件ではNFTについては触れませんが、NFTアートの取引も同様に儲かります。
たとえば株式投資において株銘柄に狙いをつけて長期投資をするかのごとく、美術品においては「この人の作品は間違いなく伸びる」と目をつけている作家さんがいます。

現物投資をするという意味では金(GOLD)を所持することと性質が似ていますが、何より「金の延べ棒」をただ飾っておくよりもずっと魅力的です。(いや、もしかしたら金の延べ棒をじっくり眺めることが好きな人もいるかも知れませんが…)

なお、私のキャラクター上、資産運用や投資の側面から美術品について語ることになりますが、かといって美術品を投機の道具と見なしているなどということは決してありません。拙くはありますが、一人のアートファンです。

■市況について

現代アートの市場規模はここ20年で二十倍(※)となっています。先のバスキアの絵画の例を見てもわかるように、訳あって高値がつけられる一流美術品は寝かせておくだけで市場価値が上がるのです。
この特性から、主に海外の富裕層がポートフォリオとして美術品を採用するケースが近年急増しています。
(※) Artprice100指数より

似た性質の話として、ロレックス等の高級腕時計を買い付ける『腕時計投資』がありました。高級腕時計は国内外にて高値で取引され、また年々市場価値が高まっていく性質から、資産価値の保存や投資の意図で購入されていました。
「なんで金持ちって、みんな高そうな腕時計つけてるの?」と疑問に思ったことはありませんか。あれは見栄を張っているのではなく、たとえ中古品となっても将来的に高い価値で売却できる見込みのある腕時計である場合が多いです。
また、その腕時計を経費計上することで節税している人もいます。「富豪の味方」すぎますね…。

ただし近年、中国において値崩れが起きており、腕時計投資には懸念の気配が高まっています。同時に、その代替先として美術品投資に注目が集まる要因となっているかもしれません。

◇◇ アート市場の成長

■ 市場規模が拡大の一途

現代アートの市場規模は、2021年時点で27億ドルになり、2000年時点の1億300万ドルから約20倍になっていることがArtprice100指数から観測できます。

Artprice100と、S&P500の比較

Artprice100とは、フランスのArtprice社が流動性等の基準をもとに選定した100名の代表作家の平均値動きで、つまり「現代アートのインデックス指数」といえるものです。
米株価インデックス指数のS&P500と比較した場合、伸び率はS&P500よりも約2.5倍上回っています。

■ インフレに強い

特に金(GOLD)と相関して価格が上昇する傾向があり、現物資産として認められている一面といえます。
近年はウクライナ情勢の緊迫化に伴って、実物資産の需要が高まったことも影響しており、アート市場はより一層勢いを増しています。

◇◇ 価値が上がる美術品の特徴

■ 需要と供給

アートは「作者が亡くなった後に価値が急増する」という"いわれ"は、そこそこ有名なのではないかと思います。

これは事実です。しかし経済の側面から見ると当然の現象でもあります。
ものやサービスの価値とは、需要と供給によって決まります。高い価値を持つものは、需要が高く、供給が少ないのが特徴です。

作者の没後に価値が急増するのは、供給力が減るどころか完全に絶えることによって、希少価値が急激に上がるためといえます。
このような『爆発力』をもって価値が急増するのが、アートです。他の産業では、同様のケースは滅多に起こり得ません。

■ アートの付加価値

ところで、
「価値があるといわれる有名な作品を見たところで、こんなものに価値がついている意味が正直わからない」
と感じたことはないでしょうか。
「意味がわからない」「こんな絵自分にでも描ける」というリアクションをよく見かけますが、アートにつく価値とは「そういうもんじゃない」のです。
アートが持つ資産価値について注目するからには、需要が高まるロジックについてはしっかり把握しておきたいところです。

需要が上がるということは、人から注目が集まり、話題性を得ていることは間違いありません。
アートの場合、それに該当する作品は

  • 希少価値が高い

  • 謎が多い。ミステリアス

  • 作品にまつわるエピソード、ストーリー、歴史的背景がある

といった特徴があります。例外もあるかとは思いますが、これらに該当してさえいれば、それがどんな作品であるかは一切問われない印象です。

非常にわかりやすい例では、ゴッホの作品には兄弟愛の篭ったエピソードがたくさん詰まっていることが死の直前〜没後に判明しましたし、
近年ではバンクシーの絵画が大いに話題となっていますが、こちらは謎が多くミステリアスさが話題を生んでいる例です。

■ 「プレミア価格」について

販売定価以上の価値がついて個人間でやり取りされる物件の価値を、いわゆるプレミア価格と呼びます。

身近にあるプレミア価格商品といえば、遊戯王カードやポケモンカード等のトレーディングカードの例がわかりやすいです。まったくもって生活に必要ではないのに、高価がついてしまうものとは、人々が持つ不思議な欲求がその価値を付けており、価値が下がることになる機会が基本的に少ないです。
プレミア価格がつけられるものとは、一度でも需要が増えて価値が上がったら、下がることはほぼないことが特徴の一つとして挙げられます。

先ほど挙げたトレーディングカードの場合では、類似品や復刻品が登場した場合=供給力が増強された場合などには価値が下がるかもしれませんが、
一方で、原則的に一点モノの美術品は、二度と同じ作品を供給できませんし、作者没後の美術品であればなおさらです。
美術品ほど"資産価値の保存"に適した物件は他にないのです。

◇◇ 日本のアート市場

■ 日本は遅れている

残念ながら「日本におけるアート業界」は、決して盛況とは言えません。他国と比べてかなり遅れをとっているのが現状です。

Artprice社の調べにおいては、海外アートオークションにおける日本人ユーザーの割合は、多く見積もっても1.7%未満です(*少なすぎて「その他の国々1.7%」にぶちこまれています。)
ちなみにトップ3は中国 40%、アメリカ 32%、イギリス 16%です。

個人的かつ早計な見解かもしれませんが、アートのような高額商品を取り扱う業界が、中国、アメリカ、イギリスにおいて日本の数倍も盛んなのであれば
「アート業界は世界規模で盛り上がっている」という言い方をしても差し支えないのではないかと思っています。

■ 「遅れ」がむしろチャンス

これまでに起きてきた金融のムーヴメント、つまり腕時計でも暗号資産でもNFTでも何でもそうでしたが、『世界で盛り上がり始め、日本に遅れて上陸する』ケースはまったく珍しくありません。
流行り始めに参入した人が一番儲かるのは、言うまでもありません。私は2023年現在の状況を「参入チャンス」として注目しています。

■ 経済産業省からの注目

経済産業省より「アートと経済社会について考える研究会」と銘打った、アートがもたらす、経済やヒトの心理への効果を検証実験し、きわめてポジティブな結果を報告した記事が2023年7月に公開されました。
こうして一般層の方の耳に入るニュースが増えるほど、アートの市場価値は上がってゆきます。日本にアートの波が来るのはもはや時間の問題だろうと思います。

▼「アートと経済社会について考える研究会」報告
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/art_economic/20230704_report.html

▼報告書PDF
https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/art_economic/pdf/20230704_1.pdf

◇◇ 「美術品投資」普及への課題

■ 取引プラットフォームの不足

アート業界が盛り上がりに欠ける日本においては、現時点でお金と結びつけるための「仕組み」つまり「取引プラットフォーム」が確立していないように感じます。
つまり、作家から最初のオーナーへ渡った後、オーナーがいざ手放したいと思ったときに、公正な価格を取り決める仕組みが現時点で確立していないことが、普及しない原因の一つとなっているように思えます。

反対にそのプラットフォームか充足している例を挙げますが、
たとえば腕時計、宝飾品、高級バッグ等であれば、質屋へ行けば当然に公正な価格で買い取ってもらえたり、担保にして質屋からお金を借入できたりと、お金と結びつけて融通させることが容易なのです。他にもさまざまな種類の取引方法があるでしょう。

質屋で取り扱い可能な美術品など、果たしてあるでしょうか。かといって額に入れて自宅に飾っていたところで当然買い手はつきませんし、アートギャラリーへ販売を委託したところで、すぐに買い手がつく保証はないどころか、展示を依頼するのに手数料がかかる一方です。

2024年3月追記:最近アートを質入れできる質屋さんが少しずつ増えてきた印象です。

よって、美術品を取引するには国内外のアートオークションへ出品するのが一般的かつ最良とされていますが、それ以外の手段がかなり限られているのが現状です。これでは安心して取引できないのも頷けます。

ただし、これは現時点での話です。
やがて「波」が来るときには、プラットフォームは急増し、流行の過ぎ去った後に地盤が固まっているものですから
地盤が固まった後では遅いというのも頭の片隅に入れておきたいですね。

◇◇ まとめ

■ 要約

  • 美術品、アートは大きなお金を動かす

  • アート投資は資産価値の保存先として世界中で注目されている

  • 取引プラットフォームが少なく、参入の敷居は高い

  • ハイリスク・ハイリターンだが低リスクの運用法もある

■ 私的見解

私はまだまだ庶民ですから、たとえば美術品を買って自宅に保管しておいたところで、本当に将来的に価値が上がるのか?とか、買い手が本当につくのか?とかいうリスクを取れるほど余裕のある人間ではありません。
賭けに出たほうが収益は大きいのでしょうが、まさにハイリスク・ハイリターンであって私の投資ポリシーには全然合っていません。

しかし先述の通り、ブームは火がつく前に参入しておくのが吉であること、そして日本には、世界に誇れる美術ブランドが存在することを知っていてるので、お金に余裕さえあればものすごく参入したいですし
私がTikTokでいつも動画を撮っている場所の後ろにある壁、ここに絵画を飾ったらちょうど上手く映えそうなので、そこに飾りたいです。

ご連絡先

平素はTikTokで資産運用に関する発信をしていたり、
資産運用しながらのんびりと音楽家人生を嗜んでいます。

▼ギガメロン TikTokアカウント
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