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自分が売るもの、作るものを愛すること

8月まで勤めていた出版社の後輩に会った。
私はずっと編集部に所属していたけど、彼らは営業部の人たち。中堅の営業マンとして絶好調に活躍している世代だ。

彼らは出張で沖縄に来ていて、その日は取引先での営業の仕事を終えて、さらに接待も終えてから時間を作ってくれた。
深夜にも関わらず、彼らの話には熱気がたっぷり。今回の営業戦略のこと、今日現場で得た情報、こんなトークが効いたとか、これには全然興味が持たれなかったとか。

営業部の人たちは、ものづくりはしていないけれど、商品への愛は人一倍持っているな、と以前から感じていた。それはきっと、編集部の人と違って「売れる瞬間」の熱量を肌で感じているからなんだと思う。

私は編集部にいたけれど、自分が作った物を直接売り込みたい、といつも思っていて、営業部へ異動を願い出たこともあった。
営業の人たちには笑われるかもしれないけれど、「目の前の人にこの1冊を売れないようなら、たとえ100万冊売れてもそれは嘘だ」と思っていた。
そりゃあ100万冊売れたら嬉しいけど、自分が作ったものを一人のお客さんにさえ売れないようでは、ホンモノじゃないような気がしていた。

営業の人たちは常日頃、そういうせめぎあいの世界にいて、編集者はどちらかというと、モニター越しにそれを見ている。だからどこか「売れる」ということが他人事のように感じてしまう部分もある。

いっそ、編集も営業もなくなればいいと思ったりもした。ただの「一担当者」として、その商品を企画して、製作して、販売する。そしたらもっと見える世界が変わってくるはず。

大きな会社ではそういうことはできない(ことが多い)のはわかっている。
だけど、なんかこう、営業の人からいつも感じる熱量とか愛とかを、作り手だったときに私は発していたのだろうかと、一歩外に出てみてから改めて思った夜だった。

とにかく、疲れているなか深夜に会いに来てくれたアツイ3人に、ありがとうと言いたい。
これからもメラメラと活躍できますように。

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