B型作業所で働く利用者さんをバイトで雇って1か月。その感想や考察

※今回の投稿は自分の備忘録として残しています。n=1のケースであり、作業所の利用者さんにはそれぞれの特性があり全てに当てはまらないこと。また自身が専門家でなく一市民であることから全て科学的な保証は無いのであしからず。

縁の出来た作業所の利用者さんがうちで働きたいと申し出てくれ、10月頭からスタートした週一バイトが今日で一か月。無事終えることが出来た。色々と感慨深いものがあるし考えることもあるので忘れないうちに纏めようと思いこうしてキーボードを打ち込んでます。

纏めるのはめんどくさいのでいくつか箇条書きにして補足して書き残す感じで。

・雇用側は勝手な思い込みをしない

これは障がい者に関わらずの部分も多いけど、その中で特に意識した方が良いと思ったのが社会通念上の共通(?)理解に関すること。
仲間と会ったら挨拶を交わす、小さなことのやりとりに対して都度リアクションをして返答すると言ったものになるのかな?
この年まで生活しているから「分かっているはず」という暗黙で考えている部分。ここは気を付けた方が良いなと思った。
同じ文化圏にいるからこれは当たり前というのも間違った意識かなと。先ずはフラットに相手の行動に対して「何故?」という所からスタートするのが良いと思う。
「何故?」というのもちょっと違うか。自分と違っていたことを「そっか」と思うこと。自分と違っていたことを許容することが大切なことだと思う。

今回の場合は例えとしては良くないけどプログラムを組んでいる感じが近いと思う。指示したことを理解し動いてくれるけど、エラー(バグ)が発生した時の動き方は指示していないので最初の指示を通そうとしたケースがありました。今回のケースであれば途中でコーヒーをこぼしたけどそのまま出そうとしてしまったというもの。

こぼしてしまったのであれば「普通」は驚いて色々確認したり謝ったりするだろうとなるかもしれないけど、事前に指示をしていないので優先された指示をこなそうというのは正しいと言える。この場合は「普通」を放置していた側の問題。実際に追加で指示をするとそれに対してはきちんと汲み取って改善していってくれたからそうなんだろうな。

プログラムという例えをしたからこそ、利用者さんの結果は半分以上こちらの構築の問題だと思うのでその点はきちんと持っていたい。

・育てる・見守るという意識を持つ

そういった最初の大きな指示に対して忠実に行動してくれるのは有難いことで、必要に応じて方向性を修正していくのがどちらにとっても良いかと思った。改善するために過程の中で失敗が起こるのは前提となるのでその失敗に対してきちんと許容することも必要。雇用側も対話をする前にある程度こちらの優先順位を明確にしておく必要があるなと思う。

基本的にはゼロベースでスタートして1つずつ肉付けしていって形にするというのが正しいかなと思う。

後は利用者さん自身から行っている工夫にもきちんと目を向ける。
自分から工夫・模索が出来るのは結果の良し悪しに関わらず先ずは褒める。1つ1つこちらから指示を出すのもやり方としてありだと思うけどやっぱり働いている人の主体性から出た疑問や経験は馬鹿に出来ないと思っている。対話のきっかけにもなるしほんと助かる。

作業所さんとの最初の取り決めからは事前に了承をもらった上で少し背伸びしたこともお願いしているけど、なんだかんだとクリアしていってくれている。自分が思ってた以上にやれているので後は負荷を見極めながらどこまで背伸びした環境へ持っていくかかなと考えている。個人的にはまだまだ伸びる余地が見えるので楽しみでもある。

・疲労度には注意を払う

この点は問題にはまだなっていないが常時気を付けたいなーって思うこと。パートナーにあるんだけど知的・発達領域に障がいを抱えている人は精神が肉体を越えている状況がちょいちょいある。集中してハイになっていると疲労度を忘れてしまうというもの。
定型の人にも上記の状態はあったりするけどその幅が利用者さんたちではさらに大きいというのが自分の経験則である。
ハイの状態でその日をクリア出来てもそこからしばらく動けませんでした。では良くないので個人的には翌日にほぼ持ち越さない疲労度を見極めつつ一定の就労リズムは崩さないというのを出来るように組み立てたい。疲労度を考えつつも負荷を高めて強度も底上げしてあげたいとも思う。

疲労度に関しては肉体的疲労よりも精神的疲労度の方に着目したい。なので考える必要がある問いかけや指示に関しては一日の回数制限を設けて現在は様子を見ている。今後は理解の消化スピードを測りながら回数を増やしてみたい。
この辺りは作業所との連携が大切だとしみじみ。。。

・利用者さんとのコミュニケーションを模索する

これは人それぞれだから何が正解かは難しい所だけど、利用者さん自身からコミュニケーションを取ろうとするのがまだ現状出来切れていない。
こちらからの投げかけに関しては反応するし対話もそこそこ成立しているのでコミュニケーションにネガティブでは無いということは分かる。
たまに作業所のリーダーポジの人が遊びに来てくれるけど、その人の時はいつも以上に明るく、自身からもコミュケーションを取っている印象があったので関係値の問題かなと考えたりもする。
ただそれだと接客業では最初からある訳では無いので何か別の方法が必用かなと思う。

「(関係値の向上に)実は意味があるけど(話しの中身としては)意味がない話し=雑談」これが出来れば良いのだけどいくつかのハードルが想定されるのでこの辺はこちらの模索かな。

あっ、コミュニケーションと言えば知的・発達の障がいを持ってる方への投げかけには工夫が必用だと思う。理解度を測る部分もあるけど内容を細切れにして相手が頭の中で話の内容を纏める必要がないような話し方は大切だと思う。この部分はパートナーとの対話で自分は事前にある程度習得していたので苦労が全然なかったのだけども。

・こんだけ書いたけどざっくり感想

1か月(計5回)働いたけど個人的には想定以上に負荷は少なかった。これには利用者さんの適正の他に当事者でもあるパートナーの補助の存在もでかいと思っている。
何より以前にも書いたけど利用者さんは「愛嬌」という強スキルを持っている。現在は一定の関係値を越えた時に発動するので一般客の人に出ることは少ないのだけど、それでも一緒に働く人に対して作用する様になればどこでも大丈夫かなと思う。

利用者さんは日々小さなチャレンジ(工夫)もしてるし、失敗に対しての修正指示にも素直に動けて遅刻せずに毎回来ている。確かに定型の人と比べると伸びる一歩は小さいかもしれないけど伸びてることには変わらないんだから伸ばし続ければ良いよね。そしたら変わらんよ。

経営者視点だけで判断すれば時間もかかるし大変だったりするんだけど(自分の場合は今回作業所と連携することでクリアしてる部分が大きい)出来る所が出来る形でグラデーションを作って実現していければが良いかなと思う。

雇用期間はとりあえず残り2か月。それまでどこまで伸びるか、そして伸ばせられるか。また11月末にも書き残していきたい。

主に自分に向けた内容メインとなりますが、見てくださった方に何かしら響くものであればそれもまた良かったと思います。サポートして頂いた分は考えを深めるものに利用していきます。