【岐阜市議会】道家康生 岐阜市議会議員が、水道民営化について一般質問。

 2021年12月6日、岐阜市議会 第4回定例会の一般質問が行われ、その中で、道家康生 岐阜市議会議員(無会派)が、水道事業へのコンセッション方式導入(いわゆる、水道民営化)について、一般質問しました。

 道家康生 岐阜市議会議員は、水道民営化について、「慎重になって貰いてぇな」と発言し、安田直浩 上下水道事業部長に対し、岐阜市は水道民営化についてどのように考えているのかを問いました。

 安田直浩 上下水道事業部長は質問に対し、海外の水道民営化・再公営化の事例や、2022年4月から開始予定の宮城県上工下水一体官民連携運営事業の事例を提示し、「事業の現状や導入にかかるリスク等を踏まえて、慎重に検討する必要がある」、「現時点に於いては、水道事業にコンセッション方式を導入することまでは考えていない」旨の答弁をしました。

【 道家康生 岐阜市議会議員(無会派)の質問 】
 えー、それでは一番最初に、え、水道事業の民営化ということであります。
 えー、皆さんのご承知の通り、もう、既に、水道、下、上下水道、こういったものを、ま、民営化にしてこういったものが、法律の整備が、もう、既に完了しておりまして、えー、これから、いよいよ、まぁ、こんなことが進んでいくなと、こんな風に、まぁ、感じておってですね。
 で、えー、この議場の皆さん方は、こういった、例えば今回でいう、水道事業の民営化については、まぁ、「やるべきや」という方もいらっしゃるでしょうし、あのー、「そんなこと必要無い」という風に思う方、そして、「まだ、どんなこっちゃなぁ」と、まぁ、色んな立場あると思うんですけども、私は基本的には、はっきりしとかないかんと思ってますけども、あのー、まぁ、赤字がそんなにあるかどうかということは、やり方もひとつありますけれど、民営化してくというのは、ちょっと、やっぱり、慎重になって貰いてぇなと、私はまぁ、思ってます
 まぁ、その立場からなんですけれど、まぁ、あのー、今、えー、この、岐阜市は当然、直営でやっておりましてね、で、あの、色んな経費がこれからかかってくと思いますよ。
 で、その中で、え、この料金を、おー、徴収するの、その部分のところは、えー、これね、「ヴェオリア・ジェネッツ」という、この会社が今やってます。
 で、ま、これは、あのー、こういった分野に非常に長けた、あのー、巨大企業でありまして、で、ま、これがこれから岐阜のー、岐阜やないわ、国の政策にも色んな形で影響を及ぼす巨大企業ではないかなと思ってます。
 ま、今回は、ま、この企業がどうかという話ではなくて、あの、岐阜市が水道事業の民営化、その方針について、どうやって思っとるかっていうことを尋ねたいと思ってね。
 で、あの、今、こういった、まぁ、たまたま、色んな会社あるんやろうと私は思いますけど、岐阜県内、えー、42の市町村、全てが水道事業を直接、直営でやっとる訳では当然ありません。
 えー、一部事務組合でやっとったり、それぞれあるとそれは思いますけど、料金徴収に関して、えー、委託、民間に委託しとるのは、岐阜市と大垣市だけということであります。
 で、えー、まぁ、これからこの先、非常に心配になるのが、あーこの、水道事業、おー、これ、ひょっとしたら民営化してまうんかしらんと思って、本当は市長に訊きたいんですよ。
 けど、市長も忙しいで、そんなこと言えれんやろうで、水道部長にお尋ねしたいと思いますけど、で、あのー、あれですわ、要は、何でかいうとね、あの、山で、岐阜県内には4つダムがあるんですけどね、で、そのー、貯めた水を、その、大事に使おうということも大事な議論なんですけど、やっぱり、この岐阜市民の財産、そして、県民の財産である、この、長良川の伏流水を使った水道事業っていうのは、日本でも、これは金看板で売りの部分だと私は認識を致しております。
 そういったことから、この、市民、県民の財産である、うー、その、源泉である長良川に、それに、えー、この■■■、水道事業の民営化という奴に対して、えー、まぁ、岐阜市として、どんな風に考えてござるかということを、水道部長さん、あの、大変恐縮ですけども、お答えを願いたいと、このように思います。

※ 聞き取れなかった部分は■表示。
【 安田直浩 上下水道事業部長による回答 】
 水道事業の民営化に関するご質問にお答え致します。
 地方公営企業で行っております、本市の水道事業は、独立採算制の原則の下、必要な投資を行いながら、効率的な経営に努めておりますが、その経費の大部分は、水道料金収入で賄っております。
 現在の水道事業を取り巻く状況を見ますと、人口減少や、節水型機器の普及などに伴う、水需要が減少していることから、今後は水道料金収入は低減していくと見込まれております。
 その一方で、水道施設の老朽化や自然災害への対応など、取り組まなければならない課題が山積しており、水道事業経営は厳しさを増していくものと考えております。
 国に於いては、こうした水道事業が直面する様々な課題に対応し、水道の経営基盤を強化を図ることを目的に、平成30年12月水道法改正致しました。
 この改正により、民営化も含めた、民間活力を導入する方法のひとつとして、水道事業者が施設の所有権を有したまま、民間事業者が事業を運営できる「公共施設等運営方式」、いわゆる「コンセッション方式」について法制上の整備が行われたところであります。
 えー、その狙いとして、えー、コンセッション方式は、民間事業者が、長期にわたり、事業経営することとなることから、民間の技術力や経営のノウハウを活かした事業経営の改善を進めることで、事業の効率化による経費削減効果があることのほか、技術職員の高齢化や減少に対応した人材確保、育成、技術の承継ができること、民間による資金調達などにより、財政負担の軽減ができることなどのメリットがあるといわれております。
 え、これに対し、海外に於いて、コンセッション方式を導入したけれども、水質の悪化など、管理運営レベルが低下したことや、料金が高騰したことなどにより、結果として、再公営化された事例があったことなどから、国内では、コンセッション方式の導入に対して、安全で低廉な水の安定した供給に懸念を示す意見が根強く残っているとのことであります。
 え、こうした中、宮城県に於いては、水道下水道工業用水の事業を一体としてコンセッション方式の導入を決定し、令和4年度から実施する予定と伝えられており、えー、その他にも、実施に向けて検討している自治体があると聞いております。
 え、一方、本市では、え、令和元年度に経営の中長期的計画であります、えー、上下水道事業経営戦略を策定し、え、令和11年度までの事業計画及び財政計画に於いて、施設の整備、維持更新に必要な投資を行いながらも、安定的に経営を維持していくための手持ち資金である補填財源を10億円以上確保できると試算しており、い、引き続き、健全な経営を堅持できる見込みであります。
 また、あー、議員のご紹介にもありましたが、民間活力を活かす、官民連携の取り組みとしましては、平成20年度から、水道料金に関する窓口、検針などの営業関連業務を民間企業に包括的に委託するなど、有効なせさ、施策については、既に進めているところでございます。
 え、水道事業は、え、ライフラインとして、市民の生命や健康を守るために欠くことのできない、極めて重要な事業であり、コンセッション方式の導入については、水道事業者としての、責任の下で、事業の安定性、安全性及び継続性を確保していくことを前提として、先程述べましたような、事業の現状や導入にかかるリスク等を踏まえて、慎重に検討する必要がございます
 え、その為、本市では、現時点に於きましては、水道事業にコンセッション方式を導入することまでは、までは、考えておりません
 何れに致しましても、水道事業を取り巻く経営環境が厳しさを増している中、えー、健全な経営を堅持し、事業を安定的に継続していく必要がありますことから、経営状況を中長期的に見据え、本市に適した民間との連携手法を研究し、選択してくことが肝要であると考えております。

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※ 水道事業に関する回答であり、下水道事業については触れていない。
※ 民営化は下水道事業から狙われることがあるため、注意が必要。
※ 岐阜県、岐阜市、瑞穂市、富加町は、国土交通省の「下水道における新たなPPP/PFI事業の促進に向けた検討会」に参画しているので、注意が必要。


■ 日本の会計検査院が、PFI事業の不適切業務と、従来方式よりもPFI方式の方が割高であることを指摘。
https://note.com/gifu_water/n/n3fc77773f1e4