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望むようには愛せないー「死ぬまでにしたい10のこと My Life Without Me」


余命を知っても
ドラマチックさ皆無


「死ぬまでに」じゃなく
「生きてるうちに」でもいいじゃない?

…って
思ってた。

観るまでは。



☆☆☆☆★



手の施しようがない
余命3ヶ月



アンは23歳
優しいダンナと二人の娘と
母親の家の裏庭で
トレーラーハウスに住む



夜勤で大学の清掃作業をし
友人はダイエット中毒



ダンナはやっと
現場の仕事が決まった



父親はムショ暮らし





…涙をさそうような
“病と闘う”シーンなどまるでなく



彼女はひとり
“死ぬまでにしておくこと”
をノートに書き出す。

そして
病状も
余命も
誰にも話さず

ひとつひとつ
リストを実行する



★★★★☆



その姿がまるで
幸せそうに見えるのは
終わりを意識したからこその
輝きか。



リストの一つに
“刑務所のパパに会う”
というのがある



実際、人は
もう時間がない!と思った時の方が
本音を漏らすもの


アンも
自分があと3ヶ月しか生きられない
と知って初めて
自分の父親に会おうとする



ムショ暮らしの父親は
アンにこう告げる


『家族が望むようには 愛せないんだ』



...家族を愛しているが
相手が望むようには愛せない



そう
バーボンが朝食だという
オヤジじゃなくても

誰でも

そう
あなたでも。


『家族が望むようには愛せないんだ』



・・・世の中の親って
だいたいみんなそうなのかも


二人の娘にとっても
それは同じで



それでも彼女は
二人の娘たちの
18歳までのバースデーメッセージを
テープに吹き込む



そして
彼女らの父親にではなく
おばあちゃんにでもなく

「アカの他人」である主治医に託した




都合が良すぎる、と
感じる向きもないではないが

これが“彼女”でなく
“彼”だったら


ここまで「鮮やかに」
死んでいけないだろうなぁ。



人間て
なんて不器用なんだろうか
なんだか
可愛らしくさえ見えてくる





見事なまでに
「私が死ぬまでにしておくこと」
を実行していく
アンの姿は

『相手が望むようには愛せない』
ものだけど

彼女にしかできない、愛しかた。

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