日々を生き抜く鎧ー「ビル・カニンガム&ニューヨーク」
NYの街を
自転車で駆け回り
その目に留まるファッションを撮り続ける
ビル・カニンガム
NYタイムズの日曜版
「ON THE STREET」は
彼の名物コラムだ
彼に撮られることが
ニューヨーカーの間では
最高のステータス♬
そんな彼はというと
『写真家じゃない
名乗ったら詐欺だと言われるよ
ただ見たものを撮り記録しているだけだ』
…謙遜というか
周り回った主義主張というか
まぁ そんなことをのたまう御年84歳
(映画公開時)
彼は
何しろ 服にしか興味がない
有名人より服!
モデルより服!
大女優よりも服!
ランウェイでも
彼が陣取るのは正面ではなく横
モデル以外の人が着られる服でなきゃ
カメラも向けない
華やかな環境にいながら
生活はいたって質素
カーネギーホールの上に住み
部屋は、撮り溜めた写真のネガを収めた
キャビネットで埋め尽くされてる
自分用のキッチン、バス、トイレは排除
食事はいつもカフェで
安ければ安いほど良いと言い
パーティーは
食事を済ませてから出掛け
水一杯口にしない
ストイック!だけど
ギスギスしてる訳じゃなく
大好きなものに真摯
だから他のものはすべて
最低限でよしとする
インタビューで
日曜日の教会通いを問われた時
沈黙の後に見せた顔は
涙に濡れていた
きっと、カメラを手にできない日も
あったんだよね
実際、映画の中では
部屋の退去を求められていて
代わりに提示されたのは
セントラルパークを望む部屋
大抵の人がテンション上がる眺望なのに
下見に行った時の、彼の
なんとも不安そうな顔ったら!
(後程、無事にキッチンは撤去されたらしく笑)
『私は働いていません
好きなことをするだけです
仕事ではないのです』
50年以上のキャリアを認められ
パリで勲章をもらった時のスピーチがこれ。
格好良い、とはこういうこと
カッコイイなんて言葉、軽すぎると
思うくらいの格好良さ。
「好き」の純度を
とことん上げた彼の“鎧”は
パリの街の清掃人が着る
青いワークジャケット
『ファッションは鎧なんだ
日々を生き抜くための』
“青いカメラ小僧”は
今日もカメラ片手に
NYの街に立っている。
(ビル・カニンガム氏は、2016年6月25日に亡くなられました。
R.I.P Bill Cunningham📷)
※写真はwebよりお借りしました
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