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他校の校内研究を見て

 先日、近くの学校の研究発表会に行ってきました。参加して感じたことをまとめます。

 国語の研究をされている学校でした。当日は、低・中・高学年・育成学級の授業を公開して、協議会、指導助言という一般的な流れで進めておられました。私は、担任している学年と同じ学年を中心に見ながらも、すべての教室にお邪魔させていただきました。私が研究主任をしていることもあります。学校全体の雰囲気や子どもの様子を感じながら、校内研究として大切にされていることは何かを見たいと思ってます。1つの授業をじっくり見ることで気付けることが減るのかもしれませんが、学校全体からもらえるものは多いです。

 国語科での取組を、学校全体で統一感をもって何年も進められていました。単元の作り方、全文シートなどの指導のツール、側面板書、振り返りの仕方、帯時間の指導などが、どの学年でも指導するように決まっていました。どの先生も真面目に授業に向き合っておられて、好感がもてる学校でした。全校で統一された指導を徹底して積み重ねていくことで子どもを成長させているようでした。以前の学校でも、そのようにして研究を進めている学校に勤めていたこともあったし、今でもあるのだと知りました。では、その校内研究を理想として思っているかというとそうではありません。見終わって、自校に帰った後も、何か釈然としない感覚になりました。そのことについてもう少し書いてみます。

 そのもやもやとして感情について、すぐに分かったのは、好感をもったその学校の先生たちは、前向きに校内研究を進めておられるのかということです。私がやるとなったら、統一されていることが窮屈に感じるほど、多くの取組を共有されていました。
 私が研究主任をしていて、取組を一緒に進めていただく先生方にも、いろいろな考えがあり、校内研究に対しても、「こうあるべき」や「やりたくない」など様々な思いがあることを感じています。今まで出会った先生の中には、こういう教育をしたい!と強く考えておられる方や、すでに自分の型があり、やり方を縛られたくないと感じておられる先生もいました。そのような思いをもつ先生方が一番エネルギーが高く関わっていただける校内研究に近づけられるようにと考え始めたのが、2年前くらいからです。研究の枠組みの中で取組を決めたら、みんながその通りに実践してくれるわけではないことを強く感じるようになりました。

 1つのやり方で統一して指導をすると、大人にも子どもにも共通言語ができて、共有が早く、楽にできるようになります。前学年での指導の上に、今の学年の子ども達の指導をするので、スムーズに指導方法が引き継がれ、子どもにとっても分かりやすいのかもしれません。指導者側も、授業について話をする時も、大切にしたいポイントが明確になっているので話しやすく、目指す方向性に向けての授業改善もしやすくなっていきます。

 ここで考えたいのが、その指導で本当にいいのかを、考えようとする組織になっているかということです。全校で統一すると、何年も続ければ続けるほど、その教育が正解のように感じてしまいます。でも、目の前の子どもにとって、一番力が付く指導が1つの方法ということはないと思います。同じ学校では、地域性もあり、子どもの性質が似ていることもありますが、それでも、学年のカラーもあり、その環境にいる子たちにもっとよい指導方法はないのか、また、他教科を含めたすべての指導につなげられないかなどの思考が働きにくくなっているのではないかと感じました。授業の協議会でも、「学校の実態」という言葉もよく聞かれ、研究としてその方法を採用しているのか、授業者が目の前の子どもを見て決めているのかはっきりとしませんでした。自分が懸命に自校にとってよい校内研究について考えているところに、他校の実践が、何か正解っぽい進め方で完結しているように感じたことが、そのもやもや感につながったのだと思います。

 実際、授業を参観しても、参観者の授業を見る視点が示されていないことが多いと思います。もちろん、先輩教員にいろいろと指摘してほしい時や師範授業のなどの時には、ざっくりとしていてもいいのかもしれませんが、研究発表ではどうでしょうか。自校の先生であれば、研究の方向性を共有しているので、どのように授業改善をしていくのか、そのポイントも分かりやすいのかもしれません。でも、初めてその学校に行って授業を見る場合、授業者あるいは学校として、ここを見て意見を言ってほしいと、視点を提示するほうがいいのではないかと考えています。正解があって、そこに参観者自身が近づいていくように求めるのではなく、多くの選択肢の中から選んだ今回の指導がどうであったのかを考えていくようにしたいと思っています。授業の参観の視点を示すことが、もっとよい指導方法を探る一歩であるように思います。

 授業を見てもらうことを避けていては、校内研究として停滞していってしまいます。来年度は、校内研究の中でもっと多くの授業者が出る仕組みを取り入れようと画策しています。そして、他校の先生に見てもらう機会が作れるようにも動いていきたいと感じています。

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