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ジャック・ダニエルを舐るように

ジャック・ダニエルを飲むとき。

そう簡単には手を出せないぜ、何せ、トリスの4倍ぐらいの値段。

美味しいのか?と問われれば、首を振る。
ウイスキーの味などわかるわけない。
けれど、ロックでその液体を舐めると、ふつふつと沸き起こる記憶。
これは、ジャック・ダニエルが見た記憶。

ジャック・ダニエルだ。
紛れもなく、ジャック・ダニエルで、それ以下でも以上でもない。
ジャックと呼んでくれ。

氷を丸く削る技術はない。
だから、コンビニで買ってきたそのままをガラガラグラスに落として、その上にジャック・ダニエルを注ぐ。

とくとくとく、と音がする。
このリズムは誰でもいとも簡単に生み出すことができる。
その音を出すことが全て、と言えるかもしれない。

期待で胸は躍っている。
それをくいっと飲み込む瞬間。

僕はジャック・ダニエルであり、この世に生を受けた一人の人間であると、確信する。

そんな体験を、簡単にできるジャック・ダニエル。
たまにはいいじゃない。

今日のあてはバレンタインでもらった高級チョコ。
そう、甘いものにもちゃんと合わせてくれるジャック・ダニエルだ。
僕はジャック・ダニエルだ。

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