紫陽花の君へ
通学路
紫陽花の庭
二階から
眺める君の
明日は転校
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私が忘れられない女のコ、Nahomiちゃん。
私が中学2年生の4月に彼女は転校して来ました。Nahomiちゃんは、女の子の私から見ても、可愛かったなぁ。
帰り道が彼女と一緒だった私は学校帰りに、よくNahomiちゃんの家へ寄り道して帰りました。
当時、再放送されていた石立鉄男さんと、
杉田かおるさんがコンビの名作ドラマ、
『パパと呼ばないで』をよくふたりでアイスやお菓子🍪を食べながら見ていました。
そして時々は、彼女の夕飯の買い物にも、
付き合いました。Nahomiちゃんの家の近くの商店街で、「今日は何にしようかなぁ」と悩む彼女が少し、大人に見えました。
Nahomiちゃんの家は、いまでいうシングルマザーで、お母さんはデパートにお勤めで、
毎日帰りが遅くなるとのことでした。
「だから、Nahomiちゃんが夕飯作るの?」
「そうだよ、毎日ね」
「毎日?それって大変じゃない!」
「そうかなぁ。もう慣れたし」と、
彼女は明るく笑い、Nahomiちゃんの家の庭には、綺麗な紫陽花が咲いていました。
夏休みの前には中学校で2泊3日の体験宿泊があり、みんなで長野の八ヶ岳へ行きました。河原でグループ別にキャンプをした時、私が好きだった男の子のグループが来て、私たちの料理を覗きに来ました。
「おまえら、なに作ってんの?」と、私たちの野菜炒めを、ちょっとだけ、つまみ食いして、「うわっ!マズっ!」
「これ、火が通ってないぜ」
「おなかこわすなよ、ハハハ!」
と、言いたい放題の男子たちに、私も他の子も恥ずかしさで何も言えませんでしたが、
Nahomiちゃんは、フライ返しを持って、
「うるさい食べるな!おまえたちこそ、早く
あっちへ行け」と本気で怒りました。
さすがは、Nahomiちゃん!
と、私は心の中で👏しましたが、彼女は、
そのあと、私に思いがけないプレゼントをくれました。
八ヶ岳で、クラスごとに並んでいる時に、
「カリン(私のこと)、ちょっと来て!」と、
Nahomiちゃんは、私が背負っていたリュックをグイッと後ろから、引っ張るのです。
「ちょっと待って!どこ連れてくの?」
私は後ろ向きのままズルズル引っ張られて、
彼女の力は、もの凄くて抵抗出来なかった。
(ちなみに、スタイルのイイコでした^^)
「ハイ、もうイイよ。放してあげる」
と、Nahomiちゃんは突然、みんなが集合している真ん中で私のリュックを放しました。
そして気が付くと、隣りには、なんと!
私の好きな男のコがいるではありませんか。
「好きなんでしょ?」と、
Nahomiちゃんは私に耳打ちしました。
そして私は彼女のおかげで記念写真を、好きな男のコの隣りで撮ることが出来たのです。
そして彼と付き合うことになりました。
やった❣️
Nahomiちゃん、ホントに感謝します😊
でも、喜びも束の間、そのすぐあとには、
悲しい出来事が待っていました。なんと、一学期の終業式の日に突然クラスの担任の先生が「Nahomiさん、前に来て」と、みんなの前で言ったのです。
「なにごと?」
と、クラス中が、ザワザワしました。
「えー、私、イヤだって言ったのに」と、
Nahomiちゃんは渋々、前に出ました。
みんなが、固唾を呑んで見守る中、先生から、信じられない言葉が。
「Nahomiさんは、今日で皆さんとお別れです。転校することになりました」
「えー!」
クラスの子たちはざわつきました。
なんで?
彼女、4月に転校して来たたばかりだよ?
7月でまた転校なんて、イヤだ。
私は涙が溢れそうでしたが、目の端っこで、
なんとかキュッと、堰き止めていました。
彼女と一緒に帰るのも、今日で最後です。
「どうして黙っていたの、転校するって」
「ゴメン、とても言えなかった。いままで、
仲良くしてくれて、ホントにありがとう」
私はうつむいて、何も言えなかった。
「今日は、ウチ寄っていく?」
と、Nahomiちゃんが尋ねた。
「ううん、今日はイイ。またね」と、私。
「手紙、書くから。遊びに来て」
それから、夏休みのあいだ、私たちが会うことは一度もありませんでした。
彼女が、学校の体験宿泊の前にくれた、
「明日が楽しみだね!」と書いた手紙の中にはレースで縁取ってくれた5円玉が入っていて、私は何度もそれを握りしめたり眺めたりしていました。
Nahomiちゃん、お元気ですか?
あれからたくさんの、月日が流れましたね。
奇跡的にあなたが何処かで、この記事を読んで、あの時の景色を思い出してくれたら、
こんなに嬉しいしことはありません。
私と友だちになってくれて、ありがとう😊
シアワセでいてね、Nahomiちゃん☺️
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