五感

小学生のぼくは外遊びが大好きだった
小高い山全部が公園
公園だけど遊具じゃ遊ばない
落ち葉を踏むと聴ける音
風が吹くと聴ける木の音
枝葉の隙間から見える雲
楽しくて仕方なかったな

家は母と祖母の関係が悪く空気が澱んでいた
父は常に苛立ちと疲れをまとっていた
感情は思い出せないけど
逃げ込むように
学校からの出入り禁止の場に足が向いていた
今となっては笑い話しだけど
小学一年生でカツアゲされた
金の確認にジャンプさせられた
笑える
あの子たちは、どんな大人になったんだろ

本能で両足の靴下の中に
お金を隠していたぼくは
恐怖心と一緒に優越感を味わっていた
『商売の邪魔だから、、』
そう聞かされた塾通いは
楽しいから程遠く
ぼくは四年生になっていた

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