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間取りって楽しい。

チラシや雑誌で間取りを見て妄想するのが、小さい頃から無性に楽しみだった。

実家は古い木造家屋で家の一部に納屋があり、お風呂は外。トイレはボットン。
台所は半分土間でその奥には自家製のお味噌を仕込む暗い部屋あり、台所に続く納屋ではお正月のお餅つきをしたり、お米などの備蓄がされていたり。暗くて寒くてだけどお客や親戚が集まるお座敷や仏間は広々と明るくて、おじいちゃんの世代に建てられた家。
小学生まではそのようなお家がたくさんあったので別段何も思わなかったが、中学に上がるころには、何か自分の家だけが特別古臭いことに意識が向くようになる。友達もあまり呼びたくなかった。自分の部屋は高校生の時に初めて3畳間のスペースを与えられる。
トイレはやがて水洗に、お風呂も改築して家の一部に設置されるが、冬は寒くて、夏は窓全開で虫たちと共存するかのような暮らし。wwww
今は微笑ましいと思えることでも、当時は苦痛でしかなかった。

チラシの間取りを見ては、自分の部屋はここ。こんな部屋がいいとか、玄関からお家に入ってリビングで寛ぐ姿を妄想したり。
いよいよ本当に理想や妄想ではなく自分の間取りを作ることになって、本当に信じた思いは叶うのだと確信する。

仕事がDTPなので、制作ツールには事欠かない。建築CADはさすがに使えないがイラレやフォトショを駆使し、1cm×1cmの方眼メモリを作ることからスタート。超楽しい。
最初に間取り作成の真似事を始めてから、あれでもないこれでもないと、土地探しや資金繰りと同時進行しながら結局一年ぐらいかけて完成。

なんと、ほぼ、自分の書いた間取り通りの家ができた。

MACで作画

地震などの災害に強く、シンプルで小さい家。
軒高は6m以下に抑え、とにかく軒を深く低くが目標。
ひっそり隠れ家のように暮らしたい。
1日の始まりと終わりには必ず使う水回り(洗濯や掃除、風呂・トイレなど)を贅沢な広さに。
二階はロフト風に天井高を抑えているが、建築基準では二階建。
1階の平均高さは2m前後、1番低いところは180cmほど。
2階も同じく人が立って歩ける高さは確保し、必要以上の高さはなし。
小さくてもできる、錯覚を利用した間取り。
せまくて低めの玄関から少しだけ広がる天井高のリビングに入った時の開放感を目指す。低いところから少しだけ高いところへ、狭いところから少しだけ広い場所へ。この変化をうまく設計できればより広がりと高さを感じられる気がする。

そして自然光の取り入れ。
天井にシーリングライトをぶら下げない(埃がたまる高い所の掃除が面倒)
できるだけライトを使わずに、自然の明かりで目覚め、日没とともに眠る。
太陽がどの方角から登ってきてどの角度で沈んでいくのか。それに合わせてどこで寝るのが良いか、どんな時間に太陽の恩恵を受けたいのか。春分の日、秋分の日の太陽の角度をしらべる。

もうひとつのこだわりは、部屋の広さは抑えつつ、外部とどう繋がれるかということ。リビングから同じ高さのデッキで広さを確保。

2階もロフト風の多目的フロアは物置スペースぐらいの広さしかないが、そこからガレージ上のデッキに出ると超絶気持ちの良い開放感。

20年以上のアパート暮らしで身についた、暮らし方の極意。
常日頃感じていた不満というか不具合というか。
外とのつながりのない家って嫌だなとずっと思っていたのだ。

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