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感想「M‐1グランプリ2023 」大会と調和

M-1グランプリ2023の敗者復活戦・決勝戦・M-1ネクストデイの感想

ネタの内容ではなく、大会全体について感じたことをまとめた記事です。

振り返ってみると M-12023は、敗者復活戦の審査方法変更が一番良かった。

マイクの調整について

まずは大会全体のこととして、マイクの調整について。
敗者復活戦・決勝戦、ともにネタ中の声が聞こえにくく感じた。
敗者復活戦は大きな会場だから声が拾いにくいのか?と思ってたけど、決勝戦もなんだか聞き取りづらかった。気のせいかもしれないけどM‐1見てて「内容が聞き取りづらい」と思ったことなかったので、一応書き留めておく。
マイクの設定、いつもと違ったりするのかな?気のせい?

敗者復活戦

М‐12023は、敗者復活戦の大幅な変更が印象に残った。

…あれ?  SECONDの芸人ファーストの理念・真剣さがM‐1に伝播している…?
M-1とSECONDとで、いい化学反応が起きているように思った。

今年の敗者復活戦は、出場してくれる芸人さんを大事にしようという気持ちをすごく感じました。敗者復活戦の変更点、とても良かったです。

敗者復活戦の会場を、寒くない屋内にする
(出場者のコンディションを下げないという配慮)←もちろん観覧者の方の負担軽減も◎

敗者復活戦の審査方法刷新
(ここまで勝ち上がってきた出場者に、納得のいく勝ち方・敗け方をしてもらおうという配慮)

勝者を「敗者復活戦」内で決定する
(決勝の会場に勝者が移動する際、余裕をもって間に合うようにする。勝者の負担軽減・生放送のトラブルを減らす)

敗者復活戦2023 主な変更点

ダイの大冒険でバランが「いまさら・・・生き方を変えられん 大人とはそういうものだ・・・」って言ってたけど、え?大人でも、変わっていけるんだ……!?と勇気づけられた。

変な意地を張らないで、改めるべきだと思う部分を見直し、より良い姿に変化していけることはとても素晴らしいと思いました。

敗者復活戦の審査方法について

審査方法が新しくなり「観客による審査で3組を選び、その中からプロのお笑いの方が投票して、勝者を決める」方法になった。初めての試みなのに、すごく良かった。

SECONDの観客審査方法は「先攻後攻それぞれ3点満点」で決めるもので、M-1敗者復活の観客審査方法は「暫定勝者と比べて今のコンビとどちらが面白かったか?」を選ぶ投票制。

観客による審査で「この二つのうちどっちがいい?」というルールは発明だと思いました。

色んなコンビをぶっ続けで大量に見ていると、観客は前半組の記憶が薄れたり、疲れて後半組の判断能力が落ちたりする。なので、「今の組と暫定組、どっち?」というルールだとジャッジしやすいなと思った。
SECONDの三点満点も発明でしたね。「とても良かった・良かった・まあまあ」くらいの3段階なので、点数というか度合いを決定すればいいから、わかりやすい。

プロではない一般の方に審査してもらうのって、「素人でもわかりやすい審査方法」「チケットを買って来てくれる等、大会に真剣な方々に任せる」の二つが大事なんだなと思った。

プロの芸人審査は、一般審査で勝ち上がった3組の中から匿名投票する多数決。
誰が誰に投票したかはわからない、という投票方法にすることで、審査員を務める人に「審査員のオファーを引き受けてもらいやすくする」「M-1ネタ審査の経験をとにかく積んでもらう」という考えがあるのかなと思った。
審査員不足解消のために、後継者を育成したいという気持ちを感じた。プロの方なら、匿名でも責任もって投票してくれるもんなー、なるほど。良かったです。

決勝戦

「トップバッターで最終決戦に残るのは2005年の笑い飯さん以来です!」

「嬉しいです!トップバッターで優勝するのは中川家さん以来です!」


…令和ロマンのくるまさん、М‐1図鑑を丸暗記してる小学生みたいでよかった。

「これはコーカサスオオカブ
ト!!!!!!!!!!!!!!!!」
って大はしゃぎする虫採り少年と完全に一致

令和ロマンさんは2人とも堂々としていたのが良かったし、ネタも面白かった。場の流れも掴んでいて、納得の優勝だった。

「自己プロデュース力」が必要な大会になった?

ここ数年のM-1は、場の空気に合わせたネタを披露した組が勝ち上がるような大会になっている印象。
M-1王者って「ネタの面白さ」「優勝後のバラエティ適正(あればより◎)」の2つが求められると思うけど、近年はさらに「大会を勝ち上がる自己プロデュース力」が求められるようになってきたと思う。え?3つも強スキルを求められるのか?

これってなぜなのか。なぜM-1当日の空気に合わせてネタを変更したり、立ち回りを変えたりという自己プロデュース力が近年の大会で重要になってきているのか、考えていたんですが。

…大会がより「ガチ」の審査でファイナリストを選出するようになったから、なのではないか。
ガチの選出により、ファイナリストのネタ印象の食い合いが発生しやすいので、個人で対策を練らなければならないから、かなと思う。

今までの大会は、実力に加えてさらに、ファイナリストの調和を考えて選出していたのでは。

大雑把にいうと

・「しゃべくり漫才・コント漫才」
・「売れっ子TVスター・無名ダークホース」
・「コメント受け答えが頼もしい盛り上げ上手コンビ・アドリブ苦手だがネタは天下一品コンビ」

みたいな各要素を持った組を、全体の調和を考えてファイナリストを決定していたからなのでは。もちろん王者にふさわしい実力を持っていることは前提条件として。

ネタ番組であり、TV番組として盛り上がるように、見て面白い番組になるように「調和」が非常に大事だと考えていたのでは。昔のM-1は。

だから昔はある種「番組が事前に各組プロデュースしてくれている状態」というか。どの組も埋もれにくいように、印象が被らない調和をあらかじめ設定して選出していたのではないか。

それがなくなったのが近年。
ファイナリストの選出条件のバランスを「全体の調和」より「ガチの選考」に重きをおいた結果、ネタ印象被り等の懸念は、出場者それぞれが対処しなくてはならない大会となったのでは。セルフサービスの飲食店的な。

近年、予選の様子を配信されることが多くなったので「観客にネタを知られている」リスクも関係しているような気もするけど

選考における「ガチと調和」というのは、どちらが正しいとかじゃなくて、バランスが大事なんだと思う。
やっぱり大会自体が魅力的に映らなければ、M-1チャンピオンに価値を見出してもらえないと思うから。ガチと調和のバランスって改めて、難しいなと思った。

爆発って、個人で起こすものではなく(ネタ順含む)大会全体の調和の妙で起こるものなのかもしれない。

でもガチ寄りの選考で実力ある人が報われてほしい。でも調和はエンタメの観点ですごくきっと大事な要素なんだ…難しい…

M‐1ネクストデイ

M-1翌日に、「昨日のM-1+舞台裏映像を編集したVTR」を見ながら、司会者とファイナリストとゲストで語り合う生放送…?

…スタッフの方、徹夜何日目ですか?  働き方改革とは…

スタッフの寿命を生贄に視聴者の娯楽を召喚してターンエンドはちょっと心配になりました。

いろいろ新たな試みを実験してるんだろうし、ありがたいですけどね。
「決勝後の座談会を、配信ではなく地上波でやったら視聴率はどれくらいか?」という実験かなー

M-1の豪華なセットを1日でバラすのはもったいないし、翌日同じ場所で何かしたいという考えは確かに面白いなと思った。
アナザーストーリーは優勝者の過去映像を掘り起こす手間があるけど、ネクストデイは当日の本番や舞台裏の映像だけでいいから編集の手間が少なくて済むのかな?

おわりに

M-1グランプリ2023は、敗者復活戦のルールなどを大幅変更という変革の年だった。
大人でも変われるんだ!すごい!

今年のM-1も面白かったです。このお祭り感は格別だなあ

M-1にはこれからも色んなチャレンジをして、失敗したり成功したりの試行錯誤をしてほしい。
これからも愛される大会、長く続く番組であってほしいです!

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