メンタルヘルスマネジメント検定Ⅱ種 1-9 「ストレスチェックと面接指導」

 ストレスチェック制度は2015年から適用されています。年に一回、定期的に行わなくてはなりません。実施義務があるのは50人以上の事業所です。50人以下の場合は努力義務となります。派遣労働者の場合は派遣元の事業所が行います。
 ストレスチェックや面接指導を行わなくても罰則はありません。しかし、制度に関するもので罰則があります。
①実施状況の労働基準監督署への報告違反(内容の改ざん、報告漏れ)
②ストレスチェック、面接指導の記録違反(内容の改ざん、保存漏れ)
③守秘義務違反

また、実施を怠ると安全配慮義務違反に問われる可能性もあります。

ストレスチェック実施の目的は①労働者のストレス状態を事業所も労働者も把握する②職場改善につなげて、労働者のメンタルヘルス不調を防ぐ ことです。

 実施者(試験管)は医師・保健師と、一定の研修を受けた看護師・精神保健福祉士・歯科医師・公認心理士に限られます。
 ストレスチェック実施事務従事者の資格は不要ですが、人事権を持つ監督的地位者は従事できません。
 ストレスチェック制度の実施規定・計画・方法を調査審議する衛生委員会
を設置する必要があります。

  ストレスチェックは①原因②自覚症状③周囲の支援の3項目によるチェックを行います。これらを満たしたものであれは調査票を事業所で選ぶことができますが、「職業性ストレス簡易調査票」を使用することが推奨されています。
 ストレスチェックの詳細については衛生委員会の調査審議を経て事業者が決定します。ストレスチェックの受験を推奨することはできますが、強制的に受験させることはできません。
 結果通日は実施者が受験者に知らせます。受験者の同意が無い場合は事業者に結果を通知できません。

 チェックの結果、面接指導が必要であるとされた場合、事業者は医師による面接指導を行わなくてはなりません。申し出から1か月以内に行われますが、申し出の推奨はできません。
 面接指導の記録は5年の保存義務があります。

 面接指導の結果、必要に応じて以下の措置を行わなくてはなりません。
①就業場所の変更
②作業の転換
③労働時間の短縮
④深夜業の回数の減少
⑤医師の意見を衛生委員会(安全衛生委員会や労働時間等設定改善委員会)への報告
など

 ストレスチェックの集団分析は10人以上の集団について行います。

 本人の同意なく開示しないなど、健康情報の適正な取り扱いが求められます。実施者には各種法律によって守秘義務と罰則があります。
 面接指導を申し出したことで、労働者に不利益となる対応を取ることを禁じられています。

 常時50人以上を雇用する事業所は検査結果報告書を所轄の労働基準監督署に報告しなければなりません。
 

 ストレスチェック制度に触れましたが、国内に300万以上ある小規模の事業所では義務化されていません。小規模は下請けであるため、依頼先からのストレスを受けやすい構造となっております。こうした制度やハラスメントの研修を受ける機会も少ないことで、何らかのストレス過多につながることもあります。例えば介護事業者は小規模が多く、かなりのストレスがかかるにも関わらず、大部分はストレスチェックが行われていません。

 全国民がストレスチェックを受けることができる体制が必要なのではないでしょうか。
 


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