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ゴールデンな物語。No.2

「あらぁー」
キッチンで自分の分の朝ごはんを用意しているオレの背後で、オカンの声がした。
「今日は早起きじゃない?」
「あー、今日は早番だからな。」
オレは、目玉焼きを焼きながら答えた。
そうラピュタパンを制作中なのだ。
アニメ映画で主人公が食べてた、トーストの上に目玉焼きのっけるアレ。オレのは、もうちょっと豪華にハムものっける。ケチャップもかける。
チーズのっけるときもある。
「いつもギリギリまで寝て、何も食べて行かないから、体に良くないって心配してたのよ。」
「んー、それは遅番のときだな。昼休憩を交代でとるじゃんか、オレ昼の3時とかになるワケ。だから、中途半端っていうか、」
それで閉店作業終わらせて、鍵かけて、鍵を事務所に預けて、職場から駅まで歩いて電車に乗って時々電車の中で寝てしまって、気がついたら行き過ぎてて、引き返すのに反対のホームまで行ってまた電車待って、ってなると家に着いたときは、飢餓状態。それで、フロ、メシ、寝る。でもなんだかんだ力仕事で体力使うし接客で気が張ってるから、ついつい長風呂すんだよ。そしたら、オカンがオレが溺れてるんじゃないかって、ヒヤヒヤしてる。
10連休の人も世の中にはいるみたいだけど、人が行楽に動くとき、経済も回る。オレの目も回る。いそがしいときに限ってアクシデントは突然に
やってくるしクレイマー、クレイマーは嵐の中に突如あらわれる。ゴールデンウィークはカレンダーの赤い印のところ、すべて勤務日だ。
儲かるのはいいことだが、オレは思う。
すなわち、オレが休みの日にわんさかお客が来てオレが出勤してる時間は比較的穏やか~に過ぎていってほしいな~、でもそんなことにはならないのだけれど。
働くのってさ、ドラマ以上にドラマチックだよな。もちろん
お客様によろこんでいただけたとき、ねぎらいの言葉をちょうだいしたとき、お客様の方から「ありがとう」とひとこと言って貰えたら、こちらも心から「ありがとうございました!またのご来店をお待ちしております」って、言うのにな。
あ、こんな時間か。朝の時間の進み方ってなんか早いよな。朝ごはん、しっかり食っとかないと、いそがしかったら休憩のこと忘れられてて、自分も接客中だったりしたら、「あの、実は今から昼飯なんで別の者に変わります。」なんて言えないし。そして早番の日はいつもより早く上がれる代わりに晩飯も食べずに寝落ちしてしまう。
そんなゴールデンな日々が今日も音をたててやってくるぜ!

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