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前回、当ブログで、自身の体験から、私立の中高一貫校で旧制中学以来の校風が受け継がれているという話をしました。

 私立の中高一貫校の中には100年以上の歴史をもち、戦前は旧制中学だった学校もいくつかあります。

 例えば、灘、開成、麻布、海城、巣鴨、早稲田、本郷、芝、暁星、攻玉社など。

 伝統校がずらりと並びます。

 は、大正から昭和にかけて灘の酒蔵が出資してできた学校で、建学者は、柔道の講道館を開いた近代柔道の祖、嘉納治五郎。

 開成は、大学予備門(第一高等学校の前身)進学者のための受験予備校(共立学校)でした(小説「坂の上の雲」に出てきますが、この時代、正岡子規と秋山真之が通いました)。

 海城は、もと海軍予備校でした。

 旧制中学とは、戦前の中等教育機関のことです。

 戦前は今と異なり、小学校の6年間までが義務教育でした。

 小学校を卒業すると、5年制の中学校(旧制中学)に進むには受験が必要でした。

 当時の日本は儒教思想が強く、中等教育以降は徹底した男女別学で、中学校や高等学校に進学できるのは男子だけでした(何という時代!)。

 中学校=全て男子校 だったわけです。

 しかも、当時の中学校への進学率は1割程度の狭き門でした。

 小学校からは、高等小学校への進学が7割前後あったようです。

 中学校を修了すると、受験し、高等学校(3年制)に進学することができます。

 旧制高等学校は、現在で言えば、大学の前期の教養課程に相当します(非常に高いレベルでリベラルアーツを学ぶ場だったといいます)。

 当時の大学進学率は1%程度という時代でした。

 つまり、戦前には、現在の中学受験に相当する旧制中学受験があり、現在の大学受験に相当する旧制高校受験がありました。

 今と異なり、かなり限られた層しか中等・高等教育に進学せず、また現在の高校受験に相当するものもありませんでした。

 昨今、中学受験が過熱し、受験生が毎年増加していますが、歴史をひもとけば、中学受験自体は戦前からあり、ごく限られたエリートを選抜し、養成するためのものでした。

 現在の中学受験における私立の伝統校には旧制中学から戦後中高一貫校に衣替えしたところも含まれており、時代を超えて、優秀な生徒が集まるベースになっているところがあるように感じます。

 学校選びにおいて、校風やその背景となる歴史を知ることは結構重要な気がします。

 そのうえで、自分の子がどのような校風、雰囲気の学校が合いそうかによって志望校を検討していけばよいと思います。


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