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前回、開成中と麻布中の合格者は塾のどの校舎が多いか、そこから何が見えてくるかという話をしてきました。

 偏差値からではわからない、両校のカラーや校風の違いに反映される特質みたいなものと関係がある、ということを書いたのですが、これと同じようなことを言っていた記事がありましたので紹介したいと思います。

 2021年8月のアエラの記事で、中学受験をする際にどう学校を選べばいいのか、教育ジャーナリストのおおたとしまさ氏に聞く、という内容でした。

 氏は、ご自身が麻布中・高出身で教員免許も持ち、教育関係の本を出したり講演したりしている方です。

 発言の中で特に共感したポイントを少し引用します。

 『 一番大事なのはやはり、豊かな思春期を過ごせるということ。

 単に大学受験で難関大学に入りたいのであれば、公立高校でも実績を出し ている学校はあり、極端なことを言えば、朝から晩まで予備校に通っていれば、最も目的を達成しやすい。

 でも学校は、単に教科書の内容を習いにいくだけの場所ではなく、各学校で育まれた文化をシェアしあう場であり、さまざまな文化に触れる場でもある。

 私立の場合は、学校自体に受け継がれている文化があり、その文化を吸収できることの意味が大きい。

 そこで生まれる文化というのは、学校独自の“非認知能力”とも言える。

 社会学の言葉でハビトゥスと言われるもので、それぞれの学校でこの非認知能力がブレンドされ、育まれている。』

 そして記者からの「どの学校の理念や文化が、わが子に合うのか、どんな観点で見ればいいのでしょうか」という質問に答える形で次のように語っています。

 『 学校選びはパソコンや家電を買うようなショッピングとは違い、コスパやスペックで選べないもの。

 結婚に例えるとピンとくるかもしれない。

 この人とならしっくりくる、落ち着くというような総合的な感覚を大事にする。

 学校選びでも実はそういう感覚が大事。』

 なるほど、そう言われると確かにそれはあるかもしれない、と納得感を覚えました。

 私自身、中学が私立だったこともありますが、わかる気がしました。

 最寄り駅から学校までの道すがら目にする風景、登下校する生徒の様子、学校説明会等で学校の敷地の中に足を踏み入れた時や校舎や体育館に入った時のインスピレーション、説明会での先生によるプレゼンテーションの様子、説明会に参加している他の保護者や子供の身なりや所作。

 こうしたところからでも感じ取れるものは確かにあり、それは偏差値やネット情報からでは決して汲み取ることが出来ないものだと思います。


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