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ドイツの自動車部品展示会レポート

IZB 自動車部品サプライヤの見本市

少し前になりますが、2022年10月にドイツのウォルフスブルクという街で開催された、自動車部品の見本市に行ってきましたので、現場で回ったブースからいくつかピックアップして、リポートをお送りしたいと思います。

IZB とは?

ドイツ最大の自動車メーカー、Volkswagen(フォルクスワーゲン)の本社工場のお隣にあるコンベンションセンターで行われる自動車部品メーカーの見本市です。いわゆる、Tier1と呼ばれる自動車メーカーに直接納入するサプライヤーや、2次下請け以降のサプライヤが中心となって、新たな技術をアピールする場となっています。
元々は、VWのサプライヤがVWに向けて技術をプレゼンする場だったとの説がありますが、現在はBMWやメルセデスベンツの技術者も来場したり、広く一般的な展示会となっているようです。
元々、2年に一度開催だったようですが、コロナでしばらくお休みしていたようです。
今回、久しぶりにオンサイトでの開催となりました。

VWVの本社工場

1. NIDEC

欧州系の企業がメインではありましたが、我らが日系企業もいくつか出展していました。日本を代表する名物経営者 永守会長率いる日本電産もブースを構えていました。
主な展示品は、彼らの強みであるモーターを中心に、その応用製品をPRされていました。世界市場で高いシェアを持つ、電動パワーステアリング用のモーターや、電動化で重要度が増すという、電動のウォーターポンプなど、幅広い製品群を展開しているとのこと。
日系ですが、ブースには日本人の方はほとんど見受けられず、ローカライズが進んでいると感じました。

Nidec ブース

2.VALEO

フランスの大手Tier1
自動運転に不可欠なセンサーや、電動化に使われるインバーター、充電器などを展示。
ADASという、運転支援システムには、白線や前の車を検出し、運転をサポートするためのカメラ、後方の車を検知して車線変更を安全にアシストするレーダー、パーキングを支援するソナーなど多種多様な対応が可能とのことでした。特に、カメラについては、VWの新型EV IDシリーズや、ホンダ車にも採用されているそうです。
欧州だけでなく、アジアでも高いシェアを誇るそうで、皆さんが日本で乗っている車にも何かしらVALEOの製品が必ず載っているとのこと

Valeo ブース

3.アイシン精機

日本の大手Tier1のアイシンさんも展示されていました。
結構、大きめのブースに、電動WPやE-Axleが展示され、日本人の説明員の方もいらっしゃいました。
アイシンさんは、ベルギーやチェコに拠点があり、欧州自動車メーカーにも部品を供給されているとのこと。
今後は、電動化に向けた以下製品を拡販、納入していくそうです。

アイシン精機 ブース

4.Marelli

イタリア系のMagnetti Marelliと日系のカルソニックカンセイが合併して誕生したマレリも展示ブースを出していました。
彼らも、電動化を強くアピールしており、ポルシェのEVタイカンにはすでにモーターを供給している実績があるようです。
今後は、インバーターを一体化したE-Axleを広く展開していく予定。
日本とイタリアで開発は分担して対応しているとおっしゃってました。

Marelli ブース

5.Continental

ドイツのメガサプライヤーのContinentalのブースです。
電動ブレーキやモーターの回転センサーなどの展示がありました。
無線充電も開発しており、将来は走りながらの充電なども検討されているようです。
コンチネンタルといえば、タイヤメーカーのイメージですが、今回はタイヤの展示はなく、自動車部品部門がメインでの展示となっていました。

Continental ブース

6.BOSCH

世界最大の自動車部品メーカーのBOSCHのブースにも訪問しました。
日本でBOSCHというと、電動工具のイメージですが、実は売り上げの6割くらいが自動車部品だそうです。売り上げ規模では、日本のデンソーよりも大きく世界最大です。

展示のメインは、ドイツに新たに工場を建設する半導体の製品群でした。また、ブレーキやステアリング向けの製品も展示されていました。

BOSCHブース

7.TI Automotive

フランスの燃料タンクメーカー
電動化によって、内燃機関が縮小するため、サーマルマネジメントに注力している展示となっていました。
バッテリーやインバーター、モーターなどの冷却が、航続距離を延ばすためのキーになるとのPR。

TI Autmotive

総評

この他にも、たくさんのブースを回りましたが、コロナはどこへいった?というぐらい、来場者も沢山来ており、皆さんマスクもなしで話混んでいるのが印象的でした。

欧州は、VWのディーゼルゲート事件以降、ディーゼル車をやめて、一気に電動化へ舵を切ろうとしており、サプライヤーの展示もそれに合わせたものとなっていました。
もちろん、EVを増やすといっても、リチウムはじめとしたバッテリーの素材の供給や、コスト、そして、航続距離や充電時間など、課題は山積みなのですが。
また、内燃機関に比べ、圧倒的に部品が少なくなるEVに対して、各社の生き残りをかけた戦いが熾烈になってきている、とも感じました。

今年も、ビジネスの種を探すべく、欧州での展示会を巡りたいと思っていますので、またレポートしたいと思います。

現場からは、以上です。

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