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宇宙戦艦ヤマト2199

一番最初の、イスカンダルへ行く作品のリメイク。
これが発表されたとき、失敗しか予感しなかったし、火中の栗を拾うスタッフの蛮勇とも感じた。なにより当時は、松本零士と西崎義展の間での訴訟のしこりは残されていた。だからキャラクターは一新された。

でも。
それがむしろヤマトという戦艦の構造や職務体系や階級やご都合主義の撤廃に繋がって、いい改善になったし、終わらせ方も「続編作らない」風にしたことが最大の称賛だった。

むかしは森雪ワンオペが異常でしたが、ちゃんとレーダー複数交代制のひとり、船務長という階級もあり、ナースや食堂掛け持ちなんて撤廃して別キャラクターが作られている。何よりも女性クルーが多数というのも、現実味があった。
ミリタリー好き、海自マニアも好きそうな設定もしっかりしていたし、敬礼も海兵式。こういうディテールは細かかった。2199は想像を超えて、設定は矛盾点や疑問点を現実的に作り変えてくれた。

狭い船に艦載機を収納。旧作の謎空間の矛盾も解決しているのは流石

艦内保安部があることや、星間長距離航行を想定した艦内放送(YRA-radio YAMATO)。食糧の原料は知らない方がいいよとか、「こんなこともあろうかと」と都合よくない真田さん。エネルギー弾が使用できなくとも実態弾(三式弾)が使用できる主砲・副砲。
いちばんの新キャラクターは、この人だろう。

こういう叩き上げの人がいないと戦艦は締まらない

立ち位置的には、福井晴敏著「亡国のイージス」先任伍長の仙石を彷彿させる。この存在が、嘘くさかった修繕や被弾処理その他をキチンと補正してくれた。七色星団のドメル決戦のときに第三艦橋を死守したのも榎本とその班のクルーたち。人間的にも憎めないオヤジ。こういう人物が生き生きとしていたのが2199。

いまどきアニメだから、こういうのもアリ。松本零士のキャラはセクハラでしたけどね。


ちゃんと海兵式敬礼なのが嬉しい。旧作でやってた謎の胸敬礼よりも格調を感じる。

2199で、波動砲を二度と使用できないよう封印してイスカンダルから帰路に就く。続編は作らない。出渕監督の強い意志に感服した。

しかし

BANDAIはウルトラマンもガンダムも、金になりそうなら辻褄二の次で商売にするスポンサーだ。続編しないという出渕監督を降ろして、別スタッフで2202という続編を作った。賛否両論だ。ワシは個人的には不要だったと思っているし、やるならば2199の純粋な続編であって欲しかった。
単なるむかしのリメイクに戻したから、ご都合辻褄合わない旧作の矛盾点がみんな戻ってしまった。がっかりだ。
先任伍長は活躍しない。でも脚本やってたのが、「亡国のイージス」著者の福井晴敏というのが、拍車をかけて悲しかった。

旧作のスケベロボットも2199ではヤマトの自立ユニット設定だった。2202はそれも壊して、人格個体にしてしまった。物凄く残念。

だから、2199で終わりでもいい。
そう思っている。

イスカンダルの帰りにも事件があっておかしくないという設定の
劇場版「2199星巡る箱舟」
旧作はさっさと帰ってきたからね