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《風神雷神Ⅱ》嵯峨野小倉山荘色紙和歌異聞~七十四の歌~

《風神雷神Ⅱ》原作:源俊頼朝臣
「ロックコンサート行かへんか?」「誰の?」
「The HATSUNE KANNNONS。」「ほんま!? えらいべっぴんバンドや言われてるやないか。行こ行こ。」
―コンサート会場―
「すごい人やなぁ。それにエライ盛り上がりようや。俺らもはじけようか?」「よっしゃー!暴れるで!吹けよ風、呼べよ嵐!」
ピカピカ、ゴロゴロ、ブヲー、ブヲーン!ドシン、ドシン!!メリメリメリー!!!
「ちょっと、あんたら、なんやのん? コンサート台無しやないの! かみなりは落ちる、嵐は吹き荒れる。ぐしゃぐしゃにして、誰も居らんようになったやないの! しまいにゃ、シバくで!!」

<承前七十三の歌>
式子と定家の沈む泉の流れの先には蛍が飛び交っている。
「幻のような」
式子がうっとりと眺める。
「定家にとっては式子様こそが幻のような」
定家は式子の額に口づけをした。
「うかりける 人を初瀬の 山おろし はげしかれとは 祈らぬものを」
「初瀬の風は冷とうございますが、この泉の水のそれには及びますまい。このように定家は式子様を身体の中に取り込めて温め参らせる」
定家の大きな腕が式子を羽交い絞めにした。
「あぁ、定家様、式子の息をつめて滅ぼして下さいませ。式子はそうして昇天いたしまする」
黒髪を揺らし式子は定家の胸の中で喘いだ。
<後続七十五の歌>

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