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もんじゃ焼きを食べた話

 初めてもんじゃ焼きを食べに行った。僕は今までもんじゃ焼きの存在は知ってはいたものの口にした事は無かった。お好み焼きはしょっちゅう我が家で登場するのであったが、もんじゃ焼きの「も」の字も無かった。親にもんじゃ焼きが食べたいと願っても、皆口を揃えてこう言った「そんな美味いもんじゃない」。今思い返せばもんじゃ焼きと引っ掛けたダジャレであったのかもしれないが、当事の僕は酷く激昂した。「美味いか美味くないか、なんて聞いてねぇーんだよ!!!その味が知りてぇつってっんの!!」とは言えるはずも無く僕は渋々お好み焼きを食べた。

 ついこの間、この話を友達に話すともんじゃ屋に行こうと言う話になった。これだよこれ、やっぱ高校生は色んなことを経験してなんぼだよなぁと考えながらもんじゃ屋に向かうとこじんまりとした店に着いた。中に入るとおおよそ10人程で満員になる店内に大きな鉄板が並んである。みんな各々好きな物を焼いており僕の中のボルテージは最高潮になった。そして友達に噂の土手を作ってもらい、中に出汁を入れた。これがほんとに美味いのか不安になる僕のことなぞ我関せずもんじゃは焼かれて行った。そしてヘラで少し焦げ目をつけ口に入れた。
「なんだこれぇー!!美味い、
美味すぎるぞっっっ!!」
とはならなかったが確かにしみじみとした美味しさがあった。もんじゃ焼きはとにかく味を伝えるのが難しい。あの時もんじゃの味を執拗に聞きすぎて怒らせてしまったお母さんごめんなさい。


 もんじゃ焼きの歴史を少し調べてみると、戦後まもない頃余った野菜をアメリカ軍から至急されたメリケン粉と混ぜて焼いて食べたのがどうやら根源らしい。そう思うともんじゃ焼きのあの薄い焦げ目に侍魂を感じる。そう考えていると土手から出汁がこぼれ出してしまった。

 

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