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ギャグ漫画風コント「クロワッサンの恩返し」

とある男子高校生2人組の下校中のお話


ヒロシ
「ってなことがあったんだよねー」

トオル
「へえ、そうなんだー」


不意に、1人の小学生くらいの少女が2人の目の前に現れる。


ヒロシ
「ん?ここらで見掛けない子だね」
「オレ達に何か用かい?」

少女
「突然すいません。実は私…」
あの時助けて頂いた、クロワッサンです


突然のカミングアウトに驚く2人。


トオル
「えっ?ク、クロワッサン?君が?」

少女
「はい、あのパンのクロワッサンです」

トオル
「いやいや、オレは助けた覚えないよ」
「あ!あの時の!ってならないし」

ヒロシ
「あ!もしかして…一昨日の?」

少女
「はい。一昨日の」

トオル
「いや、身に覚えあんのかよ!」


ヒロシは一昨日起こったことを話し始めた。


ヒロシ
「一昨日、母親が親戚のおばさんからお土産に美味しいクロワッサン頂いたわよって出してくれてさ」
「本人目の前にしてなんだけど、オレあんまクロワッサン好きじゃないのよ」
「あの食感がさあ、なんか食った気しないんだよね、軽すぎ」
「だから普通に残した」

トオル
「おいおい、ちょっとは気を使えよ」
「この子にもおばさんにも失礼過ぎるだろ」


少女が微笑みながら答える。


少女
「いえいえ。実はその時、食べなかったクロワッサンが私の母だったんです」
「あなたのおかげで助かりました。母も感謝してました」

トオル
「いや、そこまで恩に感じるようなエピソードじゃなかったけどね」


何やかんや、和やかな雰囲気が場を包んだ。


ヒロシ
「でもまあ、それでクロワッサンさんのお母さんが助かったのなら良かったよ」

少女
「あっ、クロワッサンで大丈夫ですよ」

ヒロシ
「じゃあ、一応クロワッさんで」

トオル
「何だその呼び方。変な気の使い方っ!」


少女
「母の代わりに何かお礼をさせて下さい」
「今日はそのために参りました」

ヒロシ
「うーんどうしようかなあ」
「じゃあ、この近所にある美味しいパン屋知らない?」

トオル
「そんなんでいいのかよ」
「もう少しマシなこと頼めよ」

少女
「すみません、私パンは食べませんので」

ヒロシ
「そりゃそうか。牛に美味しい焼肉屋さん聞くようなもんだもんね。ごめんごめん」

少女
「美味しい焼肉屋さんなら知ってます」

トオル
「それは知ってんだ!肉は食うんかい」

少女
「この道をそのまま行ってもらって、市役所脇の大通りを駅方面に向かって行って、その先の大きい十字路を左に行けば直ぐにあります」「牛牛亭というお店です。あそこのレバーは絶品ですよ。一度食べたらクセになります」

トオル
「君、ホントにクロワッサン?」
「小学生の女の子だとしても変だよ?」

ヒロシ
「そうなんだ。でも、あんまオレ、レバー好きじゃないからなあ。最近食ってないけど」

少女
「もちろんカルビやハラミ、他の部位も最高です。口の中で溶けますよ」
「サイドメニューの冷麺もおすすめです」

トオル
「君、そこのお店の子だよね?」

ヒロシ
「わかった。ありがとう。今度母親と親戚のおばさんと行ってみるよ」

トオル
「クロワッサンメンバーで行くなよ」
「なんか複雑な気持ちだよ」
「どんな気持ちで焼肉食べるつもりだよ」

少女
「それでは、私はこれで」

少女は深く頭を下げた。


ヒロシ
「うん。ちゃんと成仏してな」

トオル
「いや。この子、別にクロワッサンの霊ではないだろ。人間に化けてる的な子だろ」

ヒロシ
「じゃあね、クロワッさん!」
「お母さんによろしく言っといてね!」


手を振って別れる2人。
少女も再度頭を下げ、遠くへ歩いて行った。


そして、1週間後。


2人の下校中に見知らぬ少女が現れた。


ヒロシ
「おいおい、また別の女の子が来たぞ」

トオル
「今度は何だろな」

少女
「突然すいません。実は私…」
あの時助けて頂いた、レバーです

トオル
「お前、頼んだ以上はちゃんと食べなさい!」

おわり

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