日本と世界の明日に備えを

日本と世界の明日に備えを
 “シーチン”修一
【雀庵の「大戦序章」276/通算707  2024(令和6)年3/17/日】庭の雀の餌場に、大きくて緑色で美しいジャンボコザクラインコ、あるいはワカケホンセイインコらしい2羽が遊びにきた、と言うか“偵察”にきた。散歩コースの多摩丘陵の東高根森林公園には日本の野鳥よりも野生化した外国産の大きな野鳥がずいぶん住み着いているから、そこから来たのだろう。「日本で繁殖記録のある外来鳥は61種」にもなるそうだ(日本野鳥の会)。多過ぎないか?

朝日新聞デジタル2021/10/25「スズメやツバメ減少 外来種は増加 約20年ぶり『野鳥の国勢調査』」によると――
<国内で繁殖する野鳥の分布などを調べる約20年ぶりの全国調査で、スズメやツバメといった身近な鳥が1990年代に比べて減る一方、ペットとして持ち込まれたガビチョウなどの外来種が増えていることがわかった。NPO法人「バードリサーチ」や日本野鳥の会、環境省などが25日、発表した。
今回の調査はいわば「野鳥の国勢調査」で、1970年代、90年代に続き3回目。国内にいる鳥278種について、全国1947地点での観測データを90年代と比較した。鳥の移動を考慮しても全国的な分布の傾向や個体数の増減をつかめるという。研究者やボランティア2106人が参加し、各地点で繁殖期の4~6月に双眼鏡で観察したり、「ヒナの声を聞いた」「卵のある巣を見た」といった情報をアンケートで集めたりした。

その結果、北海道から鹿児島県・奄美大島にかけて夏鳥として分布するツバメは、90年代の1万4978羽から8987羽に減少。ほぼ全国に分布するスズメも、3万1159羽から2万627羽に減っていた。ツバメやスズメは農地など開けた場所を好むため、農薬や作物の変化が影響した可能性があるという。
また、ゴイサギやコサギなど魚を食べる小型の水鳥は、分布域が縮小した種が目立った。大型の水鳥は増えており、小型の鳥がエサにする小魚が、ブラックバスなど肉食の外来魚によって減っている影響が考えられるという>(以上)

外来種に限らないが、鳥による農作物被害は結構あるだろう。中国建国から間もない1955年の頃、毛沢東は稲の実をついばむ雀を天敵と断じて農民を総動員し、徹底的に駆除した。しかし、その反動で雀が餌としていた害虫が蔓延してしまい、期待と裏腹に米の生産量が激減、餓死者が大量発生したという。こうした失敗が重なり、トウ小平ら幹部により毛は政治の第一線から手を引きお飾りだけの名誉職に甘んじる羽目になったのだが、結果的に復権のために毛は「文化大革命」と称する内戦を始めて10年間も経済停滞を招いてしまった。「たかが雀、されど雀」である。

産経2018/12/28「増える外来生物 生態系、農林水産への影響懸念」によると、日本古来からの伝統的な雀などは随分減っているという。
<確か5、6年前(栃木県足利市)の冬の朝だった。庭に設置した野鳥用の水の飲み場に見慣れない鳥がいる。体長はヒヨドリ程度で、体色は茶褐色、目の上下に白い羽毛がよく目立つ。子供の頃、野鳥観察に熱中し、鳥を見分けるのは自信があったが、正体が分からない。
手持ちの図鑑にも見当たらず、インターネットで検索し、ようやく外来種のカオジロガビチョウと分かった。東アジアなどが原産で観賞用に輸入され、野生化したらしい。ガビチョウの仲間3種は生態系に悪影響を与えるため、外来生物法で特定外来生物に指定されていた。

取材すると、足利市内の民家では「全くうるさい鳥」と鳴き声に悩まされ、佐野市内でも数年前から「変な声で鳴く鳥がいる」と話題になっていた。日本野鳥の会栃木支部によると、ガビチョウは平成15/2003年に県内で初めて確認された。足利には群馬方面から別種のカオジロガビチョウが侵入し、年々その生息域を広げている>(以上)

小生は「秩序」が好きである。マキアヴェッリ曰く「自由はあるが秩序がない国、秩序はあるが自由がない国、どちらがマシか。結束・団結できない前者は戦争に負けるが、後者は一致団結して戦争に勝つ可能性は高い」。秩序がなければ国家は弱体化する。
遅れてきた“青年”帝国主義日本は弱肉強食の国際世界でとにもかくにも富国強兵に必死で取り組んだ。食うか食われるかの時代であり、それをしなければ列強の餌食にされるのが当時の当たり前のルールだったのだ。
戦前戦中の日本は明治23/1890年の教育勅語「一旦緩急アレハ義勇公ニ奉シ以テ天壌無窮ノ皇運ヲ扶翼スヘシ」、要は戦時にあっては祖国母国のために発奮して戦うべしという教えを国民は当然の義務と心得ていた。そうでなければ海千山千の国際社会の餌食になっていたろう。

たまたま小生は「海外旅行業界に情報提供して飯を食う」仕事に就いたため、平時においても日本人が行きそうな地域の情勢には関心を持っていた。1970年代に座先数が300席以上のボーイング747、通称“ジャンボジェット”が主流になると、運賃が従来より半分以下になり、海外旅行が身近な娯楽になった。それは結構なことだが、日本は治安がすこぶる良いために日本人は海外旅行先でも警戒心が薄く、置き引き、かっぱらい、スリ、強盗などの被害が急増した。旅行慣れしているビジネスマンでさえ、到着空港の公衆電話で「今、ロスに着きました」と日本本社に報告しているすきに足元のスーツケースを置き引きされるという有様だった(小生の同僚!)。

今でも日本人は警戒心が薄いようである。「世界は善男善女にあふれているはずだ、食糧難などで困っているならできるだけ支援しよう」などと海外に雄飛する人も随分多い。自分探しの“青春病”? 日本人のみならず米欧の若者も似たようなものか。最近知ったことだが、国連機関にイスラム教信者の若者が随分入り込んでいるようである。

BBC 2024/1/28「国連のパレスチナ難民救済機関、資金拠出停止の9カ国に再考求める 職員数人が攻撃関与の疑惑」から。
<国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の一部職員が、昨年10月7日のイスラム組織ハマスによるイスラエル攻撃に関与した疑いが浮上するなか、アメリカなど9カ国が資金拠出を停止すると発表した。これを受けてUNRWAのフィリップ・ラザリーニ事務局長は27日、「ショッキング」な決定だとして、9カ国に再考を求めた。
ラザリーニ事務局長は「複数の国がUNRWAへの支援停止を決定したため、命を救う私たちの支援活動が終わろうとしている」として、声明で「本日をもって9カ国がUNRWAへの資金拠出を一時停止した。その決定のため、この地域全域と特にガザ地区における人道支援活動の継続が、脅かされている」と述べた。
事務局長は、「少数の職員に対する疑惑への反応で、当機関への資金拠出が停止されるのはショッキングだ。UNRWAはその職員たちの契約を切り、第三者機関による透明性のある調査を依頼するといった対応を、ただちにとったにもかかわらず、拠出停止となった」とも述べた。

UNRWAの一部の職員が、ハマスによる昨年10月7日のイスラエル攻撃に関与していたとの指摘を受けて、オーストラリア、カナダ、フィンランド、ドイツ、イタリア、オランダ、スイス、イギリス、アメリカの9カ国がUNRWAへの資金拠出を停止した。
攻撃関与の情報はイスラエルが公表したもの。イスラエルはかねて、UNRWAを含む国連の諸機関がイスラエルに対して偏向しており、時には反ユダヤ主義的だとさえ非難してきた。

UNRWAは1949年に設置され、ガザで活動する最大の国連機関。ガザ、ヨルダン川西岸のパレスチナ自治区やヨルダン、レバノン、シリアに住むパレスチナ難民に、医療や教育などの人道支援を提供する。ガザ地区内では約1万3000人を雇用している。ハマスによるイスラエル攻撃を機にイスラエル軍がガザ地区での攻撃を開始して以来、UNRWAはガザ地区各地に持つ施設を避難所として、家を失った何十万人もの住民を保護してきた。

ラザリーニ事務局長は声明で、「UNRWAはガザにおける主要な人道支援機関で、200万人以上がただ生き延びるためにUNRWAを必要としている。飢饉が迫りくるなか、大勢が空腹を抱えている。UNRWAの避難所には100万人以上が暮らしている」と指摘。
事務局長はさらに、「一部の人間が犯罪行為で疑われているからといって、この機関と一つのコミュニティーの全員を制裁するなど、まったく無責任なことだ。特に、戦時において。この地域全体で大勢が住む場所を失い、政治的危機が起きている最中において」とも述べた。
ラザリーニ氏は、「UNRWAはその全職員の名簿を毎年、イスラエルを含むホスト国と共有している。特定のスタッフについて懸念を指摘されたことは一度もない」としたうえで、国連事務局の内部監査室がすでに「極悪な疑い」について調査に着手していると説明した。

イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の顧問、マーク・レゲヴ氏は26日にBBCに対して、昨年10月のハマスの攻撃には「(UNRWAから)給料を支払われている複数の人物」が関与していたと話した。
レゲヴ顧問は、UNRWAが運営する学校で働く教師たちが、ハマスの攻撃を「公然と祝った」のだと話した。この時の攻撃でハマスの戦闘員は、民間人を中心に約1200人を殺害し、約250人を人質にした。
レゲヴ氏はさらに、ハマスに拉致された後に解放された女性が、「UNRWAで働く人の家で捕らわれていた」と発言したことに言及。「ハマスが束ねる労組もある。国連はもういい加減、UNRWAとハマスのつながりを調査するべきだ」と述べた。

イスラエル側のこの主張を受けて、アメリカなど主だった資金拠出国がただちに反応した。イギリス外務省は1月27日に声明で、「イスラエルに対する10月7日の攻撃にUNRWA職員が関与していたという疑惑に、イギリスは愕然としている。イスラエルへの攻撃は、凶悪なテロ行為で、これをイギリス政府は繰り返し非難してきた」、「懸念される疑惑を検討する間、イギリスはUNRWAへの今後の資金提供を一時的に停止する」と述べた

これに先立ちアメリカの国務省は、UNRWA職員についてイスラエルが指摘する疑惑を「非常に憂慮」しているとして、資金拠出の一時停止を発表した。欧州連合(EU)は、「全面的かつ包括的な調査の結果をもとに」今後の対応を判断するとしている。
UNRWAの運営資金の大きな部分を、アメリカ、ドイツ、EUが提供してきた。国連のアントニオ・グテーレス事務総長は「とんでもないニュースだ」と述べた。イスラエルのイスラエル・カッツ外相は、今の戦争が終わった段階で、ガザ地区でのUNRWAの活動をやめさせるつもりだと述べた。

他方でパレスチナ自治政府のフセイン・アル・シェイク民生長官は、一部の国がUNRWAへの資金拠出を一時停止することは「政治的にも、人道援助にとっても、非常に大きいリスクを伴う」と懸念を示した。

ハマス運営のガザ保健省によると、昨年10月7日以降にイスラエルの攻撃でガザ地区では2万6000人以上が殺されている。UNRWAによると、3カ月以上の戦闘で、ガザの人口の約75%にあたる推定170万人が住む場所を失っており、その多くに人道援助がなかなか届けられずにいるという>(以上)

戦時国際報道では、当事国は当然ながら「我が方は侵略者による理不尽で非道徳かつ残虐な攻撃を受けている、我が方に支持・支援を!」とアピールする。死活を賭けた情報戦、プロパガンダである。自分は正しい、自分は被害者だ、敵は悪だ、敵に鉄槌を!と双方が主張するから、第3者は「群盲、象を撫でる」で何が真実か分からず右往左往したりする。ベトナム戦争では米国はこの情報戦に完敗し「悪者」にされてしまった。以来、米国に限らず自由民主国では「戦争は悪」「強者が悪党」、「弱者は善」「弱者は正義」となっていったよう。

米国は今や完全に「戦争反対」「強者が悪党」という価値観、見方が定着していったようだ。
米国という国自体、先住・原住民弾圧・虐殺、対英独立戦争、独立を目指す南部を弾圧した市民戦争(南北戦争)を経て出来上がったのだから、戦争反対なら猛省して「米国解体、米国消滅」運動でも始めればいい・・・考えてみれば「みんな地球市民!」「国境なき医師団」といった運動は、「国家があるから戦争になる、国家が無くなれば戦争にならない」という主義・思想がベースにあるのだろう。

「宮崎正弘の国際情勢解題」令和六年(2024)3月16日は興味深かった。曰く、
<ハマスが毎日発表するガザ地区の犠牲者数は「捏造だ」と米ペンシルバニア大学教授が実証した。同大ウォートン校(MBAでは世界一)で、データサイエンスを教えるアブラハム・ワイナー教授は「ハマスは毎日の死者を250名プラスマイナス15%と恣意的に決めており、また犠牲の70%を女子供とするなど、毎日の発表基準としているようだ」と述べた」>

うかうかしていると騙される、騙されるとメガネが曇る、そうなると判断を誤る、犯人を被害者にしたり、被害者を悪者にしたり・・・結局、戦争は勝った者の主張が「歴史」になり、負けた方は「悪」のレッテルを張られて100年ほどは惨めな思いをするのだろう。イスラエルのユダヤ人は祖国を奪われて2000年ほど世界各地を彷徨せざるを得なかったから、イスラム過激派ハマスを徹底的に殲滅するまで戦い抜く覚悟ではないか。
いずれにせよ、一神教は憎悪をもたらし、他宗との軋轢を生みがちになる。大昔は世界中が多神教で、栄耀栄華を極めた古代ローマも神々は元気いっぱいだった。神のために人がいるのではなく、人のために神がいる、という認識だったよう。世界規模での多神教化=宗教革命を進めれば随分住みやすい地球になると思うが・・・一神教で禄を食んでいる坊さんや儲けている信者にとっては到底受け入れ難いだろうが、21世紀版「宗教改革=空想から科学へ」はそろそろ必要ではないのか。

色々な課題は山積している。例えば移民問題はいずこの先進国でも苦しんでいる。動植物や人間にせよ、外来種が本来いるべき「場」から移動すると先住者は一般的に困惑するものだ。労働力不足を補うためといった目先の必要・利益ではなく、100年、500年先の国益を考えた「移民・移住の国際ルール」を創らないと「国柄」がおかしくなってしまうだろう。問題を次世代に先送りするのではなく、今の我々が次世代のために知恵を絞る必要がある。(次号に続く)
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