62歳手前で辞めることにした理由
雇用機会均等法、育児・介護休業法ともにその恩恵にあずかることができなかったけれど、高齢者雇用安定法の施行はなぜだかはまりまして、60歳になった時には「本人希望すれば65歳までは雇わねばならない」と企業側に義務付けされていました。
でも、実際には「給料半分、責任そのままのやりがい搾取」などと揶揄されていたように、給料は下がりました。まあ半分にはなりませんでしたが。
そもそも私は自分で言うのもなんですがプレーヤーとしてはたぶんそこそこ優秀で、定量調査といわれるいわゆる「アンケート調査」でも、「何を分析するのか」から逆算して調査票作り、集計し、Excelサクサクでグラフも作り、パワポで提言含めたまとめまで作っちゃうのも得意でした。
統計データをわかりやすくまとめるのも好きで、市場背景分析から予測までやっていました。
さらに「定性調査」といわれる座談会などでは調査目的に応じたシナリオ作成からモデレート、レポート作成まで一貫してやっていたし、ワークショップのファシリテーターから、BtoBの有識者インタビューまでやっていた。
さらに、ちょっとばかり語学もできたので、1社目では海外まで飛び回って日系企業の市場調査のマネージメントをしていました。
意外と定量も定性も両方できるという人って少なくて、さらに企画営業・実施マネージメント・集計・分析までを通して一人でやれる人は少ないので、クライアントには重宝がられていました。
そうなるとどうなるかというと、結局生涯プレイヤーで、「あいつに任せとけばよきにはからう便利なおばちゃん」になってしまうわけです。
さらには「24時間戦えますか?」の世代なので、引き受けた(押し付けられたことも含めて)ことはやってしまう。
またやっかいなことに、仕事は無茶苦茶楽しいので、なおやってしまう。
管理職というルートも、「使い勝手の良いプレーヤー」は管理職にするより働かせておいたほうが管理職にとっても会社にとっても良いので、いつのまにやらそのルートに乗ることもなく、「これはあなたにしかできないから」みたいな甘い言葉にのせられて、ここまで来てしまった。
たぶん私に私のような部下がいたとしたら、もうそりゃ最強の組織になってしたし、それならその子と独立していたと思います。
1社目はそれで残業時間半端なく、体がついていかなくなって辞めました。何度か倒れもしたけど、もともと丈夫なのか、責任感オバケなのか、やり遂げてしまう。
2社目はもうよい年だったこともあって、厚生年金の年数稼げればいいから、言われたことだけやっていようと思ってやっていました。
そのつもりだったから、役職もいらないし、給料下がってもいいやと割り切っていた。
でも、組織ってそういうのは見抜くんです。
「やれるならやってよ」で、いつの間にやら同じようなことに。
まあ10個仕事があれば2個ぐらいは面白いことが含まれていたので、それでだましだまし7年近くやってきて、定年を迎えました。
いろいろ思うところがあって、定年延長雇用の時は「便利なおばちゃんならもう残るつもりはない」とはっきり言って、雇用契約書も作ってもらった。
それはもちろん「もうやってられるか!」と自分自身が思ったこともそうなんですが、結局私が一人でやっていると、私がいなくなったらその仕事は終わってしまう。
クライアントにしても、別にその会社がやらなくなれば、やれなくなれば別の会社を探せばいいわけだし。
でも、「他の人がやりたがらないやっかいなものをやる人」というレッテルを貼られてしまうと、断れば悪者扱いになるし、さらにはそれをやるために「やりたい仕事」を取り上げられるんです。
それでもパートの時給よりは稼げるし、こっちの仕事も「嫌いではない」から続けようかなと思って2年近く。
でも、ふと「たぶん私がこの役割をいつまでも引き受けていたら、他の誰もやれるようにならない」ことに気づいてしまった。
そして、60過ぎてこんな働き方をしている必要あるのか?と思ってしまった。
「あなたにしかやれない仕事」の魔力は相当大きかったし、「仕事の対価として報酬を得られる自分」が「価値ある自分」だと思い続けてきたけれど、それって60過ぎても求め続けるべき価値なのか。
「仕事の対価として得られる報酬」に自身の価値を見出し続けていた私にとっては、やりがい搾取以上に自分の足元が崩れていくほどの自分の価値観への疑問がふつふつとわいてきてしまったのです。
人はいずれ働けなくなる。報酬を得られなくなる。
実際に昔なら一晩徹夜すればやれていたことができなくなったし、そもそも徹夜ができない(当たり前)。
若い人に「まだまだやれますよ!」と言われると、「いや、あなたの方こそもうちょっと頑張ったら?」なんて思う。
そこでもう潮時だなーと思ったのです。
このままあと3年続けたら、私はそこからどうするんだろう?
仕事は楽しくて、我慢しているやりたいこともない。なまじ要領が良いからかやりたいことは結構やっている。これから何年生きるかわからないから老後資金も欲しい。お金はあって困るものじゃない。
ということで、実はまだまだあれこれ迷ってはいるけれど、でも「もう無理だな」と思ったのです。
そして、あれこもこれもやれて楽しかった!と思えるうちに辞めようと思ったというのが今。
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