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猫の譲渡条件を厳しくしないで飼える人を増やした方が良くない?

鎌倉幕府の成立は1192年であると断言する大人は多いだろう。
だが、現在では1185年説が有力なのだそうだ。
これでは『いいくにつくろう鎌倉幕府』ではなく『いいはこつくろう鎌倉幕府』となり、容器メーカーのスローガンのようである。

なぜ日本史の話から始めたかというと、保護猫を譲渡してもらう条件を色々と調べてきた結果、『猫の飼い方』が新説に更新されないままの人が条件から外れてしまっている場合があるのではないか?と思ったからだ。

人間の子の育児にしても、数年で常識が一新されていく。
父母と祖父母の常識が噛み合わず、育児を巡ってバトルなんて話はよく聞くだろう。
それが保護猫の世界にも当てはまるのでは無いか?と考えた。

その確認のため、私は古書市で購入したした学研の『ジュニアチャンピオンコース 犬から虫までペットを飼おう』を開いた。

何年前の本かわからないが、ペット自慢のページに南沙織さん・森昌子さん・荒井注さん時代のドリフターズなどが登場している。
その頃の猫の飼い方にはキャットフードがそもそも登場しない。
エサの量も頭くらいの量という、現代ではお目にかかれないざっくりとした単位で表記されている。
今では当たり前に与えてはいけない物とされている牛乳やバターのイラストもある。
ベッドやトイレは段ボールなどで自作。
爪研ぎも木と荒縄で自作。
家が開けっ放しの時代において室内飼いなんて概念は存在しない。
その代わり「リードに繋げて飼うこともできるよ」程度のアドバイスがある。

これはさすがに時代が違いすぎるだろうが、10年前・20年前の常識のままでは通用しなくなっているのではないだろうか?

BBARの感覚で言えば、使い魔を迎えた18年前は猫をケージで飼うことに抵抗感がある保護猫ボランティアも多くいた。
BBARはケージを用意していたが、様子見に来た若い男性のボランティアさんが苦々しい顔で「檻に入れちゃうんですね」と言ったのをよく覚えている。
室内飼いにしても「なるべく外には出さない」くらいが共通認識で、どちらかというと「猫って散歩しなくていいらしいよ」程度の価値観だったように思う。
なので、脱走防止のペットゲートや窓に取り付ける柵なんてものは言及されなかった。
(むしろペットゲートは犬用だと思ってた)

BBARは新しく猫を迎えるにあたって、猫の飼い方や生態などの本を3冊読み、youtubeでも猫の飼い方を毎日見ていた。
それによって、今の常識を取り入れる事ができたのだが、人によっては新しく情報が更新されていることに気づかない人もいるだろう。
鎌倉幕府制定が1192年ではないなんて、疑いもしないようにだ。

保護猫の譲渡条件は確かに厳しくなった。
だが、それは時代の変化に沿ってのものでもあるし、今後もどんどん変化するだろう。

『新しく情報を取得して条件を整える』それが飼い主の最低限のモラルとなっているようのが、BBARには良くない現状に思える。
スマホ一つで簡単に情報を取得できるようになったとはいえ、自分の知識に疑いを持てなければスマホの操作すらしない場合は多いだろう。
結果、知識の更新さえすれば条件を整える事が出来たはずの人が「知ろうともしないダメな人」という扱いで切って捨てられる。

数万単位で殺処分される猫達を救うなら、保護猫を受け入れる人間を増やさなければ、保護ボランティアが多頭飼育崩壊という本末転倒な状況になりやしないか?

行政の動物愛護センターから譲渡される場合は講習を受ける必要がある。
保護団体からの譲渡にも事前講習を設定すればいいのにと思うのだ。
例えば、オンラインで動画を視聴してテストに答えるとか。
譲渡条件も、どの保護団体からも譲り受ける際に必要な最低限を明確にして、各団体独自の条件を追加する形にすれば、自分に合う団体を見つけやすい。

保護団体の方々も里親希望者をふるいにかけるばかりではなく、あと少しで条件に合うのであればアドバイスをしてほしい。
譲渡後に必ず画像や動画を送れと条件をつけるなら返信で心温まるメッセージを送るなり、猫の様子を自慢したくなるような場を設ける(SNSなど)なりしてほしい。
猫中心の話になりがちだが、そこには人と人の信頼関係が不可欠だ。
里親希望者に個人情報を出させたり自宅訪問するのであれば、保護ボランティアも個人情報を開示するべきだし自宅に招くべきだと思う。
でなければフェアじゃないし、フェアじゃなければ信頼関係は築けない。

ペットは家族だ。
ペットを飼うのは初めての育児と似ている。
育児がひと段落したと思ったら初めての介護。
そして初めての看取りと葬儀。
育児も介護も葬儀も、時代の流れの中でコロコロと常識が変わっていくものだ。
医学の新しい発見があったり、社会情勢の変化に伴い変えざる得ない状況がうまれたり、気候変動への対応も必要だ。

動物愛護の業界も常に変革している。
里親希望者も保護活動者も、双方が自分の常識を疑い情報の更新をする事が、信頼関係構築の第一歩なのではないだろうか?

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