地味な大学サッカー

夏の風物詩は甲子園であるのに対し冬の風物詩の一つは高校選手権であろう。
その決勝ともなれば新国立競技場が満員となるほど観客はおしよせ、地上波放送もされ、特集が組まれるほどの人気ぶりである。
そして2023年元日には大学サッカー選手権、インカレ決勝も新国立競技場で行われた。
しかしその盛り上がりは残念ながら選手権には遠く及ばない。
観客動員数は1万人強であったかとおもうが、残念ながらその半分は関係者である。筆者も必死にチケットを配る関東リーグの部員から一枚もらって観戦させていただいた。
最近はyoutubeでもインカレの試合を配信しているが大抵の場合視聴者数は300人程度、多くても数千人である。
2022年、高校選手権大阪大会決勝、興国対履正社の試合、ネットでの視聴者数はなんと2万人であった。選手権の県大会の決勝でこの視聴者数である。大学サッカーのどの大会のどの視聴者数をとっても少なくとも5倍である。
もちろん好カードであることは当然だがそれにしても大学サッカーの地味さには驚く。大学サッカーにはそれら選手権で大いに脚光を浴びた選手が多数いるのにも関わらずだ。
大学サッカーの人気のなさの一つ、もしくは選手権との差異に関しては地域性だろう。つまり明確に応援するチームがみえてこない点だろう。都道府県代表というのは非常にわかりやすい、自身の都道府県代表にまずみんな関心を示すから。しかし大学サッカーではあくまで大学の名前でしかわからないのでせいぜい母校である人が応援するぐらいにしかならないだろう。もうひとつは日本人は青春に弱い。高校生がひたむきに青春をスポーツにささげている姿はとても感動的で人のこころを動かす。最後のロッカールームというコーナーにみられるような涙シーンなどもはやもらい涙最高潮である。かたや大学生はすでに成人であり、もう社会人に片足をつっこんでいる状況である。もう青春というカテゴリは終了しているので感動も生じにくい。しかし大学スポーツ全般がそうかというとそんなことはない。大学スポーツで最も脚光を浴びているのは箱根駅伝であろう。地上波で何時間も放映され、優勝校のメディア露出度は一気に上がり、さらに選手のインスタフォロワーも飛躍的に増える。選手も「箱根駅伝にでるために大学にきた」というほどその影響力は大きい。箱根駅伝はもちろん大学であり、地域性はない。さらにいえば関東の大学のみの大会である。なのになぜ、それほどまでに人の心を動かすのか、一つは駅伝という仲間を信じ、仲間とつなぐといった協力性が非常に美しくみえ感動を呼びやすい点だろう。そしてもう一つが駅伝は大勢の大学が一斉に競うため展開が変わりやすく勝利する大学が変わりえるという点だろう。もちろんもサッカーも一点で大きく変わるがサッカーは最終的には2校でしか争わず、勝利という点ではどちらかしかない。
大学サッカーもプロになるまでのドキュメンタリーみたいのが作成されるなど感動性を増すような演出ができればもう少し脚光を浴びそうだ。
サッカー選手は目立つことが好きだ。もちろん大学サッカー部員もそうである。
大学サッカーがもっと脚光を浴びれば選手もモチベーションの一つとなるだろう。

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