今一番詳しいゆっくり茶番劇

 ゆっくり界隈がザワザワしている
5月15日、「ゆっくり茶番劇」が商標登録されたとして蜂の巣をつついたような騒ぎとなりました
最初に手っ取り早く今回の騒動で生じる影響についてまとめておきます
今一番新しいゆっくり茶番劇はこちら

どうすればいいのか知りたいうp主はここだけ読んで

影響を受けるのはタイトル・タグに「ゆっくり茶番劇」「ゆっくり茶番」「YukkuriChaban」等と表示していて、テキスト読み上げソフトでしゃべるチャンネルで、2022年5月15日以降に開設されたものに限ります。(饅頭キャラ、テキスト読み上げソフトは何を使っても該当します。逆に言えば何を使ってもいいです)
 つまり現時点で影響があるチャンネルはほとんどありません。
動画中で「ゆっくり茶番劇」と読み上げたり字幕表示することもOKです。
該当するチャンネルも、使用料徴収を取り下げたのでお金はかかりません。
おそらく何もする必要はないですが、もしかすると今後登録などを求められることはあるかもしれません。(状況的には無いと思います)
商標に該当するしないに関わらず、全ての立ち絵、合成音声ソフトも今まで通り使用出来ます。

 登録したのは「柚葉企画」という会社(法人登録確認出来ず)で、東方などゆっくりの関係者とは全く関係のないゆっくりの一使用者です。
 早速に関係者が法曹関係者に相談したり、自主的に動き出した弁護士さんもいらっしゃいますが、プロは絶対に間違ったことが言えないので状況把握や判例調べに時間がかかり、見解が出てくるのは今週末頃かと思います。
そこで法律をちょっと囓っただけの素人ですがネットで情報を集め解説してみたいと思います。

商標とは

 商標(登録商標)とは文字・図形・色彩等からなる商品・役務などの「名前」です。

色彩商標で有名なのはMONO消しゴムの青白黒で、炭治郎のだんだらは図々しくも出願されましたが「普通の市松模様」として拒絶されています。(煉獄杏寿郎など三人は登録されている)
図形商標はツタヤやスタバ、ナイキの”レ”マークなどがあたります
 「役務」はサービスのことで、例えば車にクロネコマーク(最近変わりましたが)をつけてトラックで荷物を配達する業者がいた場合、ヤマト運輸は商標権侵害として差し止めすることが出来ます。
 商標は出願後誰でも異議を申し立てることが出来る期間があり、今回公表されたのがその期間後であったことにも批判が集まっていますがごく普通のことだと思います。商標は出願後「商標公報」に記載され、そのことで広報したとされます。何なら商標速報botもあります。

 商標は「先願主義」を取られており、「早いもの勝ち」で先に登録した者に権利があります。
ただし「先使用権」というものがあり、簡単に言えば商標が登録される前から使用されており、しかも有名であった場合に商標が使用出来る(要するにタダで自由に使える)というものです。
今回は5月16日頃に
✅元々から「ゆっくり茶番劇」を投稿している方は「先使用権」がありますので、ライセンスは不要です。(法律で定められています)
 とツイートされており、本来の先願権発生日(この日以前に開設されたチャンネルに先使用権が発生します)は2021年 9月 13日ですがこのツイート以前のチャンネルは有名無名関わらず先使用権を認める意向だと思われます。
 今回の商標は「文字商標」であり、「ゆっくり茶番劇」という文字のみに商標権が設置されています。
 と書いたところで柚葉さんから見解が
【正】「ゆっくり茶番劇とは、音声合成ソフトを用いて制作された動画のこと」
【誤】「※ゆっくり茶番劇とは東方Projectのキャラ「霊夢/魔理沙」と音声読み上げソフト「Softalk(通称:ゆっくりボイス)」を組み合わせて作る寸劇動画ジャンル」
 とのことです。
この内容を誤解して音声合成ソフトを用いて製作された動画は全てゆっくり茶番劇か!全部商標にかかるのか!と慌てている方が多いのですが、そんなことは一切言ってないです。
「ゆっくり茶番劇とは、音声合成ソフトを用いて制作された動画のこと」
「音声合成ソフトを用いて制作された動画は、ゆっくり茶番劇」
 この違いがお分かりでしょうか。
あまりに誤解が多かったようでこのツイートは17日朝削除されてしまいました笑
Twitterでいろいろな方と話していて誤解の理由が分かりました。
商標というのは効果範囲が厳密に決まっていて、柚葉さんの意向とは関係なく「ゆっくり茶番劇の文字商標を使っていない動画・合成音声ソフト・立ち絵には関係ない」のですが、その情報の共有が無いので伝わらないのです。
 柚葉さんが2021年6月にTwitterで「東方2次創作作品の1つであるゆっくり茶番劇」と発言されているのと矛盾するという声が多いですが見解は最新のものであるとするべきです。
むろん柚葉さんもこの件についてきちんと説明された方が良いと思います。

 商標はジャンルを決めて出願する必要があり、今回出願されているのは41類(教育、娯楽、スポーツ、文化活動)です。
今回関係あるのは「インターネットを利用して行う映像の提供,映画の上映・制作又は配給」でしょうか。
 誤解しやすいのですが制限されるのは「ゆっくり茶番劇というタイトル・タグを用いて音声合成ソフトを用いて制作された動画」であり、ゆっくり動画をアップすることには何の制限もありません。
そして無論ですが「ゆっくり」「ゆっくり解説」「ゆっくり実況」も堂々と使えます。
 じゃあ「#ゆっくり #茶番劇 」「茶番ゆっくり」ならいいの?というツイートも多く見ましたが、「類似商標」になる可能性が高いです。
Twitterで一部ゆっくり民が熱中している大喜利は基本アウトです。ライオン→テイオン、ガソリン→ガンリソ、HONDA→H○NDA、キミス→キスミー、女王→クイーン、アップル&マンゴー→マンゴー&アップル、いずれも類似商標で使用出来ません。

アメトーークでアメトークが商標回避したとかPPAPは表示出来ないが歌うだけなら大丈夫とかリツイートされてきますが嘘です。アメトークは商標登録されてないしどう見ても類似商標だし、PPAPは所属事務所のAVEXが商標持ってます

東方Projectとゆっくり

 そしてこれも柚葉さんが予防線を張ってきましたが、関係がない故にZUNさん等、東方関連の著作権保持者の皆様にこの商標を差し止める権限が無い可能性があります。(東方Projectの二次創作ガイドライン
登録商標「ゆっくり茶番劇」の登録内容には東方関連の記載は一切無く、ゆっくりの定義も定められていません。
「東方キャラを使ったゆっくり動画」そのものには東方Projectの著作権が発生する可能性がありますが、ゆっくり動画そのものには東方Projectはいかなる権利も所持しないと思われます。
 ゆっくりの権利者が東方Projectだと言うのは小説の著作権がペンにあると言うようなものです。ゆっくりの文化は東方キャラを使って築かれたものですが、東方Projectが作ったものではありません。
ところで皆さん、東方使う条件が「東方Projectの二次創作である事を明記してください。」なんですがちゃんと守ってますか?
もちろん動画ごとの表記が必須ですよ。
 ゆっくり動画というシステム/フォーマット(創作物、とは少し違いますね)に権利者がいない以上、ルール上は第3者が商標権を取得することには問題が無く、東方やYouTube、ニコニコの関係者が無効審判を起こしても難しいと思います。
 もちろん横から出てきてかっさらわれるのは不愉快ですが、東方の権利を奪っているというのは不正確です。
 とここまで書いたとこで柚葉さんから
✅元々から「ゆっくり茶番劇」を投稿している方は「先使用権」がありますので、ライセンスは不要です。(法律で定められています)
✅類似商標に「ゆっくり実況」や「ゆっくり解説」などは含まれません。(そもそも効力が及びません)

 というツイートがありました笑
ここまで書いたのは何だったんだ

脅迫や迷惑メールはやめよう

 柚葉さん・柚葉企画・代理人や名義人に対してメール・電話・ファックスなどで「爆破する」「殺す」などと伝えるのは絶対にやめましょう。
普通に脅迫罪で逮捕されますし、逮捕されれば20日以上拘留されます。
被害者と示談出来れば不起訴になることが多いですが、起訴されると罰金刑か執行猶予付き懲役刑になる可能性が高いです。
またそういう文言を使わずとも大量のメールを送りつけることは偽計業務妨害・威力業務妨害に問われる可能性があり逮捕例もあります。
 また代理人特許事務所ならびに弁理士さん、登録受理した特許庁担当者さんには何の責任もありません。誹謗中傷はやめましょう。

追記。16日8時頃、商標の登録発表から1日で撤退宣言がありました。

✅今後、使用料(ライセンス契約)は不要になります。
✅但し、権利は当社のものとして存続いたします。
 これからゆっくり茶番劇チャンネルを開設しても使用料を払う必要はありません。

今後のゆっくり茶番劇

 あまりの炎上に柚葉さんは撤退を続け、上記のようにほとんどのうp主に対する権利を放棄しました。
しかも「今後新規で登録するゆっくり茶番劇チャンネル」というごくわずかな権利対象からもライセンス料の徴収を放棄しており、実質的に影響を受ける人はいなくなりました。
 しかしそれでも納まらないのがネット民で、柚葉さんに特許事務所、特許庁まで猛烈に攻撃を続けています。
法律違反をしていない人や団体に攻撃を加えることは私刑(リンチ)です。
法治国家では私刑は禁止されています。
脅迫はもちろん、住所を晒す行為や大勢で非難するタグをつけてツイートするのも私刑だと思います。
 柚葉さんが商標を放棄・譲渡しないことに大きな批判が集まっています。
何故手放さないか、5年待って無効審判が出来なくなったら高額のライセンス料を請求するのではとの憶測もありましたが、それはまず無いと思います。その5年間で新設されたゆっくり茶番劇チャンネルのみが対象で少額になるでしょうし、今と比べものにならないバッシングにさらされます。
それに堪えられるなら今回ライセンス料を無料にしてないはずです。
それに民法には「権利の濫用」という概念があるので裁判になれば敗訴する可能性が高いです。
 無効審判は利害関係人しか請求出来ないので、誰が利害関係人にあたるか難しいと思いますが、いろいろな方面が動いているので無効審判になる可能性は高いです。
その際は先に触れた「周知商標」で争うことになりそうです。
 今回の代理人である海特許事務所が言う「皆様に愛されている」「周知商標(全国的に広く知られている)」というのがそれです。
要するに出願時にその商標が世間にどれだけ知られているかで、みんなが知ってる言葉は商標として独占することは出来ません。
 Twitter見てるとみんな知ってる!という声が多いのですが、ネット民がよく知っていても一般人が知らなければ周知と認定されません。
実際、世代によっては「ゆっくり」さえほとんど知らないと思います。
実際私もゆっくりはよく見ていますが「ゆっくり茶番劇」は今回初めて聞きました。

 そうそう、ちょっとおもしろいことを見つけたんですが、

「ゆっくりボイス」は登録商標です。

商標区分9類での登録で、「インターネットを利用して受信し、及び保存することができる音楽・音声ファイル・画像・映像・映画ファイル」あたりがYouTubeでの使用に抵触するでしょうか。
スマホの機能のための商標保全のようです。
一応ロゴ商標ですが明瞭な文字なので文字表記にも抵触すると思います。
柚葉さんがTwitterでゆっくりボイス発言(ブーメラン)されておられたのでつい触れてしまいました。

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