今一番新しいゆっくり茶番劇

 昨日(5月18日)一日、進展はほとんど無かったのですが新情報が出てきたり、「詳しい」で触れていたけど昨日新たに大きな関心事になったことを詳しくしたりしてみました。
 皆さんお気づきでないようですが、ゆっくり茶番劇の茶番劇は昨日くらいで実質的には収束しています。
あとはお気持ちの問題ですが、僕は一貫してお気持ちの話はしません
  あと普段一部のゆっくり動画しか見ない僕が頑張ってゆっくり茶番劇関連の動画見てみたのですが見た限り1ミリ1秒も見る価値のない動画でした。
岡野タケシ先生山田太郎先生の動画だけはさすが法律のプロ、どちらも見応えがありました。内容については重要な部分は全て拙noteにパクって参考にして記述しています。
 
文章長いですけど太字の部分拾えばだいたい分かるようにしてあります。

note
「僕が考えたさいこうのゆっくり茶番劇騒動解決法」
note「今一番詳しいゆっくり茶番劇」はこちら

周知商標

 周知商標について特許庁は「全国的に認識されている商標だけでなく、ある一地方で広く認識されている商標をも含みます。」と定義しています。
「広く」って曖昧だと思いますよね。
大丈夫です。
特許出願や商標登録代行を業とする弁理士さん(日本弁理士会関西会)が実務上の目安として「複数の都道府県で知られている商標」とされています。
「ゆっくりは全国で知られている!」と思うかもしれませんが都道府県の平均人数が27万人として二つの県(普通2を複数とは言わないかもですが)で50万人強。「ゆっくり茶番劇とは何ですか?」と言われて明確に答えられる人がどれくらいいるでしょうか。
もちろん、特許庁自身が認めている通りインターネット上の商標や情報についてはアップデートが追いついておらずネットミーム等との識別が困難であるとの問題はあります。
ただそれは特許庁に限らず人命にすら関わる警察庁ですらネット犯罪について動き出したのは最近のことです。発信者情報開示もつい最近までは割に合わないお金と労力を要しました。
特許庁の審査官は年間15〜20万件の商標の審査をわずか百数十人の商標審査官で行います。
しかも商標審査官の業務は商標の審査のみにとどまりません。

 商標審査官は、商標の審査をしている人ばかりではありません。 時に商標審査官は、商標の審査に関する業務に限らず、知的財産制 度全般に関する業務や一般行政に関する業務も担います。特許庁 の内外部署において、商標に関する政策の企画、法律改正、IT シス テムの開発に携わる場合や、在外公館、WIPO 等の国際機関などに 勤務する場合もあり、商標審査官の仕事は多岐にわたります。
                    特許庁採用パンフレットより

 さてこれで特許庁の仕事が杜撰だと言えるでしょうか?
もちろん商標審査官も人間ですので間違いはあります。
そのために異議申し立て・無効審判と間違いを正す仕組みが用意されています。
 今回の判断が誤りか?と言うと、代理特許事務所・特許庁両者とも誤りも悪意も無かったと思います。
例を挙げますが、「ラーメン二郎」という商標の周知性が争われた裁判がありました。
二郎インスパイア系宅配ラーメン「宅二郎」が取得した登録商標についてらーめん二郎が異議申し立てを行い無効審判が行われています。
らーめん二郎側は義憤にかられたジロリアンでしょうか、3人の代理人弁護士を立てて万全の構えです。
しかし特許庁はラーメン二郎を周知商標と認めず退けられています。
これは一例に過ぎませんが、「ゆっくり茶番劇」は「らーめん二郎」より有名でしょうか。
 ちなみにらーめん二郎、未だに商標を取得していませんのでワンチャンラーメン二郎の商標登録出来る可能性があります。
そもそも、ラーメン二郎くらい有名店になれば商標登録取しておけよ、の話なのですが。
 下のスクショ画像は出所不明ですが「有識者(誰だよ)」が特許庁の「大塚まさとし」氏に問い合わせた内容とのことです。
大塚正俊氏(平成14年入庁)、澤藤ことは審議官は特許庁の文書にも記載があり、少なくとも同名の人物は実在しています(またはいました)。
TwitterネームTopNews氏のツイートです。

TwitterネームTopNews氏のツイートより

 はっきり言って信憑性ゼロです。
普通お役所はこんなことベラベラしゃべらないし、非を認めたりしません。
電話での問い合わせに現場管理者が重大な(官庁にとってめちゃめちゃ重大です)判断を即答するはずがありません
担当者の名前も言いませんが、記載の公開公報は見つかりませんでした。
 今日の山田太郎先生の動画でも、実際に特許庁から話を聞いて特許庁がかなり強気であるとの感触を得ておられたこととも矛盾します。
 実際、無効審判などの手続きを経ずに特許庁が勝手に取り下げることはあり得ませんし、柚葉さんにも抗弁の機会はあります。
 こんな不確かな情報で澤藤審議官に対する誹謗中傷が集まってます。そんなことをする人がどの面下げて柚葉さんを責めるのでしょうか。
 代理人弁理士の海特許事務所さんは16日、ゆっくり茶番劇登録の代理行為について実質的な謝罪文を出しておられます。
非常に低姿勢かつ丁寧な文章で、法務関係の方がこんな早い段階で謝罪するのは異例だと思います。
「検索で数万件」に対しても不満の声が上がっていましたが、重複などを省く必要があるし決して不自然な数字ではありません。
むしろ「ググったら二千万件」の方が大丈夫じゃないです。
 あんまり触れたくないんですが、くりした善行先生が特許庁に凸ったやりとりをTwitterに公表しておられます。
てっきり国会議員かと思ったらリッケン(お察し)の都議でした。
勇んで凸って特許庁の仕事増やさないで…
一応リンクしてますが読む必要ないです。良い答えを得るには良い質問が必要なのですね。

不使用商標

 ざっくり3年間使用していない商標について不使用取消審判を起こすことが出来ます。
これは無効審判と違って誰でも起こすことが出来ます。
柚葉さんが3年使わなかったら取り消させてやる!というツイートを見ましたが、弁護士費用含めて20万円くらいで出来るようです。
ただ今回はネットでの使用を前提とした商標なので、3年に一回ゆっくり茶番劇動画を上げるか、もしかしたらTwitterで「ゆっくり茶番劇」と呟くだけで回避出来る可能性があります。

商標と登録商標の違い

 どうもこれを混同していたり、登録商標と特許の違いを分かっておられない方が多いようです。
商標とは、自身(法人・私人)が取り扱う商品や役務(サービス)を他者と区別するためのもので、文字、図形、色彩、記号、またはそれを合わせたものからなります。
居酒屋の名前もイラストレイターのTwitterネームも商標です。
もちろんYouTubeチャンネル名も商標です。
YouTubeは「何か商標権でイチャモン付いたらチャンネル停止するよ、権利者(侵害者)との争いは関知しないから勝手にやって」だそうです。
 例えばボトルコーヒーをみて「あっ”BOSS"の新作だ、飲んでみよう」と思うか、「見たことないコーヒーだな」とスルーするかの違いが商標の効果です。
「登録商標」は商標を独占する権利を持ちます。
独占して使用する使用権・他者の使用を禁止する禁止権があり、両者を合わせて商標権と言います。
先ほどの例で言えば、他者が「BOSS売れてるな、じゃあうちはBOSEコーヒー売ったろ」と発売した時にサントリーは販売禁止と損害賠償請求が出来ます。(BOSSでなくても抵触するのは類似商標です)
 他者の不正使用に対する損害賠償訴訟は、禁止権の侵害について訴えるものです。
「ゆっくり茶番劇」は実体がなく(ゆっくり茶番劇動画の集合がゆっくり茶番劇ではない)、商標対象となるかどうかすら怪しいと思いますが特許庁の判断は今のところ商標対象となっているようです。
 今回、合成音声ソフトを使った動画全てが「ゆっくり茶番劇」商標の範囲だというデマが流れましたが「登録商標」は文字やマークそのものを守るもので、商品やサービスの内容には関係ありません。
そして柚葉さんは一貫してそのような発言を一切していません。

ゆっくりは誰のもの?

 実はこんなこと書いておいてYouTubeを見始めて半年くらい、しかもお気に入りのゆっくりチャンネルを見る位なので、ゆっくりの歴史は一切知りません。今回のゆっくり茶番劇騒動を見て、ゆっくりが本当に愛されていることが分かりました。
 それでお聞きしたいのですが、「ゆっくり」って何ですか?
ツイートを見ていて、またいろいろな方と意見を交わしてみて、そのことを認識していなっかたり、人によって大きく違ったりしました。
その中でも関連を示唆する方が多かったのが東方Projectです。
 東方Projectとは「同人サークルの上海アリス幻樂団によって製作されている著作物のこと」だそうです。
じゃあ東方productじゃねえのかという突っ込みはさておき、霊夢・魔理沙などの「ゆっくり饅頭(生首)」は既に「三次創作」というややこしい状況です。
東方Project(以下東方と称す)オフィシャルサイトの動画「ゆっくりの真実」を見てもZUNさん(東方Project運営者)、二次創作者のアスキーアート職人Dプ竹崎さん、三次創作者のまそさんの著作権保持者によって使用許諾が確認され、東方の二次創作ガイドラインを遵守することを条件に自由に使用することが出来る、と言っているのみで、ゆっくりの定義はありません。
ちなみにキャラがいっぱい載っていたので、僕の好きなきめぇ丸を探したのですがいませんでした。
 ここで言う「二次創作」は東方から数えて二次なのか、三次創作までを一次として二次なのかは触れられていませんが全て二次にあたるという解釈でいいと思います。
 ゆっくりは東方饅頭+softalkを使って作られた動画のみだという「ゆっくり原理主義者」もけっこう多かったです。
柚葉さんは「ゆっくり茶番劇とは、音声合成ソフトを用いて制作された動画のこと」と規定されていますので、「ゆっくり茶番劇」商標を使えばずんだもんがしゃべる動画も商標対象ということになります。
無論ゆっくりの一般的な定義とは関係なく柚葉さんが自らの商標の対象について発言したにすぎません。
 それとvoiceroid販売元AHSさんがこれまで通り使えるというツイートをされたことで「お墨付き(何の?)」をもらったという声がありますが、あまりにも問い合わせが多くて支障が出るので言うまでも無い当然のことをツイートしただけです。
この事で柚葉さんを「AHSにも迷惑をかけた!」と言う人もいますが悪いのは「無関係(どう考えても何の関係もないです)」のAHSさんに無駄な問い合わせをした慌てんぼさん達ですよね。
  今回ZUNさんをゆっくりサイドの当事者とする声が大きいですが、ZUNさんにしてみると「ゆっくり動画」は四次創作です。
もはや当事者であるかどうかすら怪しくないですか?
さて今わざわざ「ゆっくり」に「動画」をつけました。
それは「ゆっくり」=「ゆっくり動画」では無いからです。
「ゆっくり」は概念に近いものだと思います。
ですから「ゆっくり」は創作物ではない可能性があります。
つまり著作権の適用対象ではないかもしれません。
以下仮説ですが、「著作権は商標権に優先する」ことを抗弁要件に挙げている人もいますが、著作権が適用されない以上意味がありません。
そして創作物でない以上、東方は関係がありません。
 例えて言えば、Amazanというネット販売会社があります。
Zさんが本を書いて、Gという出版社から出版し、Amazanで販売しました。Zさんの著作権はAmazan社に対して請求出来るでしょうか?
もちろんAmazanには本の内容について一切権利はありません。
 会社というものも実体がありません。概念みたいなものです。
そこに社名(商標)をはりつけるから会社として認識出来ます。
今回柚葉さんが獲得したのは「ゆっくり茶番劇」という会社の名前です。
社員にも商品にも取引先にも関係ありません。
ネーミングライツみたいなもんです。
 そしてこれも柚葉さんが予防線を張ってきましたが、関係がない故にZUNさん等、東方関連の著作権保持者の皆様にこの商標を差し止める権限が無い可能性があります。
登録商標「ゆっくり茶番劇」の登録内容には東方関連の記載は一切無く、ゆっくりの定義も定められていません。
「東方キャラを使ったゆっくり動画」そのものには東方の著作権が発生する可能性がありますが、法的にはゆっくりそのものには東方はいかなる権利も所持しないと思われます。
ゆっくりの文化は東方キャラを使って築かれたものですが、東方が作ったものではありません。
 ZUNさんの降臨を期待する方が多いですが、引っ張り出された挙げ句「利害関係なし」で門前払いを食らう可能性もあります。
「何でオレが…」と嘆いておられないか心配です。
せめて訴訟費用は寄付かクラファンで集めてあげて欲しいです。



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