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宝くじ魔法学校【毎週ショートショートnote】

とある名門の魔法学校に関し、私は疑念を抱いていた。

入学志願者の選抜法が特殊なために、その名門校には宝くじ魔法学校という異名が付いていた。

その魔法学校に入学を希望する者は、番号の書かれた札を買う。その札には一枚ずつ異なる番号が振られており、入学式の半年前に学校はある表を公表する。その表に買った札の番号が記されている者が、魔法学校に入学できた。そして表に記される番号は、回転する円盤に弓を放って決められる。

要するに、入学志願者の選抜方法が宝くじと同じなのだ。そして、魔法学校に入学できるのも、宝くじを当てるのと同じくらい稀だった。この選抜方法は、「貧しい者にも魔術を習得する機会が与えられるべきだ」と言う初代学長の理念により始められ、既に百年以上も続いている。

なのに何故、その魔法学校の生徒には、同校の卒業生の親を持つ者が多いのだろう?私はその疑問を晴らすため何年も王都の図書館に通ったが、結局、何も成果を得られなかった。

(410字)

たらはかに様の企画に参加させて頂きました。


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