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uenomanga
無理無理童話88(旧版)
「お客さん、この近くにお住まいですか?」
「いえ、今日は仕事で来ただけですよ。自宅はそこそこ離れてます」
「それじゃ、また機会があったら来てくだせえ」
「はい、是非」
「今日は、おひとりで?」
「ひとりです。ちょっと調べ物をするだけですから」
「こんなシャッターだらけの商店街で何を調べるんでさあ?」
「申し訳ありません。企業秘密です」
「おっと、失礼しやした。ところでお兄さん、おひとり様なら、ひとつ小話でも聞いてみやしませんか?」
「はは、夜伽話だったら女性にお願いしたいところです」
「あっしは、こんな薄汚ねぇ居酒屋の店主ですぜ。童話の読み聞かせなんざぁ無理な話です。その代わりと言っちゃなんだが、酔っ払いたちが話してった子供にゃ聞かせらんねぇ話なら、ごまんと知ってまさぁ」
「よほど自信をお持ちのようで、少々興味が湧いてきました」
「それなら、お聞きなさってくだせぇ。居酒屋八十八の常連客の間じゃ、無理無理童話88って評判の小話たちを」
(410字)
たらはかに(田原にか)さまの企画への参加作品です。投稿後、八十八夜に絡めた方がいいと思って改訂しました。改訂版は、コチラです。
この作品が気になった方は、こちらのマガジンもご覧ください。
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