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仮面ライダーカルテット(第1話 1ー1)

チャイムが鳴る。昇降口に駆け込む生徒たちを横目に教師が職員室に入る。そこにはお澄まし顔の高校生が1人。
「奏森、昨日の宿題はちゃんとやってきたんだろうな?」
「はい、先生!見てくださいこれ!全問正解ッスよ!」
「ふーん…お前、答え見ながらやっただろ?」
「そ、そんな訳…ない…じゃないですか!笑」
「うん、じゃ、今日の宿題は?」
「それはまた明日やります!」
思わず溜息をついてしまった。しかし、こいつは悪いやつじゃない。真っ直ぐな目で馬鹿みたいなことを言ってくる。それが面白くて厳しくできないのも俺の悪いところなのかもしれない。
「もういい、教室に戻れ」
「はい!」
奏森は職員室を出たあと、走って教室に向かっていった。それを見送ったあと自分の机に一通の封筒が届いていることに気づく。
「誰からだ?」
封筒から取りだした書類の内容に俺は目を疑った。

「響介、一緒帰ろうぜ」
「お!かっちゃん!部活は?もう終わったの?」
「今日はミーティングだけだったから早く終わったんだよ」
「そっか!」
「お前は軽音だから結構自由だよな」
「まぁ曜日ごとに部室使えるバンド決めてるからね」
「帰りカラオケでも行くか?」
「いいね!行こ行こ!」
これぞ青春!こういうのが永遠に続けばいいな〜
なんて思っちゃったりして。
「奏森」
「ん?あ、澪月ちゃん…」
「また宿題出してないんだってね?」
「いや、朝ちゃんと出したから笑」
「昨日の分でしょ!まったく、どうしようもないね」
「まぁそんなキツい言い方しないでもさ…」
「克喜くんも甘やかしすぎ!アホが移るよ!」
「す、すみません…」
「澪月ちゃん、分かった出すから今日だけ見逃して!ね?お願いお願い!」
「ダメです、居残りして宿題終わらせてから帰ってね、絶対ね(圧」
「そんな…」
かっちゃん、ゴメン。せっかく誘ってくれたのに…

物陰に隠れてその3人を見ている不審な男が1人。彼の手には「何か」が握られていた…。


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