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『光る君へ』第十五話『おごれる者たち』のネタバレを含む感想


序文


今回は前回に続き、物語そのものは大きな動きは無いものの、後々の劇的な展開に繋がるであろう布石があちこちにあることを感じる、静かながらも胸熱なエピソードがたくさんの回でした
しかしながら、おんどれなんぞ女の敵じゃ! そこに直りや! しばいたるわ! と激しく罵りたい案件が出てきたもんですから、どうギタギタにしようか思案してて書きあげるのが遅くなりました

例によって、ドラマ内のエピソードを箇条書きにした後に、素敵なnote描き書き手さんのご紹介をしたり、個人的な細かくてうるさい感想を書いたりしてる記事なので、閲覧については色々とご注意下さい

ドラマエピソード箇条書きコーナー


一、道隆の強引な決議により、定子は中宮の座につく
並ぶ一条帝と道隆と定子は、若き天皇とそれを支える妃、その父親として見た目にはとても麗しいが、慣例を無視し参議たちからも反感をかっている
一条天皇の母である詮子あきこも内裏から離れた職御曹司しきのみぞうし(皇后や中宮の生活を管理する司処)に住まいを移されており、前回までにあったように、一条天皇の住まいに訪れにくくなっている
それは道隆一派の専横を許しているということであり、かつ兼家の子息たちがとっくの昔に一枚岩では無くなっているということ、なぜ助け合えないのか
いや、ずっと前から仲悪かったからもう無理ですね
ちなみにこちらは、内裏と職御曹司しきのみぞうしの位置関係の画像です
内裏のすぐ隣ではあるけど、高貴な女性には行き来は難しいですね

二、道長が中宮司の仕事をしているところへ公任が訪ねてくる
道兼が自宅に居座っていて困っていると相談される
前回予告の「お前、俺に尽くすと言ったよな?」の台詞はこのシーンだったらしい
尽くすなどと言う文言はすごく物騒で、キントーに何させるつもりかとワクワクしてたんですが、ただの居候だった
道長が公任の自邸を訪ねると、道兼は飲んだくれて女物の小袖を羽織って寝ていた
「公任め、裏切りおって」(裏切ってはない)
道長は道兼を厳しくも優しく諭す⭐
道兼は、今まで己を殺して生きてきて父にも妻にも娘にも捨てられた、自分が生きる場所なんかない、ならばいっそ摂政の首はいかほどか(道隆を殺してやる!)と泣きながら言う
「兄上にはこの世で幸せになって頂きとうございます 道長がお支えいたします」と、力強く励ますのだった

三、993年、いきなり二年後にワープする
道兼はちゃんと立ち直ったらしく内大臣に昇進しており、道長と伊周(道隆の息子)は権大納言
道綱と公任は参議に加わっていた
成長した一条帝はますます麗しいお姿で、それをお支えする養父にして関白の道隆も高貴な雰囲気が雅、しかしやっている政治は、露骨な身内と縁者贔屓のもので、かつての花山帝とその側近の義懐よしちかなどが目ではないくらいの嫌われぶりをしている、父の兼家はもっとうまくやっていた、いや、父と同じようにしてるだけで、自分なりに考えて他勢力とバランスを取ったりするという考えが無さすぎるのかな
実資さねすけどん「内裏が荒れれば政治が荒れる、心配じゃ心配じゃ」
道長「まことに」⭐

四、二年たってもまひろの父の為時は官職を得られないままだった
乙丸がささやかな量の炭を火鉢に入れている
そこへまひろの弟の惟規が帰ってくる
擬文章生ぎもんじょうしょうに合格したことを自慢気に知らせ、惟規を案じていた一家は喜びにわく(ちなみに惟規、以前のエコバッグ柄の袋を持って首には布巾をマフラーのように巻いている★)
祝いに琵琶を奏でるまひろ、酒を酌み交わす父為時と惟規、琵琶に聞き入るいとさんと乙丸⭐
一方、一条帝は龍笛りゅうてきを奏で、定子はそれに聞き惚れている
二人だけの世界であるなら、この上なく美しい光景

五、内裏の後宮では、摂政である道隆の専横と、そのあおりから来る定子への不満や非難が渦巻いている
しかし定子の母である貴子は定子に対して、後宮の長として文化的に華やかであるよう務め、皆の心を掴まねばならない、それが父上の治世を支えることに繋がるのだと諭す

六、ききょう、まひろの家に遊びに来る(従者どのが杏を盛った籠をもっている)★
いつかの漢詩や和歌の会を縁として、漢詩も和歌もおできになる中宮様の話し相手になれる女房になって欲しいと依頼を受けたと話すききょう 
それが嬉しかったが、まひろしかそれを話せる相手が居なくて、つい来てしまったとも話す
まひろは祝福しながらも複雑な心持ちになる
でも、ききょうは決して自慢やマウントのために来たのではなく、心からまひろを友のように思っている表情である
ききょうは華やかな女房装束で定子の御前に上がる
ききょうを一目見た定子は
「今よりそなたを 清少納言と呼ぼう」
「清少納言、よろしく頼む」
と、気高く高貴で、凛とした涼やかさもある声と眼差しで告げる
一目惚れのように忠誠心が燃え上がるききょう、清少納言と相性が格別の、唯一無二の主従が結ばれた説得力にあふるるシーン

七、中宮の御座所の登華殿の設えの改装や中宮女房たちの衣装までも公費で賄おうとする書状に認可を出してしまった道綱を呼び立てて責める道長
しかし道綱は「関白様がそうしろって言うから…」と何とも頼りない
業を煮やした道長は道隆に直談判に行くが、道隆は参内しておらず、自邸にいる
体調があまり良くないらしいが、道長の進言と糾弾にはのらりくらりとろくに耳を貸さない
庭で弓競べを行っていた息子の伊周は、道長を不遜に挑発し、弓競べで対決を行うことになる
そこで願掛けも共に行うことになったが、
「我が家より、帝が出る」という願掛けは伊周より道長が的中させてしまい、
「我、関白となる」という願掛けを伊周は大きく外す、そして道長が射る寸前で道隆は止めさせてしまう
「怖じけづかずともよいではありませんか」などと言ってしまった伊周が叩きのめされた格好で終わる

八、その弓競べの顛末を、以前とは打って変わった笑顔の明子女王に聞かせている道長
着替えを手伝ってもらってもいる、とても仲良しの夫婦らしい★
明子女王は新たに子を身籠っており、とても幸せそうに道長と話している 良かった
そこへ道長の本宅にあたる土御門殿より、養父の左大臣が危篤だとの知らせが届く
亡くなる間際に左大臣どのは
「婿どのの出世もこれまでじゃな」と複雑な顔で告げる
「権大納言(道長の今の官職)で充分でございます」と正妻の倫子は言う
道長の政治的な後ろ楯は実兄の道隆ではなく養父の左大臣であり、今や道隆と道長は対立しているから、養父を亡くすと出世の道は閉ざされる、という事らしい
かつて関白の父がいた公任が、今は兼家の妾腹の息子の道綱と同じ階級である事も、後ろ楯の父が居ない、という事が響いているということのようだけど、この辺の父親と官職の継承とかの仕組みは未だにピンと来ないです

九、かまどに向かって煮炊きをしているまひろに、遊びに来ているさわさんが何かと話しかけている⭐
現在の家はいよいよ居心地が良くないらしい
更にさわさんは、近江の石山寺詣に出かけようと提案をする
「あの家からさらってくれる殿御に会えますように」との願掛けをしたいとの事
そして、まひろ、さわさん、乙丸、さわさんの従者の四人ではるばる近江におもむくのだった

#かなふみ画像より まひろとさわさん
#かなふみ画像より 乙丸とさわさんの従者

のびのびとした道中、とても楽しそう
途中の河辺で「このまま夫をもてなかったら、いっしょに暮らしません?」なんて約束を交わす

「それはまことに、良いかも知れません」
「殿御とのご縁ではなく、私たちの末永いご縁を!」
「末永いご縁を!」

そんな話をするふたりを、乙丸たちも嬉しそうに見守っている

十、石山詣、ふたり並んで読経をするが、さわさんは早々に飽きてしまう⭐
同じ読経のための部屋に『蜻蛉日記』の作者の藤原寧子が訪れており、まひろとさわさんと話をする
幼い頃から『蜻蛉日記』を愛読していたまひろは、熱く語るが、さわさんはおそらく読んだことがなさそう、ちょっと困った顔をして居心地が悪そう
寧子さんはすでに出家をしているらしく、尼そぎの髪に華やかな法衣姿
「殿(兼家)との日々が私のすべてでした
 書くことで、己の悲しみを救いました
 妾はつろうございますから、できることなら嫡妻になされませ」
その言葉は、未だに道長への気持ちを抱いているまひろに強く響いたようだった

そこへ道綱がやってくる
日記に出てきた道綱さまに、お会いできるなんて! とまひろは喜び、道綱もまんざらではない様子

その夜にまひろは寝所を抜け出して、庭園で月を眺め、書くことで己の悲しみを癒すこと、己を救う道を探すことを考える
寝室の外の階段になっている場所で、従者ふたりは眠っている、そこに道綱がやってくる

十一、道綱はまひろに夜這いをかけるつもりでやってきた
「もう、眠ってしまわれましたか?」
と声をかけるが、ひとり眠るさわさんは寝言で
「道綱さま…」とむにゃむにゃ言っている
それに気を良くしてしまった道綱は、そのままさわさんの寝具に滑り込んでだこうとする
しかし寸前で、人違いに気がつく

「すまぬ、間違っておったのだ、すまぬ」
「まひろ様と思われましたの?」
「あ、いや、そうではなく、私には妻もおる、妾もおる、故にそなたを抱こうと思っておったことは間違ってたことだと、今、気づいたのだ」
「偽りを…」
「偽りなどではない、この上、悲しむおなごをつくることはできぬ、まひろ…、あ、さと」
「さわにございます!」
「許せ!」 
逃げていく道綱…

さわさん、帰り道の途中で、私には才気もなく殿御を惹き付ける魅力もなく、家とて居場所がなく、もう、死んでしまいたい! と叫ぶ⭐

しかし、河辺に近寄るとそこには、疫病の蔓延による死体がたくさん、転がっていたのだった…というシーンで終わる、今回でした
エピソードがエピソードなので、さわさんの事だけで占めて欲しかったかな…

予告、香炉峰の雪、対立する道隆と道長、汚れ仕事は俺の役目の道兼、泣くさとちゃん(十四話の文字教室の子)、まひろも疫病にかかった? まひろを姫だっこして運んで看病する道長?

ひろうすさんの、今週の絵巻も輝く!

こちらもまた恒例ですが、勝手ながら一方的にお慕いしてご紹介させて頂いている、ひろうすさんの光る君へ絵巻です!

さすが、乙丸推しのひろうすさんです
乙丸の優しい、まひろを姫様としていとおしむ表情、
琵琶を奏でているまひろの横顔にも、その美しさが浮かんでいますね
道兼がぐだもだしてるところに、はっきりぱっきり説得にあらわれた道長、道長の台詞をほめる文も素敵です
室内のしつらえや、打ち捨てられた扇、引っかけた羽織りもの、だらしない道兼のひげ、繊細な描写が素晴らしいです
道長(細)実資(太)も衣冠越しに伝わる体躯の差分や、降りしきる雪、さりげなく初描きのさねすけどんもほっこりですね!
何より今回の絵巻のハイライトは、さわさんの詰め合わせですね、手伝わないさわさん、読経に飽きるさわさん、道綱くそやろうに傷つけられるさわさん、
そして泣き顔のさわさん…( ;∀;)
ドラマのシーンは情緒かやられるほど動揺しましたが、ひろうすさんのさわさんの泣き顔が見れて得をしてしまいました
やはり、ひろうすさんの絵巻には徳がつまっております
そして、記事内のテキストも唸るよさみなんですよね、着目されているポイントがひとつひとつ、自分も気になってました! そうそう! と嬉しくなってしまうんですよね
先ほどのエピソード箇条書きコーナーで⭐と★が付いているポイントが、ひろうすさんが描かれていたり書かれていたりされてるとこなので、是非とも! それをふまえてひろうすさんの絵巻を堪能して頂きますようお願いいたします!

個人的に気になったとこや妄想

前から考えてたんですが、道隆、道兼、詮子、道長って仲良くはないけど、それぞれに得意分野が違って個性もあって良さがあって、面白いチームですよね
ガンダムのザビ家きょうだいみたいで、仲良くそれぞれの能力、得意なこと、尊重しあって協力すれば無敵のきょうだいになれるのになあ…って惜しく思うんです
ガンダムパロディをむしろやってほしい
そう言えば、道長が道兼にすごくいい説教をしたのは、6話で「虫けらはお前だ!」ってぶん殴ってた事を思うと感慨深いです
まひろの母を殺した事を許さざるをえなくて、それから事件を揉み消した父が居なくなって、それでも政治をやっていかなければいけないから、
道隆の専横に対抗するには、兄にもしっかりしてもらわないといけないから、強固な意思をもってそうしたのかな
あ、そう言えば6話ごろを確認して思ったんですが、百舌彦と小麻呂ってすっかり出てこなくなりましたね…
百舌彦はどうしてるんだろう、道長が官位が上がっちゃったから、ちゃんとした秘書的な役割のできる従者でないと困るから解任されたのかな
いや百舌彦はともかく小麻呂は出してもらっても良いですよね、何で? キャラが増えていく一方だから?

ききょうがまひろに、中宮様の女房に取り立てられたと言いに来たエピソードって実は、後の道綱事件に繋がるものであったと感じます
まひろとききょうは、共に道隆の家の漢詩と和歌の会に呼ばれてしました
でも、ききょうにだけ声がかかって、まひろには無かった
まひろは、どうして自分は呼んでもらえなかったのか、そんなに違いがあったのか、家柄か? 才覚かと、すごく心がざわめいたと思うのです
ききょうは決して自慢したりマウント取りに来たりしたわけではなく、むしろ唯一の友人に話したくて訪れていた、それが余計、友人に悪い感情を抱いてしまってしんどいはず
でもまひろは、我慢強すぎて理性的すぎる人格だから、それを抑制できる
でも、さわさんにはそれは難しいです
我慢強くないという意味ではなく、まひろより相当に追い詰められた状況だったからです
家では両親に邪魔ものあつかいされており、おそらくまともに婿取りもしてもらえない、飼い殺しの状態であったと思います
まひろの元に訪れる時だけが、唯一の安らぎであったはず、でもよりによって
“連れ出してくれる殿方”を求めていたのに、そしてさわさんは道綱を受け入れようとしていたのに、苦し紛れの言い訳を並べ立てられ、放って去られてしまった
勝手に忍んでこられて、お前じゃなかったと去られる
さわさんにとって大切なまひろと引き比べられて、いらない方と扱われる!
自分の家でもさんざん、いらないって扱われているのに、それを重ねられるなんて、あんまりです

道綱が苦し紛れとは言え、これ以上悲しむおなごを増やしてはいけないという理由をひねり出したのは、まあまあです
しかし、問題はこの後ですよね
来週以降、悲しむおなごを増やさない、という文言に従った行動がちゃんと取れるのか?
自分の妻を大切にし妾にも気を遣い、母親孝行をして、平らかに穏やかに皆が暮らせるように心を込めた行動を取って、そしてさわさんに良縁の世話をするなら許してやっても良いでしょう
しかし、例えば道長あたりに

「いや~この前まひろって娘に夜這いしようとしたらうっかり間違えちゃったんだよね~」

みたいなこと言ってぶん殴られたりするんじゃないかと気が気でないです
そんな反省の色もないことしやがったら、有罪中の有罪ですね
道綱、母の著作の『蜻蛉日記』をきちんと読んで、妻や妾の苦しみだけでなく、女性にのしかかる閉塞感をしっかり感じていれば、こんなことをしなかったのでは?
そしてまひろとさわさんはどうなるのでしょうか
さわさんは、まひろのことは大好きなのに、この件でもう、屈託なく仲良くすることが出来なくなってしまったはずです
それが道綱がやらかした、最悪の事です

と、こんなことを書いても始まりませんね
まずは次回の放送を待つことにします
来週も怒りの感想にならんことを祈るばかりです

追記
このところ、いつも掲載している怪文書鑑賞メモ写真をのせるのを忘れてました

これまでB5白文帳に書いてたのがA4方眼紙に変更になりました 何となく書きやすいです

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