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豪雪の山里から ~ 食べものを蓄える

こんにちは。ようこそ

さて、ここに暮らして学んだことの一つは
食べものを蓄えるってこと

都会に暮らしていた時には
ほぼ考えいらずで済んでたことだけど
食べたいものはスーパーとかコンビニとか
その辺のお店に行けば、時期も時刻も関係なく
いつでも簡単に手に入るような暮らしだったから

ここに住んでみて、今さらながら、それは当たり前
じゃない暮らしと判る

野菜には旬がある
この豪雪地じゃ、普通のビニールハウスは
雪の重みで押しつぶされてしまうから
基本は露地栽培だけ
だから、野菜は旬の時期にだけ採れる

米も同じ
採れるのは年に1回

野山で採れる山菜もキノコも同じ
採れるのはごくわずかな期間だけ


今なら冷凍庫もあるけど、昔はそれもなかった
だから人は、旬の時期にたくさん採れたものを
いろんな形で備蓄しておく知恵を身につけた

はじめて教えてもらって凄いと思ったのは
山菜の王様、ゼンマイ

ゼンマイは採ってくるのも大変だけれど
その後の処理がもっと大変
そのままだとスジばってて食べられないから
必ず乾物に加工してから使う食材
湯がいてから、1日に何度も揉みこみながら
天日でカラカラに乾燥させる
乾燥終わりには採った量の10分の1にまでなる
上手に湯がくのも揉むのも熟練の技がいる
そして調理前、乾物を戻すにもコツがいる
昔の人はよくもまあそこまでして保存・調理方法を
編み出したものだと、感心するほかない

ぜんまいに限らず山菜は、春から畑の野菜が
採れ始めるまでの空白を埋める
ビタミン源として貴重な食材
(しかも人の手で育てなくても良いからありがたい)
だから採れたてを天ぷらやお浸し等にして旬な味を
堪能するほか
保存の効く味噌炒め煮や塩漬けなどにして、できるだけ
長く使えるように工夫を施す

秋のきのこも
もちろん汁物にしたり天ぷらにしたりも美味しいけれど
乾物にすることで長期保存を可能にしただけでなく
それは旨味を増大させるという付加価値を生んだ

一度にたくさん採れた野菜は
つけものにしたり、火を通したり
例えば、たった2-3株でも最盛期ともなると連日
バケツ一杯に採れるキュウリ
サラダばかりでは到底食べきれないけど、捨てるのも
勿体ないから、塩漬けにしたり佃煮にしたり
あの手この手で加工して長期保存する

そして保存と言えば、何と言っても秋野菜たち
だいこん、白菜、長ネギ、ジャガイモなど
それらは作物が採れない長い冬の間の大切な
食料として備蓄される

大根は、干してたくあん漬けにもするが
かつては藁でつくった「大根ちぐら」に入れて
雪の中に保存し、
あるいはもみ殻の中に刺しこんでおけば、
寒さで凍みることなく春先まで普通に食べられる
そして春、残った大根はそのままにしていると
腐ってしまうけれど
薄くスライスして天日に干せば
更に長期保存のできる切り干し大根にもできる
そこまですれば、ほんと無駄がない

晩秋の晴れた日に収穫した白菜は、もちろん漬物に
するけれど、しばらく天日で表面を乾かしたなら、
あとは新聞紙に包んで玄関土間とかに並べて立てて
おけば、これも春まで食べられえる
長ネギも同じ。土がついたまま米袋に突っ込んで
おけば、冬の間中食べられる
ジャガイモも、収穫したら茣蓙に広げてすこし
転がしておき、表面が乾いたら、あとは段ボールに
入れとくだけ。しかも春に余ったのは種芋として畑に
植えれば、また秋に収穫できる

最後にお米
ここに来るまで、正直言って「米は生鮮食品」なんて
ことは知りもしなかったが…
米は籾付きのまま置いておくのが一番保存がきくが、
機械を動かして籾摺りを何度もするのは大変だから
収穫したあと、一気に籾摺りをして玄米にしてしまう

普通はそれを白米に精米して食用にされるけれど、
白米にすると酸化が進みやすくなり長期保存には向かない

だから農家は玄米のまま保存するのだが、
それでも気候が温かくなってくると徐々に鮮度が落ちて
美味しくなくなってしまう(食べられはするが)
そこで、この豪雪地帯ではたくさんの雪を詰めこんだ
「雪室(ゆきむろ)貯蔵庫」に保管することで、
一年を通して変わらず美味しいお米が食べられる
雪も「つかいよう」だ


いろいろと手間がかかると言えば、かかるけれど、
この辺のお年寄りは、季節の折々にそういったことを
繰り返して、自分たちの暮らしを営んできた
それらは豊かな食生活のためではなく、生きるために
必要に迫られて、先人が苦労してあみ出してきた
数々の技術

そんな暮らしの知恵さえ必要がなくなった
現代の暮らしはとても便利で楽ちん

でも、なんだか物足りないような薄っぺらなような
そんな気がしてくる
どちらが豊かな暮らしなのか...?

ものは「かんがえよう」だ

ではでは







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