にじさんじの窮状、卒業ラッシュの原因とその悪影響
※アイドル…自身をコンテンツ化すること。内容が面白いからではなくその人がやっているから見に行く、となること。New Jeansより加藤純一的な集客力のこと。
※にじさんじ全体に関してですが委員長の名前がよく出ています。アイドル(一般の概念の方)的要素、アイドル要素、企画力等色々な要素を持っている事、当時の知名度に由来した初期にじさんじイメージの創造者である事、あと自分が最も追っていて変化を感じている事等が理由。
※分かりやすく比較するため特にホロライブ(以下ホロ)などの他事務所を出しています。
卒業ラッシュとにじさんじの窮状
卒業理由として「自分のやりたいことが出来ないから」「思っていた方向性と違うから」というものを挙げる人が多い。
技術の進歩とともに、バーチャル世界でもやれることがどんどん増えている。だが一企業がやれることには限界がある。資金面はともかく、人材面の問題を解決できなければ多角展開は厳しい。
多数のライバーを抱え、とかく多様性の虹等と形容されがちなにじさんじであるが、そうであるが故にそれぞれの分野への展開が中途半端になっている。人材不足故の展開の雑さ、遅さを視聴者目線でも感じる程に。
この辺りは2次元アイドルに集中するという選択を早期に行い、モデル師や3D技師を囲いこみ、ライバーのコラボ管理等まで徹底してアイドル像を守ったホロとの違いだろう。にじに先見の明がなかったと言うつもりはない。ホロに先見の明があったのは間違いないが、それでもレバガチャを始めとして芸人事務所+テレビ局(一部外部協力)の役割を目指したのはひとつの選択だ。誤算だったのは後発のヒット番組が長く続かず、ライバー発の「人気ライバーが含まれる」企画しか公式で伸ばすことが出来なかったこと、繰り返され飽和した日々の配信が惰性やマンネリを起こし易いコンテンツモノ(芸)より単純接触効果(アイドル)に、想像以上に有利だったことだろうか。
今現在実際に箱を支える人気や勢いがあるくろのわ、ろふまお、ヴォルタ、さんばかなどに共通するのはアイドル的な人気由来の集客力を持つということ、そして基本男性ということだ。
ロレイブエビオ辺りの個人の人気も結局アイドル的なものだし、そうでなくともゲームという比較しやすい媒体はそれ単体で強みにはならない。上には上がいるし、本気で上を目指しあらゆるものと戦った勇気ちひろは結局最後までVの空気にもプロの空気にも馴染めなかった。
結果として多様性を持つ故にどちらの分野でも、というかどの分野でも中途半端となっているにじさんじには割と次に打てる手がない。何かを捨て一時的に落ち込まなければ長期の伸びが見えない。
委員長の雑談や企画、20万人クラスのライバーの突発企画などは今の箱の色とライバー数では塗りつぶされ、固定ファンしか見ない。公式企画もこれだけライバーがいると箱推しは消滅している。結果出演ライバーのファンしか見ない、となる。つまり企画をやっているのにゲーム配信と変わらずアイドル的要素しか伸びない。寧ろそのコンテンツの方向性によっては消費するのだ。なんとも切ない。
足掻きと失敗
リバライやノルニス等の新たな試みもそこに集中特化したホロや神椿に押されている。
声優、アニメと元々アイドル的要素を強く持つコンテンツはホロと競合するのは当然だし、キャスト個人の集客力で圧倒的に負けている以上端から不利は見えている。ノルニスのような如何にも内容で勝負しますという企画も余程プロモを上手にして既存ファン層以外を最初から流し込めなければ1ライバーの1活動で終わる。当初からそれに拘った神椿などとは同じ土俵に立てないだろう。
公式番組等のテレビ局路線も上手くいっていない。バラエティが伸びる時代では無い、というか中途半端にアイドル性に頼ったが故に俗人的な楽しさではなくバラエティを求める視聴者は離れてしまっている。
そもそも広報の人材を集めるところからだ。消費者相手のサービス業なのにも関わらず明らかにプロモが下手なのだから。古くは委員長のアルバムから、ノルニスのプロモ、新人の組み合わせとその告知まで。そのクオリティだけを見ればもっと集客できただろ、と思うコンテンツも多い。
サロメ嬢は成功しているが、あれは時期が大きいし本人が「男性と関わらず女性1人で男性を楽しませる」という今のにじで見られないスタンスを貫いたからだ。
今のVtuber界で伸びるのはゲーム(単体と言うより付随したトーク力、箱全体で盛り上げるお祭り感)かアイドル、もしくはその両方の要素を持っている人間だ。個人勢で言えば新兎わいやぽんぽこのような特異点もあるが、実写を多用するやり方は2次元アイドルの世界観が強い企業が狙うものでは無いだろう。
今後の拡大方針について
国内でのVtuber視聴時間はもうほぼ飽和状態と言っていい。少なくともVtuberを抵抗なく受け入れられる層には殆どその存在を認知されるところまで来ているだろう。次の伸ばし方はそういった下地がない層への拡大、そして海外での周知といかにその人気を国内(日本語)Vtuberに流入させられるかだ。
前者の点では一個人である私には企業単位、社会単位での企画を色々頑張れってくれとしか言えない。後者の点では、ここでもにじさんじは不利だろう。これは個人的な感触だが、ジャパニーズアニメカルチャー、二次元文化というのはやはり少女のイメージが強いんじゃないかと思う。勿論ワンピースやマリオなどもあるが、Vを推すのは男性層が多いと思うのだ。まあこれはにじENの男性Vが相当伸びている以上私の偏見の可能性も高いが。それを除いても現状のにじさんじはENへのサポートが無いに等しい。個人で出来る普段の配信以外まともな活動がほぼないのだから。ほんとに、せめてユーロ圏と米豪くらいには3Dスタジオ作ってくれないか…?ライバーもファンも報われなさすぎる…
まあホロもENに関してはちょっと荒れてたけど代表変わってだいぶ軌道に戻ったっぽいので順調だった体で行きます。海外流入という点でも、ホロは公式でのJPENコラボやキャラクター性、2次元コンテンツ性の長所をしっかり活かしたプロモや配信により定期的に新規流入が取れている。まあこの流れに関しては0→1にしたココ会長個人の功績がだいぶ大きいとも思うけれど、どちらにせよスカウト陣は褒められるべきだろう。
卒業ラッシュの悪影響
卒業というのはどう言い繕ってもネガティブなニュースだ。停滞感、悲壮感が出てしまう。そうなれば今推しているライバーは辞めないか?
ハマりかけてたけどハマっていいのか?という心配は出て当然だ。
バンナムのV企画で1年後にここまで以下だったら引退、みたいなのがあったと思うがあれと同じことが起きるのだ。つまりは「終わる可能性があるコンテンツに金を払う人間はいない」という事だ。恐ろしいのはこれは負のスパイラルな所。
売上低下してサ終が囁かれるソシャゲでは課金する人間が減っていく。そしてサ終発表したソシャゲに課金するバカはいない。Vの場合個人単位では卒業時にスパチャが飛び交うが、停滞感が箱全体に漂えば話が違う。流入より流出が増えればそれはコンテンツの衰退だ。元々固定ファンが付きやすいアイドル方向のホロと比べ、箱内そして箱外にも及ぶ視聴者流動が激しいと言われてきた。流入が止まるのは致命的だ。
そして方向性が違うという理由で人が減るというのは多様性が失われていくという事でもある。今回の3名(JPのみ)に限っても、fpsでゼロから本気で上を目指したライバー、大手V随一の身体能力とダンスの腕を持ち現実アイドルとのコラボを実現させたライバーが含まれているのだ。
こうなれば人気ライバーつまり固定ファンの多いライバーの力が、箱のアイドル色が強くなる。本当にこの方向に全力投球するしかなくなるかもしれない。現状のにじさんじは箱推しが出来る人数では無い以上、全員が「箱のアイドル色」の恩恵を受けられるわけでは無い。そこで切り捨てられたライバーやファンはたまったものではない。
多人数であることの成功例とならではの企画
・ンゴのスペイン村のような偶然のバズ
・来栖夏芽のような箱内での企画からの作家というメジャー展開
→これらは数打てば当たる的な、試行回数が物をいう所もあると思う。
・吹奏楽部、(ダンス部)などの20人にひとりクラスの特技でも箱内でそれなりに人数が集まること
・50人クラスの企画により開催自体、そして優勝者にコラボでは得られない大会感、特別感があること(最近は10~20人ほどが多く、それホロとかでもできるよね?って思うけど)
・名前だけなら200人近くは箱内で賄えることにより人数必要な企画でも箱の色だけで行えること(甲子園とか)
・2期生、いでぃおす、ヒーローなど大人数同期による疑似的な箱で推し活動があること
終わりに
個人的にこのノートの書こうと思ったきっかけはにじフェス。葛葉の単独ライブがそれ単体でSYMPHONIAと同等の集客力を持っていたという事実。
「人気ライバーつまり固定ファンの多いライバーの力が、箱のアイドル色が強くなる。本当にこの方向に全力投球するしかなくなるかもしれない」
今までも思ってきたこれが、より現実味を帯びて見えてきた。
葛葉が単独では無くシンフォニアにでていれば、総合売上は減っただろう。剣持もソロにしていれば総合売上は上がっただろう。順調な時はともかく、えにからが金に困ったらどうするのか。そうでなくとも来年以降のフェス有料ステージはどう組み合わせるのか。1ファンとして楽しみであり、株主として心配だ。
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