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2026年WBCの展望

先日、次回2026年WBCの組み合わせが発表されました。

流石に早すぎると思われそうですが、組み合わせを踏まえ大会の展望を述べていきたいと思います。
とはいえ大会の1年半前であり、メンバー等も読めない中での推測だということはご承知おきください。


次回WBCの概要

6回目となる次回のWBCは2023年と同じく20チームが出場。その20チームは前回大会で1次ラウンド4位以内に入った16チームに加え、来年開催される予定の予選を勝ち抜いた4チームです。

そして2023年と同じく5チーム×4プールに分かれ1次ラウンドとして総当たり戦、各プールの上位2チームずつが決勝トーナメント進出、そこから準々決勝、準決勝、決勝とトーナメントが行われます。
開催地は1次ラウンドが
◾️サンファン(プエルトリコ)
◾️ヒューストン(アメリカ)
◾️東京
◾️マイアミ(アメリカ)
そして準々決勝がヒューストンとマイアミ、準決勝と決勝がマイアミです。

組み合わせの決定方法

WBCは他スポーツの国際大会と異なり組み合わせ抽選会などは行われず、主催者であるMLBが決定しています。
では主催者はどのように組み合わせを決めているのか。MLBから具体的に発表はされていませんが、明らかなのは収益が上がるような組み合わせとなっている点です。
例えば今回メキシコ代表はアメリカのヒューストンで行われる1次ラウンドに割り当てられましたが、ヒューストンはメキシコからの移民が非常に多く、この地でメキシコ代表が戦えば多くの観客が訪れ多くの収益が得られることが期待できます。
公平な抽選でない点は違和感を持つ方も多いかと思われますが、WBCは主催者が世界野球ソフトボール連盟でなくMLBである以上は、収益が重要視されるというのもやむを得ない気もします。

大会の展望

前置きが長くなりましたが、ここから1次ラウンドの組み合わせを踏まえ、大会の展望を述べていきます。

プールA(開催地:サンフアン)

プールAの5チーム

プールAは全4プールの中で最も混戦になりそうなプールだと感じます。あえて言うならプエルトリコがやや優位、追うキューバとカナダという構図でしょうか。

プエルトリコ
プールAの開催国であり、2013年と2017年に2度の準優勝に輝いたプエルトリコ。2017年に決勝進出した際は視聴率70%を記録するなど、大会への注目度も凄いです。
ただ2度の準優勝のときは正捕手としてヤディエル・モリーナがチームをまとめていましたが、彼が引退し監督となった前回は準々決勝敗退。今のプエルトリコにはモリーナのような絶対的な捕手はいませんが、リンドーア(メッツ)などを中心に、次こそ初優勝なるでしょうか。

キューバ
前回大会から亡命者のメンバー入りも大幅に解禁し4強入りのキューバ。この流れで次回は多くのメジャーリーガーが参戦と期待したいところですが、前回大会でメンバー入りしたロベルト(ホワイトソックス)は次は出ないと表明。
キューバの場合は政治的な面なども複雑であり、どんな戦力を集められるか不透明ですが、かつての亡命した選手は二度と代表になれなかったキューバからは確実に変わりつつあります。

カナダ
過去のWBCでは全て1次ラウンド敗退のカナダ。とはいえ前回大会でもカナダ代表入りしたフリーマン(ドジャース)やオニール(レッドソックス)などMLBで活躍するカナダの選手も多く、本来なら上位進出できる実力のある国。
決勝トーナメント進出を争うことになりそうなキューバに対して、近年の国際大会で相性が良いという好材料。

パナマ
パナマは前回大会で台湾とイタリアに勝利も、得失点率で惜しくも1次ラウンド敗退。
主なパナマ人選手では今永とバッテリーを組むアマヤ(カブス)などメジャーリーガーに加え、近年は日本のプロ野球でバルドナード(巨人)ゲラ(阪神)メヒア(中日)がプレーしており、彼らが次回WBCで代表入りすれば、日本のファンにとっても注目のチームとなりそう。

プールB(開催地:ヒューストン)

プールBの5チーム

よくWBCは「アメリカ有利の組み合わせ」なんて声もありますが、個人的にはそんなことはない気がしています。今回のプールBも決してアメリカでも楽に勝ち上がれる組み合わせではないと思えます。

アメリカ
2大会ぶりの優勝を目指すアメリカは、前回大会ではトラウト(エンゼルス)が主将としてまとめましたが、彼も2026年には34歳で近年は怪我にも苦しんでいます。おそらく次回大会でもスター軍団なのは間違いないですが、誰がまとめ上げるのかにも注目です。

メキシコ
前回大会準決勝で侍ジャパンとの激闘も記憶に新しいメキシコ。そのときのメンバーでは一躍有名になったアロザレーナ(マリナーズ)に加えパレデス(カブス)やデュラン(レッドソックス)もMLBで活躍を続けています。
プールBが開催されるヒューストン200万人ほどのメキシコ系移民がいると言われ、実質ホームと言えるのも強みです。そして同プールのアメリカに対して非常に相性が良く、2013年大会と前回大会で対戦し勝利。

イタリア
そんなメキシコに対し相性が良いのがイタリア。2013年大会と2017年大会では、どちらも対戦しサヨナラ勝ち。
8強入りした前回大会で主軸だったフレリック(ブリュワーズ)やフレッチャー(ホワイトソックス)はまだ若く、今後のMLBでの活躍も期待されます。前回大会ではイタリア系アメリカ人がメンバーの多くを占めましたが、次回は有望株のアルデゲーリ(エンゼルス2A)などイタリア育ちの選手も増加に期待。

イギリス
イギリスは初出場となった前回大会でメキシコ相手に1点差。また昨年の欧州野球選手権では、WBCとはメンバーが大きく異なるとはいえイタリアに勝利。
MLB屈指のスター選手であるチザム(ヤンキース)もイギリス代表の資格があり、次回大会は出場に期待。前回大会で正捕手かつ主軸を担った有望株のフォード(マリナーズ2A)は次回大会でもまだ23歳。

プールC(開催地:東京)

プールCの5チーム

前回大会と代わり映えしないとの声も多い東京ラウンド。とはいえ韓国もオーストラリアもチェコも、新たな若い選手が台頭しています。

日本
日本は次回大会でも優勝候補なのは間違いないでしょう。1次ラウンドであえて懸念点を挙げるなら初戦。
やはり初戦は難しく、全勝優勝した前回大会でも初戦は中国を相手に6回まで2点差と苦戦。 次回大会の初戦は予選突破国ですが、もし中国より遥かに強い台湾が勝ち上がり、昨年のアジアプロ野球チャンピオンシップで侍ジャパン相手に好投した古林睿煬などが投げてきたらと思うと要注意です。

韓国
ここ3大会で1次ラウンド敗退の韓国。ただ今の韓国野球はプラスの兆しもあります。
今年3月の強化試合でドジャース相手に素晴らしい投球をしたキム·テギョン(19歳)や、韓国プロ野球で史上最年少での30本塁打30盗塁を達成したキム・ドヨン(20歳)など若手が台頭中。
韓国プロ野球は今年、観客動員数が史上最多をマーク、代表チームもこの人気に乗りたいところです。

オーストラリア
前回大会で初のベスト8入りしたオーストラリア。今年もMLBドラフトではオーストラリア人のバザーナ(ガーディアンズ1A+)が全体1位指名の快挙。メジャーリーガーでは前回大会は怪我で欠場したミード(レイズ)もいます。
彼らが加わったら、前回大会で韓国との乱打戦を制したオーストラリア打線の、更にレベルアップした姿を見れるでしょう。

チェコ
前回大会ではアマチュア軍団として注目を集めたチェコですが、そのときのメンバーで現在2人はプロとしてもキャリアを積み上げています。
1人は前回大会で佐々木朗希から二塁打を放ったフルプ、もう一人は死球への対応でも注目されたエスカラ。2人とも現在はアメリカの大学を卒業し、北米独立リーグでプレー中。
前回大会から様々な経験値が加わった、中欧の紳士たちの第2章に期待。

プールD(開催地:マイアミ)

プールDの5チーム

メジャーリーガーを多く揃えるドミニカ共和国とベネズエラが目玉ですが、オランダとイスラエルもWBCでの上位進出を経験している国。

ドミニカ共和国
3大会ぶりの優勝を目指すドミニカ共和国。前回大会にも出場したソト(ヤンキース)などに加えデラクルーズ(レッズ)なども次回大会はメンバーに加わってくるかもしれません。ただ1次ラウンド敗退に終わった前回大会を含め、ドミニカ共和国なメンバーを揃えながらも、どこか噛み合わず敗れることもあるのは懸念点。
ドミニカ共和国は前回大会に続き1次ラウンドをマイアミで戦います。マイアミにドミニカ共和国からの移民が多く、実質ホームと言えるでしょう。

ベネズエラ
そのドミニカ共和国に前回大会で勝利したベネズエラ。2度目の大怪我を負ったアクーニャ(ブレーブス)が出場できるかは不透明ですが、多くのメジャーリーガーを揃えてくることは間違いないでしょう。過去最高はベスト4、悲願の初優勝を目指します。
そしてドミニカ共和国と同様にベネズエラも、プールDの開催地マイアミはベネズエラからの移民が多く、ホームに近い状態になりそうです。

オランダ
オランダはメジャーリーガーを多く揃え2017年大会で侍ジャパンと激闘を繰り広げたイメージが強いですが、そのときのメンバーも高齢化し前回大会は1次ラウンド敗退。また昨年の欧州野球選手権では5大会ぶりに優勝を逃しました。
とはいえMLBで活躍するアルビース(ブレーブス)とラファエラ(レッドソックス)の二遊間が実現したら楽しみですし、長らく人材不足の投手ではロベルセ(カージナルス3A)が成長を続けMLB昇格目前です。

イスラエル
イスラエルは2017年大会で韓国や台湾を破り8強。しかし前回大会では中南米の強豪国を相手に屈し1次ラウンド敗退。
前回大会のとき若手のマイナーリーガーだったゲロフ(アスレチックス)やホーウィッツ(ブルージェイズ)はMLBで活躍し始め、彼らが再集結すれば強力なチームになりそう。
プールDの開催地マイアミはユダヤ系アメリカ人も多く、声援の後押しもありそうです。

予選突破国について

そして4つのプールにはそれぞれ1チームずつ予選突破国が加わります。ここにはどのような国が勝ち上がって来るのでしょうか。
そもそも予選の概要はまだ未発表ですが、まず有力な候補として前回大会も出場した台湾コロンビアでしょう。台湾は米マイナーリーグや台湾プロ野球で注目される若手投手が増えています。コロンビアは前回大会で4強のメキシコに勝利、アメリカとも1点差の強国。
同じく前回大会に出場したニカラグアは好投手が多く、また今季MLBでブレイクしているビエントス(メッツ)は母がニカラグア人で同国代表の資格あり。
その他では昨年の欧州野球選手権でオランダ等を破り優勝したスペイン、昨年のパンアメリカン競技大会でキューバ等を破ったブラジルなども、突破候補です。ドイツは初出場なればケプラー(ツインズ)やドノバン(カージナルス)などを揃えてくるかもしれません。

決勝トーナメント

決勝トーナメントはどこが勝ち上がってくるかわかりませんが、最も大きな違いは東京ドームでの準々決勝がなくなりヒューストンとマイアミになった点。この影響を最も受けるチームは我らが侍ジャパンでしょう。
前回大会の準々決勝は東京ドームでのイタリア戦だったのが、次回大会は勝ち上がったら準々決勝はマイアミで相手はメジャーリーガーを多く擁するドミニカ共和国やベネズエラとなる可能性があります。
ドミニカ共和国やベネズエラが相手となった場合、相手として強いのは勿論のこと、前述の通りマイアミは中南米からの移民が多いため、完全アウェーとなる可能性が高いです。
※こちらは2017年大会のマイアミで行われたドミニカ共和国の試合での様子※

それに勝っても準決勝、アメリカやメキシコとの対戦が待っている可能性もあると思うと、連覇へは険しい道のりです。
(どちらかというと次回大会がキツい組み合わせというより、前回が組み合わせに恵まれすぎていたとも言えます。)

そして優勝候補としては日本アメリカに加えドミニカ共和国ベネズエラ、それを追うのがメキシコプエルトリコというあたりでしょうか。
どのような大会になるのか、今から注目していきたいです。

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