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WBC初出場なるかドイツ代表

皆さんは欧州の野球強豪国というと、どんな国をイメージしますでしょうか。まずはWBCで何度も対戦したオランダ、次に同じくWBCに出てくるイタリアでしょうか。
今回は来年の第五回大会より出場枠が拡大するWBCにて、初出場を目指すドイツについて、少し語っていきたい。

ドイツに野球のイメージが薄い方も多いかもしれませんが、MLBに詳しい方だとツインズのM.ケプラーが思い浮かぶでしょうか。ドイツの首都ベルリンで生まれ育った彼は2019年には36本塁打をマークするなど、現在MLBでは最も成功している欧州人選手と言える存在。ケプラーはオフに祖国ドイツで野球教室を開催するなどもしており、ドイツ野球のスターです。

ドイツ代表について
野球のドイツ代表は簡単に言うと欧州で5〜6番目に強いかと言える国。欧州野球の序列としてはオランダとイタリアが長らく2強、東京五輪にも出場したイスラエルが近年は割って入る存在、それに続くのが中南米系の影響が強いスペインというイメージ。そして5〜6番手をチェコイギリスと争うのが現在のドイツの立ち位置ですが、近年はチェコに後塵を拝することが多く、また昨年の欧州選手権では格下と見られたクロアチアに敗れるなど9位に終わっています。ドイツ代表には強打者が多くいるのですが、投手層や守備力に難があるのか、大量失点する試合も目立ってしまっています。

ユニフォームは黒がベース

今年9月のWBC予選
WBCは来年の第五回大会より、出場枠がこれまでの16チームから20チームに拡大します。その20チームは
①前回大会に出場した16か国
②予選を勝ち抜いた4か国

となります。前回大会では予選で敗れたドイツは、②の予選を勝ち抜かなければ来年春のWBC本大会には出られません。

前回大会に出場できず予選を戦う国には、メジャーリーガーを何人も排出している中南米のパナマ、ニカラグア、ブラジルなどがいます。更には上で述べた欧州の強豪であるスペインやチェコなどいる中で、ドイツが4つの枠に入るには大変な戦いであることは間違いありません。
ただそれでもドイツ代表に期待したい理由が2つあります。

1つは今回のWBC予選は2グループに分かれて行われますが、そのうち片方はドイツ開催だそう。会場となるドイツ南部レーゲンスブルクの球場は欧州最大規模の客席数を誇り、更に増設工事が行われています。地元の大きな後押しを受けての予選はプラスな要素です。

レーゲンスブルクの球場

ドイツ代表に加わりうる選手
もう一つは戦力面。実は9位に終わった昨年の欧州選手権では、様々な事情で参加できなかった代表メンバーが多くいます。
まずは最初に述べたM.ケプラー。メジャーリーガーなのでWBC以外の国際大会には出てこれないですが、もしWBCでドイツ代表入りすれば間違いなく中心選手でしょう。
更に昨年の欧州選手権を欠場していたメンバーにはドイツ人投手としは最も実力あるM.ソルバック(タイガース2A)や、ドイツよりレベルの高いオランダリーグで好投を見せているS.グロス(オーステルハウト/オランダ)が、打線ではドイツ人で初めてメジャーリーガーとなったD.ルッツ(ブリスベン/オーストラリア)がいます。

左がケプラー、右がソルバック

そしてドイツという国は欧州で最も多く米軍が駐留しているのですが、WBCだとそんな在独米軍の家庭に生まれたドイツ生まれのアメリカ人である野球選手を呼ぶことができます。そんな経緯から過去にドイツ代表入りしたのが昨年韓国で30本塁打を放ったA.アルテール(FA)と以前アスレチックスなどでプレーしたB.マクスウェル(モンクローバ/メキシコ)の二人。センターを守り中軸を担えるアルテールと捕手として攻守で支えられるマクスウェルは、大きな戦力でしょう。
さらにWBCでは両親のどちらかドイツ人だとドイツ代表になれるため、2020年春に予定されておりコロナで延期となったWBC予選ではドイツ系アメリカ人で先発右腕のD.ボンシャーマン(ヨーク/米独立)やリリーフ左腕のL.ジェイコブセン(レンジャーズ2A)が、野手では現在MLBの40人枠にも入ってるB.ドノバン(カージナルス3A)やD.ムーアー(ワイルドヘルス/米独立)がメンバー入りしていました。

今年9月に予定されているWBCの予選では、MLBのシーズン中であるため40人枠のケプラーとドノバンは参加が難しいかもしれませんが、他の挙げた面々が再び代表入りする可能性は大いにあります。そうなれば予選突破も見えてくるでしょう。

WBCに向けて
とはいえチームの土台としてまず、国内リーグであるブンデスリーガの選手が良い戦いを見せれることが大事。前回WBCでベスト4入りしたオランダ代表も中心となったのは多数のメジャーリーガーやバンデンハーク、バレンティンなどでしたが、そこには脇をしっかり固めるオランダ国内リーグの選手の存在もありました。ドイツもそんな戦いができればWBC本大会が見えてくるでしょう。

ぜひとも日本の野球ファンに「欧州野球はオランダとイタリアだけじゃない」と思わせる戦いを期待したい。そしてスポーツ大国ドイツにWBC出場という経験が加われば、どんな化学反応があるかも楽しみです。

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