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Dusk Till Down

さざめく昼をなだめながら夜がやってくる。
街の灯が傷ついた人たちを包み込む。
一日の中で、天使が手を差し伸べる時間。
こんなかたちで生まれてきたわたしにも平等に。
でもそれは、とてつもなく儚い。

家路を急ぐ車を眺めながら、あなたを思う。
今頃、東京の光を受けながら首都高を走っているのだろうか。
それとも路地裏の猫にあいさつをしてカメラを向けているのだろうか。

ほころんだ世界を繕うあなたの指先。
奏でる音は迷子をすくうんだ。
混ざり合う空は瞬く間に様相を変え、視界に入る一番星が滲む。
わたしはこっそり猫の鳴き真似をしてみる。

淡い蛍光灯が浮かぶ地下鉄の入り口。
祈るような気持ちで、その階段を滑り落ちていく。
明日を迎えるために。

#散文詩

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