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令和2日目の事

ずっと家にいるのも陰鬱として且つ、昨日の夕ご飯にした肉だしラー油そばのカップ麺が翌日になって胃を圧迫しだしたせいもあり、息が詰まりそうになってきていた。
ネタ探しと健康も兼ねてスーパーまで散歩に出かけることにした。
午後8時。
近所には空港。ベッドタウンとなろうとしているのかマンションが軒並み建っていて、少し高めの住宅が並ぶのでさほど暗くもない道を1万ほどの曲が入ったiPhoneとお気に入りのイヤフォン3号で闊歩する。
髪の毛はボッサボサ、目元に出来物ができていたので適当なニットキャップとメガネをし、TシャツにトラックパンツとGジャン。
適当で且つふらりお買い物気分ですよ、をさりげなく演出している「つもり」の格好。なにを言っているのだろう。まぁ、いいや。いつもそんな気持ちだ。
空に星が出てないから明日は雨模様かな、どんたくがあるらしいからちょっと見に行こうと思ったけどやめようかな、いや待て。元より人混み嫌い、お祭り嫌いじゃないか。行く意味がないな。
ふと、ぼんやり考えていたらスーパーの近くまでつく。
店の裏から表側に出る道で、怪しく動く人を見かける。
従業員だろうか、仕事終わりに一服なのか懐から何かをゴソゴソと出しはじめた。
タバコかと思いきや、スティックタイプの"羊羹"の様でニヤニヤしながら貪りはじめた。
何の光景を目の当たりにしたのかと、僕は少し気持ち悪さみたいなものを感じしつつスーパーへ着く。
胸焼け、胃の圧迫感の為食欲が無いが、肝臓に脂肪がつきやすい体質らしく、三食(もしくは二食)しっかりとり、規則正しく生活することを余儀なくされた僕は"油物"、"ファーストフード"、"お菓子"はたまにしか摂取は許されず、そういう生活をしていると正直食べたくもなくなってくるのであって、スーパーのthe油物シリーズ!弁当に手が出なくなってきている。
では何を買いに来たのか。ワンルームの部屋にちょこんと付いている流し台をフル活用する為、ちょうどいいサイズの「まな板」を購入したかったのだ。ずっと100均で購入したペラペラまな板を使用していたがサイズが合わず、電気コンロの上で切っていたのでしんどかった。
今回購入に踏み切ったのは「肝臓の脂肪を溶かすスープ」を作る為。
にんじん、大根、かぼちゃ、きゃべつを各200gほど千切りにし、二倍の水で煮るだけのもの。
調味料一切使わず。コップ一杯を毎朝or夜、取る様にするといいらしくやってみている。
流石に、あまり安定しない台座の上でひたっすら千切りするのは本当に応えるし、通常の1,5倍は時間がかかるのでもう買おう、ということにした。(通常でも包丁で千切りしまくるのは小一時間は掛かるのでだいぶ疲れる。)
100均でしっかりしたまな板もあったろうかもしれないが、営業時間外だったのでだったらスーパーで全て済まそうと思った。
野菜各種と博多名物の1つ「とりめし」のレシピを元うどん屋で働いていた近所のおばさまから聞いていたのでそれの具材をカゴに入れ、自宅の流し台の大きさにピッタリサイズの木製まな板を見つけ意気揚々とレジへ。
大手スーパーでは大抵セルフレジが多くなっている。特に夜になるとレジ対応のバイトは学生or外国のバイトの方であって、手練れ、に出会わないとかなり遅かったりする。
僕は迷わずいつものセルフレジへ。自分でスキャンしていると、流暢な日本語で「お待ちのお客様、こちらどうぞ」と聞こえた。ふと見ると有人レジにまぁまぁの列が出来ている。
呼ばれている30後半から40代の女性は首を横に降る。その後ろに並んでいる方が「遠慮なさらず、どうぞお先に…」と言っているが頑なに首を振る。
その後ろから如何にも、な男性客が「おい、早く進めって!」と言うと痰を切ったようにその女性が「外人にたいおうしてほしくないのよぉ!」と大きめの声で叫んだ。
一気に注目する周りと同時に気持ちの悪い空気が漂う。
僕は未だにこういう事をしらっと言える人が居るんだな、と思いつつ会計を終わらせそれを横目に出口へ向かっていた。その後、声が荒ぶるような事もないので何事もなかったのだろう。
ダイバーシティ。多様性が叫ばれ、新しい元号になった世の中だけど、それを熟知し、行動したり考える人なんて一握りで、その他大勢なんて毎日を生きることに精一杯なのかもしれない。そんなこと言ったって、自分の周り、自分自身変化が顕著に現れるわけもなく。
考え方、行動で変わろうとする以前にその人の環境やバイタリティで決まってしまう。
だからこそ、多様性が大事で何事でもチャレンジできるような環境を作っていける世の中にしていかにといけないんだな、と帰りがけの道すがらスガシカオの「progress」を聴きながらスティックタイプのビターチョコバーを食べながら思った。

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