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なにげに文士劇2024旗揚げ記念連載#6【村角太洋】

作家たち、舞台に立つ
筆一本で世にはばかる文士(作家)とその仲間が集まって、芝居をします。
文士劇は130年以上の歴史を持ちますが、大阪では実に66年ぶりの旗揚げ公演。素人芝居だからこそ懸命、アタフタと慌てふためいてしまうかも?
……そんな素敵な企画「なにげに文士劇」。
舞台に立たれる方々のエッセイを順番に公開します!!
第六弾はTHE ROB CARLTONのキャプテン・村角太洋さん。
是非お楽しみください!!

超えた先にあるもの

文:村角太洋

 最近まで恐れの日々であった。

 11月16日に1ステージだけ上演される祭典のような舞台、なにげに文士劇「放課後」(原作:東野圭吾ひがしのけいご)の脚本・演出を担当することになった。
 文士劇とは作家による芝居のこと。
 役者として舞台に立たれるのは、文章と言葉を巧みに操るワードマジシャンたちである。

 さて、ここで、私の今回のポジションを思い出していただきたい。
 私、脚本を担当しておりますね。
 これが何を意味しているかお分かりですか。
 そうですね、私がしたためました脚本をワードマジシャンズに読んでいただくということですね。
 これ、恐ろしいですね。背筋が凍りますね。夏にはぴったりですね。

 しかも原作は東野圭吾さんの伝説のデビュー作。
 恐ろしささらに倍の倍。
 ハッ!
 バイ、バイ……私よサヨウナラということなのか。

 今回の文士劇のメンバーには作家の方以外にも、編集者の方、超書店員の方もおられる。
 まさにプロ中のプロ、総勢16名のムキムキワードマジシャンズに私の脚本は耐えうるのだろうか。
 皆さんに配られた日、それはそれはソワソワしておりましたものですよ。

 脚本ができたら、次に待ち受けるのは読み合わせである。
 出演者全員でセリフを声に出して読むのだ。
 なんてイベント! 恐怖!

 普段から読み合わせは恐ろしいと思っており、私はその時間を「地獄の時間」と呼んでいる。
 だが、今回はこれまでとは次元の違う恐ろしさ。

 心を悟られまいと努めて余裕の演出家を演じていたが、気になるシーンになったら皆さんのお顔をチラチラ見るし、落ち着かなくなったら何度も空の水筒に口をつけるし、原作にないセリフの時はApple Pencilを持つ手に力が入るし、しっかりドギマギしていた。
 最後のト書きが読まれ、拍手で読み合わせが幕を下ろした瞬間、本当にホッとした。
 面白く、とてもいい読み合わせだった。

 これを乗り越えた私に怖いものはない。
 稽古して、本番を迎えて、幕を下ろす。
 あとは楽しいことばかりだ。

 いざ、放課後!

プロフィール
村角太洋(むらすみ・たいよう)
(THE ROB CARLTON)
京都を拠点に活動するTHE ROB CARLTONのキャプテン。
全公演の作・演出を手掛ける。
本公演『Meilleure Soirée』(23)にて令和5年度 大阪文化祭奨励賞、第2回関西えんげき大賞 優秀作品賞 受賞。


■■■出演者■■■
黒川博行・朝井まかて・東山彰良・澤田瞳子・一穂ミチ・上田秀人・門井慶喜・木下昌輝・黒川雅子(画家)・小林龍之(講談社)・蝉谷めぐ実・高樹のぶ子・玉岡かおる・百々典孝(紀伊國屋書店)・湊かなえ・矢野隆
配役は下記の公式HPへ!!


日時:2024年11月16日(土曜日)16時開演
開演:サンケイホールブリーゼ
全席指定 8,000円
[主催・製作]なにげに文士劇2024実行委員会

なにげに文士劇の詳細は上記HPまで!是非チェックしてください♪


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