『映像の世紀』――構成と史観のダイナミズム|稲田豊史・ミステリーファンに贈るドキュメンタリー入門【第11回・最終回】
▼前回はこちら
文=稲田豊史
「構成もの」の最高峰
ドキュメンタリーには「構成もの」と呼ばれるジャンルがある。『なぜ君は総理大臣になれないのか』などで知られるドキュメンタリー監督の大島新によれば、「過去にあった出来事について、アーカイブ映像や活字資料をふんだんに使い、関係者の証言インタビューなどを折りまぜながら表現するドキュメンタリー」(*1)のことだ。
そんな構成ものの国内最高峰と呼んでも過言ではないTVドキュメンタリーが、NHK『映像の世紀』シリーズだ。同作は