見出し画像

一番好きなBLEACHのポエムの話。

月曜日の28時まで無事に眠れなくてこの時間まで起きてしまったので、一番好きなBLEACHのポエムについてその自分なりの解釈と好きなとこについて書こうと思う。

一番好きなポエムは以下である。

時は常に背後から迫り
唸りを上げて眼前に流れ去る
踏み止まれ
時がお前を 美しい世界へ押し流そうと
どれだけ牙を剥こうとも
前を見るな
お前の希望は 背後に迫る
冥冥たる濁流の中にしかない

BLEACH 50巻 巻頭ページより

物語はフルブリング編の真っ只中であり、表紙には銀城が描かれている巻。

まず最初の一節

時は常に背後から迫り
唸りを上げて眼前に流れ去る

「時の流れ」において「未来」を正面から流れ来るものではなく、背後から迫りくるものとしている。
背後から迫り、自身を通過する際に体験として唸りを上げて、眼前に、つまり過ぎ去った過去のものとして、観測可能な形で流れ去るのである。

このポエムの中では時の流れというのは
「自分が観測することができない未知の恐怖を伴った未来というものが、自分を通過する際に唸りを上げて現在として顕現し、やがて過去として自分の眼前に観測可能な形として流れ去る」
と形容されている。カッコ良すぎないか?お前がナンバーワンだ ありがとうございます。

そして、以下のように続く。

踏み止まれ
時がお前を 美しい世界へ押し流そうと
どれだけ牙を剥こうとも
前を見るな

未知の恐怖を伴った、背後から轟々と流れ来る「時の流れ」が、眼前に広がる「美しい世界」へとお前を押し流そうとしてくる。
ここで押し流される「美しい世界」とは、つまり時の流れのその先であり、すでに確定された、自分の眼前に広がる、つまり自身で観測することのできる揺らぐことのない安寧の過去である。

未知なる未来はお前に牙を向き、その輪郭も見えないまま、ただ畏怖だけを強め自分を楽な道へと押し流そうとしてくるのだ。

が、ここで本文は語りかける。
「踏み止まれ」と。
「前を見るな」と。
時と相対せずに流されることを良しとせずに、
激しくお前を叱咤してくるのである

そして最後にこう締め括られる。

お前の希望は 背後に迫る
冥冥たる濁流の中にしかない

希望というのは未来にしかないのだ。
それがたとえどれだけ恐ろしいものだとしても、相対するしかないのだ。
あまりにもカッコ良すぎるでしょ。久保帯人先生…。

このポエム単体だけでも本当に魅力的でお腹いっぱいなのだが、もちろんこれはBLEACHの巻頭ポエムであり、ということはつまり本編と密接に関係しているのである。この巻頭ポエムが収録されている巻はフルブリング編の序盤であり、まだ月島さんの能力が明かされていない状態である。じわじわと月島さんの能力により周りの人間の"過去"が蝕まれていく…。
その真っ只中での、このポエムである。
美しい世界である過去を享受するのではなく、そこに踏み留まり冥冥と迫る濁流と相対し、お前の希望を掴み取るのだ…。


BLEACH 50 巻頭より引用

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?