サカナクションとの出会い

自称音楽好きとして国内外問わず様々なバンドに手を出しているところではあるが、その中で1番は何かと問われればそれは間違いなくサカナクションだと断言出来る。

サカナクションを知ったきっかけは、2015年に公開された映画「バクマン」だった。
漫画も全巻集めるほど好きだったこともあり、やれどんな主題歌だと楽しみにしていたところ、そこに現れたのが”新宝島”だった。

癖になるメロディ、ドリフ大爆笑を思わせるシュールなPV、ついつい口ずさみたくなる歌詞。
それは自分が今まで聞いてきたどのバンドにもない個性の曲だった。それまでも名前はなんとなく聞いたことあったが、はっきりと認識したのはこの時が最初だった。

とは言いつつも、この時点ではまだ自分の中でのサカナクションに対する認識は
「ふ~ん、おもしれぇバンド。」程度のものであり、その深みに嵌まるまでには至らなかった。

そこから5年の月日が流れ、時は2020年の春。転機が訪れる。
例のウイルスが蔓延し、緊急事態宣言が発令され日本中に重たい閉塞感が漂っていた。
ライブイベントも軒並み中止になり、生でエンターテイメントを浴びる機会が激減していたそんな時期だった。
生活面でも外出する機会が一気に減り、やることと言えばゲームしたり動画を見たりする程度。

そんな時、何気なく目にした1件のツイート。
それが全ての始まりであり、本当の意味でサカナクションに出会ったのはこの時なんだと思う。

過去のライブ映像を毎週YouTubeで配信するという企画。
なんという大盤振る舞いだろうと思いながら、暇を持て余していたのでなんとなく見ることにした。

あまりにも衝撃だった。
知らない曲がほとんどだったが、映像越しにも伝わる音の臨場感と迫力。心が躍るというのはこういうことかと妙に腑に落ちたのを覚えている。
聴くと自然と身体が踊りだす、踊りたくなるような力がサカナクションの曲にはある。
嗚呼、やっぱり音楽は心の栄養なんだなと再認識するきっかけでもあった。

そしてこの一連の企画につけられている「夜を乗りこなす」というタグ。
「夜を乗り越える」のではなく、「夜を乗りこなす」
この辛い暗い夜を無理に乗り越えよう、克服しようとするのではなく、この夜に順応し、そして楽しもうという想いを感じた。
※そしてこの想いは2020年8月に開催されたオンラインライブ「SAKANAQUARIUM 光 ONLINE」
コンセプトアルバム「アダプト」に引き継がれていく。

それは晴天の霹靂だった。
それまでどうやったら今まで通りのライブが戻るのか、元のエンターテイメントを享受できるようになるのかとばかり考えていたからだ。
当然、今まで通りのリアルライブが良いのは百も承知だが、この変化してしまった世界を嘆くのではなく、新しい楽しみ方を模索するという当時の自分には無い考え方に感銘を受けた。

元のライブが戻ってきた今になって改めて思う
このコロナ禍の3年間という長い夜を生き抜くことができたのは間違いなくサカナクションの音楽があったからこそだと。

そんなこんなで既にすっかりサカナクションの虜となった自分だったが、さらにその海に深くのめり込むきっかけとなったのはボーカル山口一郎さんの個人配信だった。

それまで世間一般の認識と違わず”新宝島おじさん”(ご本人公認)としか認識していなかったが、ライブ配信を通じて一郎さんの飾らないユーモア溢れる素敵な人柄を知った。
一郎さんの話は常に理路整然としていて、すっと頭の中に入ってくる。
音楽に対する姿勢、そしてサカナクションの目指している方向性は常に一貫していてブレがない。
マイノリティとマジョリティの中間こそがサカナクション目指す立ち位置だと語る一郎さん。
大衆性を獲得しつつもしっかり個性がある。だからこそここまでサカナクションに惹かれるのかもしれない。

もっと早くサカナクションに出会いたかったと思う一方で、あの閉塞した時代に出会うことができて良かったと思う自分もいる。
あの時出会えたからこそ、新しい音楽の楽しみ方を、夜の乗りこなし方を知ることができた。

コロナ禍だったこと、そして一郎さんが昨年から休養に入られたこともあり、実は未だに生ライブに参加できていない。
だがあせることはない。その日はいつか必ず来る。

いつか来るその日まで、夜を乗りこなそう。


PS:出会いだけでもかなりの分量になってしまった。まだ全然好きな曲とか魅力とかライブの中身の話が書けていないので、恐らくまた書きます。

あとこれは20代全員に見てほしい。


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