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「良い商品」を作るためには(シャツ編)

こんにちは、折角のサクラも、雨で散ってしまいそうです。

先日の雨上がりに夜桜見物をしました。
近所でもこんなにも綺麗なサクラが観れるなんて、感謝しています。

目黒川添いのサクラ

さて、本題ですが、実家の処分もあり、服の終活を始めました。
過去の資料(サンプル)や着用していた物を少しずつ処分しております。
あまりの多さに、自分でも嫌になりますが、一つ一つに思いであるのにも、驚きました。「本当に服が好きなんだなぁ」と我ながら、あきれています。
その中でも、多いのが、シャツです。

大好きなシャツといっても、最近スーツを着用する機会が増えたので、ドレスシャツについて書きたいと思います。

「究極の良いシャツ」とは、何?

良く、見聞きすることがあると思いますが基準が曖昧ですよね?
自分もそうです。

あくまで、100着以上、着用した者として、解説したいと思います。
個人的な解釈として読んで頂けると助かります。

今回のシャツはRigatti(リガッティ)というイタリア製のシャツです。
FIRENZEと小さく表記がるので、イタリアはフィレンツェにあるアトリエで作られた物だと推察できます。

詳細確認をしようとネットで調べましたが、以下の程度で、詳しくは確認できませんでした。
1907年にカミチェリア(シャツ屋)として創業
1915年フィレンツェに移転
1955年シャツの生産を開始
1987年アントネッラ・リガッティが経営を引き継ぐとでてきます。
といったところまでですが、織ネームが違っていたので、確実ではありませんので、ご了承願います。

購入当時の自分の記憶をたどります(汗)
購入したのは東京原宿のBEAMS Fです。

既に、無くしてしまいましたが、このシャツ、ポプリが付いていたんです。
クローゼットの中はとても良い香りでした。
ポプリも、普通のポプリではありません。
世界一古い薬局と言われている
Santa Maria Novella(サンタマリアノベッラ)製の天然の薬草を使用しています。
フィレンツェ出張の機会があれば、必ず、立ち寄るクラシックな店舗でした。
働いている女性がとてもエレガントだと言う記憶です。

シャツを買うだけで無く、土地柄というか、世界観が伝わってきました。
何となくですが、クラシックな優雅なライフスタイルを感じました。
商品だけでは無いと、この商品がどんなところで生まれたのかを語っているようで、気持ちが高ぶりました。


前置きが長くなりましたが、
では、どんなシャツなのでしょうか?見ていきましょう。

Rigatti社のシャツ

この顔つきです。
衿腰は少し高めです。
現在販売されている衿腰の高さは3.5cm位ですが、このシャツは4.0cmあります。

全体のシルエット

次にシルエットですが、ウェスト部分の絞りはそれ程きつくはありません。
裾のカーブも緩やかで、差もありません。

ぱっと見は、「イギリス製のシャツかな?」といった印象でしょうか?

しかし、アイロンを掛けていくと、次々と職人技が見えてきます。

肩部分の袖付け
カフス付け部分

先ずは袖周り。
肩の付け部分は、いかにも手作業という箇所があります(写真最上)
肩のギャザー部分は機械付けでは非常に難しい部分。
ここに、ギャザーがあるのは伝統的なシャツの証拠です。
同様に、袖口付けも同様の技術が見られます(写真上)
タックという折りたたむ仕様が普通ですが、ギャザーとの併用というところが、
手作業で縫われていることが判ります。
その上、カフスの形状も手首にフィットするように、なだらかなカーブが取られていることが、生地の柄で解ります。
少しカフス丈が長いのも、クラシックさが漂います。

剣ボロの補強ステッチ
ハンドメイドのボタンホール
釦付けステッチ

釦ホールも少し趣が違います。
ステッチの送りを見れば、一目瞭然です。
袖口の補強ステッチも、ネクタイで見かける事はありますが、シャツでは珍しいです。(写真上段)オーダーのシャツで見かけたことはありますが、随分前の記憶です。
フロントの釦ホールは眠りハトメになっています(写真中断)
釦付けは鳥足型とも、百合の花型にも見えます。
フィレンツェの紋章は百合の花です)

更に、見えないところにも、手の込んだ仕様がありました(写真下)

裾(脇)の補強布
裾(脇)の補強布を持ち上げた状態

補強布も共地で作られています。
その上、フラシという部分付け仕様で浮いているのが判ります。
脇部分がヒップや大腿の動きについていけず、裂けることを防ぐための補強布ですが、現代では、それ程、ハードな動きはしないので、昔のな残りだと思われます。
最近の高級シャツには着いていますが、ミシン縫製用に簡素化されています。

所有者用織ネーム&原産国表示

所有者を識別するためのタグ(織ネーム)も付いていますが、これは、オーダー時代の名残りだと思われます。
英語表記なのは、イギリス製シャツメーカーへのオマージュかもしれません。

自分が考える究極の良いシャツとは、
1:肌触りが良い素材であること
2:身体に添う作りになっていること(きつくないこと)
3:縫製がしっかりしていること。特に脇縫いは巻き縫いになっている事
4:丁寧に作られていること。
5:愛着が持てること

特に2番目の項目は説明が難しいです。
身体に付かず離れずのゆとり感は何とも言えない着用感です。

イタリアの高級オーダーシャツはゆとりの無いぴったりした物が多い中、適度なゆとりが、エレガントと感じました。

シャツに関しては奥深いので、いずれまた説明いたします。

最後まで、お付き合いいただき、ありがとうございます。

では、またの機会に。


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