毒姉と私。夏に起こった出来事

 悩んでいることがあり相談しようとフリーダイヤルの自殺相談に駆け込むも電話が混んでいると機械音でこたえられ自殺しそうになる。

 私にとっての家族。高校までは自分の性格でトラブルが起こったり姉はわがままだなーと思う以外はなんてことなく平和な家族だったが、大学になって姉が自己中心的かつ自分の非を認めないといった嫌なところが目立つようになり家族でいることがしんどくなる。また、姉は家族ととても仲が良い一方で私は家族との価値観が違っていて仲が良くなかった。つまり、どんな姉との口喧嘩が起こっても姉の非を認めない性格+姉が家族と仲が良いというダブルパンチで悪いのは私の方になった。
 大学3年の頃、私に好きな人ができた。その相手とは始めはうまくいっていたと私は感じている。あくまで私は。客観的に見たらどうなのかわからない、ただの私の妄想かもしれない。一緒にご飯を食べたり、一緒に街に行ったり、一緒にカラオケに行ったり。その時期、あろうことか私は姉が以上の性格を持った人間だとは気づかず恋愛の相談してしまった。すると姉は

「そんなん遊びやって〜」
「お前じゃ無理無理〜」


と笑いながら否定した。そこで私は無理なんだろうと感じた。同席していた友達も笑いながら否定していた。齢21年にして恋愛経験ゼロ。つまり私に恋愛はできないのだろう。姉との恋愛相談の結果、そう感じるようになってしまった。好きな人と一緒にご飯を食べた後にアイスを食べて帰る機会があった。私はその子と手を繋ぎたいと思った。だが。

「そんなん遊びやって〜」


 止めてしまった。俺じゃ無理無理。その子にとったらまだ遊びなんだろう。もう少しがんばって反応が良くなってから手を繋ごう。そう思った。
 しかし、秋になると次第に以前よりも反応が悪くなった。ご飯を一緒に食べようと言ってもごめんなさいと言われるようになり、話してもいてほしくないような雰囲気を感じた。そして、冬になった。私は好きな人に一緒に帰ろうと言った。その時は珍しく「良いですよ」と言われた。おおっと思っていた。だが、それは間違いだった。

「彼氏ができました」


 私は現実を見つめることができなくなった。現実じゃないと動揺していた。その人が話しているのにもかかわらず思わず昨日聴いていたマクロス7の突撃ラブハートが脳内に流れ出す。終わった。もう無理だ。
 しばらくは私のせいだ、立ち直ってなんとか巻き返せないかと思っていた。色々ある恋愛の神社に何度も何度も足を運んで神様にお祈りしまくった。だが、無理だった。彼女の心に私は存在しない(多分)。存在していたとしてもゴキブリよりも醜い何かだろう。彼女と話している反応でなんとなく察してしまう。そして冬から半年ほど経ったこの頃、姉のことを思い出す。そして感じた。
 姉の「」さえなければわたしはなんとか勇気を出せていたのではないだろうか。俺は姉に人生を台無しにされた。なんてクズだ。
 家族に失恋の話をした。俺に非はもちろんある。だが、姉の「」のせいで俺は失敗したんだと。少しだけでも認めてほしい。それだけでも私の心は楽になる。しかし、現実は違った。

「姉は悪くない。お前が悪い」


端的に言うとそんな言葉だ。私は家族に絶望した。どうして他人の勇気をくじくやつに味方するのか。勇気くじきは悪だとアドラーが言ってたぞ。おかしいだろ。家族の話でろくな反応が得られなくなり私はストレスが爆発した。爆発した当時に意識はしていなかったのだが、とにかく食べた。ポテトチップスに炭酸ジュース、近くのコンビニに売られている半額の弁当。もちろん太った。ストレス太りってやつだ。実家に帰るまで太っていたことに気づかなかった。
 夏休みになった。実家に帰った。だが、実家にはやつがいた。姉だ。姉が私のでっぷりと出たお腹に気づいた。言葉が出た。

「うわっでっぶ〜」


姉の醜さがドッと見えてくる。姉はお前のせいで溢れ出たストレスによってでっぷりと太ったお腹をお笑いの種としてイジりだした。母も私のお腹を太っていると感じている上に姉と仲が良いので一緒に笑いだす。本当に酷かった。なんでストレス太りの元凶に俺のお腹をイジられないといけないんだろう。もう実家で正直に生きていると姉たちにろくなことを言われないと思い、太ったお腹を強調したりして嘘をつきはじめた。しつこいお腹ネタを逸らすために実際は全然行っていないのだが、パチンコに通いまくった私が大負けしまくった話を創り出したりもした。だが、パチンコで大負けした話よりもでっぷりと太ったお腹の方が気になるようだった。姉は医療系の学部に通っているため、健康にはとてもうるさかったのが理由だ。

「食べるもん減らしたほうがええって〜」
「あんたのためを思って言ってるんやで?」


うるさいぞ自己中。もう腹が立った。私は怒った。だが、姉も怒る。口喧嘩の始まりだ。ここでついに私は感情に任せて元凶である失恋の話を持ち出した。
 うおおおおお!…でも、やっぱり口喧嘩の勝敗に意味がなかった。私は口喧嘩に負けたのだ。そりゃそうだ。自己中かつ自分の非を認めないやつに勝てるわけ無いだろ。無敵すぎる。やがて何も知らない母が現れる。姉は被害者面しはじめた。姉のその気持ちを汲み取った母に私は

「なんで仲良くできへんの!!!兄弟なんやから仲良くし!!!!!」


と怒られる。手を取り合えない自己中と仲良くできるわけねぇだろ。仲良くなるならストレスが積もって病んだ末に俺が死ぬわ。とても感じが悪くなった。死にたい。死にたい。私はこの世の悪の象徴で姉はこの世の正義の象徴なんだ。アンリマユとアフラ・マズダって感じか。私はこの世に居場所なんてない。死にたい。死にたい。でも、死んだら死んだで家族が悲しむだろうと考えを巡らす。そうだ、そんな時はいのちの電話だと閃いた。でも、お金はかけたくないしなぁと思ってフリーダイヤルの自殺相談窓口に駆け込んだのだった。

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