もう一度ゼロから

昔々、祖父に言われたことがある。祖父は、モノを考え、考えることを文章にして生業にしていた人だ。わたしに文字も教えてくれた。そして、まだ幼かったわたしに、大好きなあま~いホットミルクを作ってくれ、机の向こうから淡々と、さまざまな言葉を託してくれた。幼くても対等に、一人前として扱ってくれた。こんな北風の吹く日は、祖父が懐かしく、そして恋しくなる。

そんな祖父の言葉の数々は、わたしの平坦とは言えないこれまでの人生のこころの支えになってくれた。今回助けになってくれた言葉は、これ。

「Yちゃん(わたしの下の名前)、ものごとは近づいてしっかり見ることが大切だけれど、時には距離を置いてみることも大切だよ。例えばね、リンゴの絵を描いているとするだろう。リンゴに近づいてリンゴを細かく観察して描くことも大切だけれど、時には、数歩下がって全体を見ることも大切だろう。近づいたままだと、全体の形や背景とのバランスなどが見えなくなるからね。そしてそれはね、人生にも同じことが言えるんだ。」

わたしは近視眼的になにかに夢中になり熱中し、その数歩が下がれなくなることがよくある。そのことを祖父は知っていたのかもしれない。

今回も同じだった。どっぷり星の世界に入ってしまい、そこから抜けられなくなり、息苦しくなり、たまらなくなってぜ~んぶ止めてしまった。身動きできない感じになったのだ。それで、突然休んだ。すべて休止してから半年くらいになる。もちろん、プライベートで星は見続けた。人生の一部だから。けれど、鑑定も予報もすべて休んだ。

その間、ケガをしたり、心の痛む出来事があったりして、すっかり憔悴してしまったこともある。逃げるように星に走りたくなったことも、衝動的に予報や配信に戻りたくなったあったけど踏みとどまった。

そしで、距離を置いた。自分の場所から、物理的にも精神的にも。周りの人たちからも。短い時間だったけれど、これまで経験したことのなかったことにも挑戦してみた。おかげで、何歩も自分の人生を、そして世の中を、下がってみることができた。

そうして、ようやっと今、改めてゼロからスタートすることにした。月はみずがめ座、そしてエネルギーはさそり座の新月。時々距離を置いて息抜きしながら、自分自身と世の中を見つめながら、続けて行ければ、と願いながら、もう一度スタートを切り直す。

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