祖父の原稿 16

  十六 明石海峡大橋マラソン

 平成10(西暦1998)年3月、日本に世界最長の橋が完成した。淡路島〜兵庫間の海峡に全長3910m、主塔高さ300mの明石海峡大橋を架け本州と四国が陸続きになった。橋の完成を記念して、(WAVA一世会ベテランズ陸上競技会。朝日新聞(朝日新聞創刊120周記念事業)主催。阪神淡路大震災復興支援レースとして、第4回世界ベテランズ、ロード選手権大会の開催となった。
 世界ベテランズは、1975年第1回陸上競技選手権大会をカナダのトロントで開いた。(第10回宮崎大会に出場する)一方ロード選手権大会は1992年イギリスのバーミンガム大会が始まり今回第4回として明石海峡大橋完成記念大会として当地開催となる。
 山陽線を舞子駅で下車し、大橋下に広がる海浜の会場に出た。波打ち際まで広がる会場は、世界から集まった1万7000人で埋めつくされていた。
 世界ベテランズは陸上競技とロードレース二部門がある。陸上競技第1回は1975年カナダのトロントで始まった。(第10回日本宮崎大会に出場する)ロード競技第1回は1992年イギリスのバーミンガム大会。それから6年後の今回第4回大会出場となる。
 種目(B)10kmロードレース。M75、ナンバーカード750134。競技者リストを受けとる。
 出場ランナー(A)ハーフマラソン5100、(B)10kmロードレース11000。(C)競歩男子30km。女子20km460約17000名の参加。特別招待選手ハーフに君原健二選手(57歳、オリンピックメキシコ大会で銀)、10kmロードに有森裕子(31歳、オリンピック、バルセロナ、アトランタ両五輪で銀、銅メダル獲得)の参加が俺を沸き立てた。
  
  ご挨拶。兵庫県知事。貝原俊民
 世界的なスポーツの祭典「第4回世界ベテランズロード選手権大会が、明石海峡大橋『バーブリッジ』を舞台に、アジアで初めて開催されますことを歓迎いたします。
 阪神淡路大震災からの創造的復興に取り組む兵庫県では今、この世界一の吊り橋はもとより、神戸や関西空港といった素晴らしい交流基盤を最大限に生かし、学術や芸術文化、経済といった幅広い国際的な交流が広がる舞台づくりを進め、高齢者も外国人も、誰もが生きる喜びが実感できる共生社会の実現を目指していきます。
 こうした中、”21世紀への夢と被災復興”への願いを込めた大会に、国内外からスポーツを愛する多くの皆さんが集い、日頃の練習の成果を競い合いながら、国籍や民族の違いを越えた暖かいふれあいの輪を大きく広げられますことは、誠に嬉しい限りです。
 選手の皆さんのご健闘を祈念いたしますとともに、この機会に、さらに輝きを増す兵庫の魅力を存分に満喫していただければ幸いです。
 最後になりましたが、開催にあたりご尽力いただきました世界ベテランズ協会(WAVA)をはじめ関係者の皆様方に心から感謝申しあげます。
 知事の挨拶は俺の高齢人生を変えた。

 B、10kmロードレースのスタートは丁度12時、10時発走したハーフの先頭集団が完走賞を受けて順々と帰ってくる取付道路をこちらは登って、トンネルの奥へ奥へと列を引張る。後ろから登ってきた若番ランナーからスタートラインについて後奥トンネル内の列は回れ右して前方へ列をつめる。1万人の長い列がスタートを待つ。
 大会参加に意義がある。やはりタイムを少しでも縮めたい。シューズは最軽を穿く。時計は重くなるから付けない。神経を使って参加したのに、こんな後尾に並んでは、スタートライン迄何分かかるか分からない。気に病んでいたら周りが動き出した。動きについて行くしかない。観念したがスタートラインを越したら混み合いがうすくなった。再スタートする。右に左に前走者をかわし隙間をこじ開け遮二無二突っ込んだ。半身でも速く追い越して前に出るオーバーペースとなって橋上に出た。さすが世界最長の吊り橋、日本技術の粋を集めた優雅な体型に酔い、予想以上に長い吊り橋の登り坂を歯を食いしばって越えた。下になると鳥の気分になって海を見ながらトンネルに向かってラストスパートを掛ける。
 結果はM75で3位となる。さらに団体男子75(1、2、3位3名)に入って優勝のおまけまで付いた。

 

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