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「キメッ!そしてターンしてアホーは無い。」2024.7.17 UP

この話は和歌山「ヤクザ、成田久吉」と「和宗、的場竹四郎」の珍劇場です。的場竹四郎とはどういう男だったか久吉がお送りします。

「おう!邪魔するで?!」

「またお前かいな?邪魔するんやったら来んなていうてるやろが?」

「おう、竹四郎か?オヤジおるか?」

「気安く名前で呼ぶな、女とこいっとっておらんわ、忙しいし、お前みたいな木偶の坊おったら仕事場狭まなる、いね。」

「なんやと?!俺は寿屋の松尾の親戚やぞ?!」

「だからあかんのや、あんな店の仕事置き去りにして女のケツばっかり追いかけよるもんがなんの大将や?いいからいね。」

「う・うう」

「お前中々見込みあるな俺にそんな口の利き方できる奴も中々おらんで?いい根性しとるやないか?どうな?俺の盃やろか?」

「いい根性しとるのはお前のほうや、いいからいね。」

「まあ、オヤジに来てたていうといてくれ、邪魔したな?」

「・・・」

場所は変わって

「おう、帯井の大将邪魔するぞ?!」

「おい!またお前か?どこいっても邪魔なんやからウロウロするなて言うとるやろが?」

「おう!竹四郎か?奇遇やな?何読んどんねん?」

「・・・」

「おう!週刊誌か?お前そういうの好きなんか?」

「別に好きちゃうけどタマタマ目についただけや、影になって暗いからどけ。」

「もう今日は仕事終わりか?ほな丁度飯時やし飯おごったるわ、三笠いこら?」

「・・・」

「嫌やけどいったるわ。」

「おう、おう、そうか?ほな行こら?何食いたいんや?」

「近寄るな!離れて歩け。」

「女将、俺しょうが焼き」

「お前何するんや?」

「ミックスグリル」

「おうエライ、ハイカラやな?ガリガリやのに痩せ子の大食いやな?松尾の太平洋に米粒一個浮かんだオモユじゃまあそんなもんよな?俺みたいに武人に成長せえよ?」

「お前アホちゃうか?そんなもんお前ら渡世だけで使える図体やろが?はよ檻はいれよ。」

「おいおいケッタイな物騒なこというな?まあええ来た来た食べよら?」

「チッ!!」

「チッ!って・・・」

「おい久吉、このキュウリ二枚やるからそのしょうが焼き一枚よこせ」

「おい、お前そんな殺生な。ヤクザよりえげつないな?2枚しかないのに、それは無理や。」

「ほな三枚」

「無理」

「ほなこの付け合わせのキャベツもこんなけ付けたるさかいに」

「お前そうとうひもじいんやな?やるわ、事務所でまた何か食うわ」

「おおきに」

「食べ終わったか?ほな帰ろか?女将・・・あれっ札が2000円しかあらへんわ、お前細かいの無いか?350円や」

ポイッ、竹四郎が釣り銭入れに小銭を投げ入れた

「おい?!お前そんなお金を粗末にというか、失礼なことしたらあかんで?」

「お前にいわれたないわ」

「女将すいまへんまた来るわ、はよ来い、帰ろら」

「もうお前、帝国向いて帰れ」

「お前そんな殺生なおごってもろといてそれはないやろ?」

「いいから」

「ほな、またおごったるからな?」

「もういい」

「まあまた」

「おう」

後日1週間ほどして、

「おい!」

「お、なんや竹四郎か?どないしたんや?」

「お前とこの若いもんがくすねた自転車、質入れて俺の名前書いとったんや、この落とし前どうつけてくれんねん?」

「ほっ・ほんまか?俺しらんねん・・・落とし前てそれは俺らが普通、請求することやぞ?」

「3000円でいいわ」

「お前3000円て法外やな?まあしゃーないわ、おい、3000円出せ。」

「悪かったな?ほなこれ3000円、もうよう言うとくからよ堪忍」

「確かに。」

「おう!これ誰や?」

「オヤジ、俺です。」

「お前桜井・・・あれほどアイツはアカンて口酸っぱくいうとるやろが?」

「いや、ほやけど、オヤジに対して失礼やし。」

「俺が失礼なんや。もうやめとけよ?お前には俺もあんまりキツク言えやんのも察してくれよ?ええ子でな?」

「すんまへん」

その日の夕方・・・

「おう、成田?なんしとんねん?」

「おう竹四郎か?いつぞやはすまんかったな?はぶりええみたいでアイスキャンデーか?」

「おう、風呂の帰りや」

「まあ座れよ?」

「なんでやねん?汚い、何か話か?風呂行ったて言うとるやろ?立ったまま聞いたる」

「おう・・・」

「まあ俺もな?何の因果か死闘の果てに和歌山の頂に昇りつめたんやけど?なんでこんなことしてんのやろ?と思てよ?」

「アホやからやろ?それと付け加えると「迷惑の上に」で「和歌山のはみ出し者の中で」や」

「うんうん。」

「でもな?まあ一本化せんと安定せえへんて言うこともあるやろ?」

「無いほがいいやろ?」

「いや、まあそうやけど、もうあるもんしゃーないがな?」

「そうやな、帰る」

「ほうか、またな?」

「おう」

《END》







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