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光と図形

田部井美奈さんの作品集「光と図形」がADC賞を受賞とのことで、お祝いの場があった。展示の中での照明制御を担当したということで、自分も呼んでいただき参加してきた。

やはりこういう時はその作品のことを思い起こすもので、鮮明に記憶が蘇ってきたので、書いてみる。

展示についての相談

田部井さんの旦那さんの中原さんとよく仕事をしてるということもあり、相談をいただいた。「光と図形」の作品のビジョンが明確に決まっていて、撮影はまだだったが、やりたいことははっきりしていた。その作品の展示の時に、作品の成り立ちである、立体とその影によって構成されるグラフィックという構造を観る側に柔らかくも正確に伝えたいとのことだった。そこで、展示会場で照明とオブジェ、その位置関係を動かし、一瞬の成立した瞬間を意識させるものを作りたいと。そんな相談だった。

最初は、オブジェの方を動かすという話も出ていたが、大掛かりになりすぎることと、印象が強くなりすぎる懸念があるので、最初の相談を受けたミーティング時に照明を動かすプランにしようという話になった。

大げさにならないためにも、コスト的にも「回転運動」がベターだろうとなり、照明を回転させる方法を考えることになった。

設計製作

展示までの期間も確かタイトで、迷ってる暇はなく、チャットツールでやりとりしながらどんどん詳細を決めていった。どんなパーツを使うか、どんな見た目が望ましいか。などなど。

とりあえずパーツを選定し、CAD上で組み立ててみたのが下のCGだ。

ちょっとだけメカっぽい話をすると、回転する先に照明があるということは、なにもしないと照明の電源の配線がねじれてしまうことになる。こういうときはスリップリングというパーツを使う。これを使うことでいくら回転させても配線がねじれず安定して接続が保たれる。スリップリングが中空、もしくは回転軸が中空でないといけない。今回は中空の回転軸にすることにし、本来の用途とは違うが使えそうというパーツを選定した。モーターの回転はタイミングベルトを使って回転軸に伝える。そのためタイミングプーリーが必要になるが、ここはあえてCNCでプーリーパーツを切削してみた。シンプルな構造にもなるし、なにより作ってみたかった。

会場設営

写真は弊社スタッフの佐藤。実質的な作業は全部やってもらった。

会場での設置の仕方などは中原さんと相談して決めた。いいところに鉄骨が走っているので、そこにつけさせてもらった。回転するダクトレールが追加された感じ。

完成したものはなんともいい具合で、作品にもあるカットを再現してる状態でしばらく静止、動いてまた静止というループになっている。平面のポスターとしてあるものと同じものが立体で置いてあるだけでも伝わる部分はあると思うが、影が動くことで理解が早まる、そして動くものは魅力的というそういうバランスだと思う。

動く装置をさらっと使うという点でも自分の好みとも合致するし、平面の作品そのものも素晴らしく、とても楽しい仕事だった。

田部井さん、受賞おめでとうございます。


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