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siroという会社をつくるまで

会社を作るまでの経緯に絞って書いてみようと思います。

フリーランス

私、松山はフリーランスとして仕事をしてました。多摩美術大学の大学院を卒業してからチラッと就職しましたが、3ヶ月で辞め、そこからフリーランスとしてスタート。MacOSアプリの開発者としての仕事はほとんどないのですが、なんとかやってました。ネイティブ開発の仕事はなかなかなくて、Directorの機能拡張(呼び名忘れた)を作る仕事とかもやったり、作家のサポートとしてマイコン使った基板作ったり、いろんなことやってました。

メディア・アート

自分を振り返るにおいて外せないのが、メディア・アートかと思います。高専の終わりのころか、大学に編入したあたりでNHKの「ようこそ先輩」で岩井俊雄さんの回をみました。「まじか、こんな仕事あるんか」と衝撃を受け、こんな面白そうなことで食えるならやりたいなぁ。とぼんやり感じたのがメディア・アートを知った最初かもしれません。

もともと小学生ぐらいから「コンピュータでなにができるのか」という可能性については追いかけていたので、プログラミングを趣味にしつつ、人工生命の特集番組をみて原田大三郎さんとかを知りCGにも興味をもったり。なんかこう振り返るとコンピュータを軸にしつつなにか創作のようなエリアを眺めて来たというのがあります。姉は絵を描いていたり、デザイン系を掘り下げていたりしたので、それを見て面白そうと感じてたことも影響がありそうです。

アトリエオモヤ

あまり語ってきませんでしたが、鈴木太朗が率いるアトリエオモヤには関わりがあります。というか、オモヤを作った3人の一人が自分です。

鈴木太朗さんも自分も、たまたま「泡でなにかを表示する装置」を作っていたという共通項があり、作品をきっかけに知り合いました。自然現象を使って作品を作るというのが当時自分のテーマでもあったので、それと極めて近いことをやっていた鈴木太朗さんとはライバルのような意識もしましたが、いっそ手伝ったほうがお互いにとって凄いことになるんじゃないかと思ったこともあって「なにか機会があれば手伝うから」と伝えておいたのを覚えています。

それがあってか、鈴木太朗さんが忙しくて困ってたからか、Water Canvasを手伝うということがありました。自分が作っていたBubbly Vision(今はAWAMOJIに名前変えた)とは似ているけども大きく違う作品。自分の作品は文字を出すことを中心にして、視認性を重視するということで粘性のある液体を使います。コミカルな印象。それに対して、Water Canvasは、水にこだわりそこに出す小さな泡がゆらゆらと登っていく様子を重視しています。それが全体では模様を描く。幾何学図形など。

自分はエンジニア的な匂い。鈴木さんは美術的な匂い。思考する脳みその構造も違いそうですが、ほとんど同じことを考えていたということを感じたりして刺激を受けました。なつかしい。

MONGOOSE STUDIO

アトリエオモヤの活動のあと、アトリエオモヤを作ったときのもうひとり、八木澤優記さんと一緒にfuwapicaというプロジェクトをスタートしました。八木澤の作品として「ふわふわぴかぴか」を作るときにインタラクションを追加したいとのことで相談を受けました。空気で膨らんだバルーンで作られた立体作品だったので、それに対するインタラクションは、空気圧を検知することがいいだろうと思い、なんとか試行錯誤で作りました。これがとても面白い。

この作品の発展としてfuwapicaシリーズを展開してきました。さまざまなところで展示をし、最終的には六本木ヒルズの展望階でのクリスマスイベントや、空中庭園の展示など仕事でも多数展示や納品をしてきました。

この活動をするのに、デザイナーやその他の知恵もほしいということで、人を集めました。チームができてきたので、そのチームに名前をつけたのがMONGOOSE STUDIO。さまざまなメンバーに恵まれ、さまざまなコラボレーションがうまれ、作品もいろいろ作りました。

漠然としてますが、MONGOOSE STUDIOの活動ではいかのようなテーマを考えていました。当時はとにかくアートとして作品を発表するといろんな展示会に呼ばれてひたすら展示をしていました。それぞれの作品には、展示の体験時間では感じ取れない面白い感覚がたくさん潜んでいます。なのに、それを伝えるのは難しい。それなら、買ってもらって家に置いてもらったらどうか。いっそ家具のようなものやインテリアとしても存在できるようなものにしたら、みんなが家に置いてくれるんじゃないか。そんなことを考えながら作っていたので、デザインとアートの中間領域みたいなトーンのものができていきました。

仕事の内容

とかなんとか、アート的なことをやりながらも、フリーランスとして仕事もしてました。フリーランスの時のポートフォリオサイトはこれです。

仕事の方でもアートっぽいのが多いです。ある時からアーティストやインスタレーションを手掛けるデザイナーの人たちから相談をうけてサポートするという仕事が来るようになりました。芸大の人たちと作品を作っていたこともあって、そのつながりですね。多摩美の先輩でもある久世さんからの紹介もありました。当時不思議な仕事をたくさんしてました。フリーランスのエンジニアというトーンでやってましたが、今思うとこれは美術に近い内容かもしれません。

猛烈に展示の仕事

フリーで仕事をしていくうちに、展示の仕事ばかりやっている自分に気が付きました。作家のサポートもそれは大抵が展示のための制作。時々来る科学館や博物館の仕事も展示の仕事。で、そんな仕事を沢山やっているPROTO TYPEに入れてもらって仕事をしてた時期があります。猛烈に展示の仕事をやりまくっていた記憶があります。MONGOOSE STUDIOの活動もやりつつ(展示ばっかり)、会社の仕事もやりつつ(ほとんどが展示)。

MONGOOSEでは、リーダー的なポジションだったので、プロデューサー的な振る舞いとクリエイティブディレクター的でかつメインエンジニア。なんか守備範囲広めでやってました。仕事の方は、CTOですね。設計や見積もりとかやりつつ、実務でコード書いたり基板作ったりしつつ、外注のプログラマーの仕切りとかやってました。

OpenGL

展示の仕事でもジェネラティブな表現というのは求められるもので、OpenGL直で書いてシステム作ってました。OSXでやり始め、iOSでも。iOSはOpenGL ESしか動かないので、なんか大変だった記憶が、、。

電子工作

展示の仕事で、特にセンサーとかハードウェアとの連携を得意としてました。カメラをきっかけにするものもやってました(画像処理とか一通り)が、やっぱり触れるインターフェースが好きで、センサーとかもたくさん使ってました。そのためにはマイコンの回路とか設計したほうがスマートに作れるので、ひたすらやってました。僕は当時PIC派。プリント基板を発注するとコストが妙にかかる時代で、枚数もたくさん作らないので、エッチングでプリント基板作ってました。しかも、なんかIllustratorで設計してた。。見た目を気にするんです。頭おかしい。ロゴも綺麗に入れたいし、とか。Eagleに慣れず、ひたすらIllustratorで基板設計。

そんな時期を経て、Arduinoが出てきた当時は、完全に邪道だと思ってたんで、使うもんかとやってましたが、ライブラリが豊富すぎて便利すぎて最近は積極的に使ってます。。

再びフリーランス

会社員の時期を経て、またフリーランスに戻ります。結婚して家買って子供が妻のお腹にいるあたりでの独立。フリーランス万歳だと思ってましたので、法人作らずフリーランスになりました。3年ほど会社員してましたので人脈失ってましたが、周りの方の助けもあってなんとか上手く移行できました。

アプリ開発

iPhoneのアプリ作ったりは会社員の時からやってましたが、これに可能性を感じてたので、フリーランスになってからいろいろ模索してました。個人でいくつかアプリをリリースしてみたり、アプリの開発案件を受けたり。もともとMacのプログラマーなんで、iOSは天国で、OSXよりもシンプルで洗練されたフレームワークを使って楽しくアプリ作れました。

作家時代からつながりのある遠藤拓巳さんの会社Dividualからの仕事もやってました。上記のHouse Makerもそうですね。他に展示などで使うアプリを作る仕事から、サービスの企画とモック開発とか。

実はOSXアプリ開発者

アプリ開発と縁がないように見えた展示仕事ですが、実は、その間はほとんどOSXアプリとして展示システムを開発してて、Cocoaのフレームワークを活用してOSXらしい画面作ってました。気分的にはAppleのUIのトレンドを追いかけてましたので、自力でさまざまなUIにチャレンジしたりしてました。展示のシステムなのに設定画面が超リッチだったりして、、。

上記は某仕事の管理画面。接続されたMacProやiPod touchがアイコンで表示されるようにしてみたり、再生されているマルチチャンネルのオーディオも波形をわざわざOpenGLでレンダリングしてたり。

展示の仕事を猛烈にやってた時、実はOSXのネイティブアプリを猛烈につくりまくってたわけです。

こだわり

うっかり長くなりました。エンジニアって言ってますが、UIデザイナーとしてもかなり試行錯誤してて、展示システムにおいては、フロントもバックも開発してて、ソフトもハードも深くやってます。アプリ開発者としてもiOSについては深くやってます。

アート表現もやってるので、コンセプト考えたり見せ方考えたり、コストやりくりしたり。あたまからお尻まで全部やってますね。あんまりこういう人いないのかと思います。

ここ最近いろんな人に会って話していくうちに、自分をエンジニアと名乗るとかなり誤解が生じることがわかってきました。かといってなんて言えばいいのかわからんのですが、アートデザインエンジニアですかね、、、あやしげかな、、。

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