ルパン三世 宮崎駿制作作品に対する私論

 宮崎駿がゴールデングローブ賞を受賞したとの報を受けての記事。
 ホントは他のネタを先にやる予定だったのだけれど。
 受賞作品は観ていないのでそれには触れない。
 そのうち日テレでやるだろうから縁が有ったら観ることもあるだろう。
 
 ルパン三世シリーズでの代表作品と言えば、かなりの人が上げるであろう作品が『カリオストロの城』ではないかと思われる。
 映画での興行成績は前作より低かったと言われているが、日テレで繰り返し放映される人気となった。
 宮崎作品はあまり好みではないのだが、結構な頻度で再放送をやってるので数回は観ている。
 作品としては勧善懲悪のテンプレート的で楽しく見れる作品だろう。
 ルパンが駆け出し時代にドジ踏んだ時に助けてくれた少女の危機を救って立ち去っていく。
 その筋書きに宮崎アニメらしさをを散りばめればこうなるってところだろう。
 ただ、この作品を観ていてずっと違和感があったのも事実。
 それがなんなのかどうしてもピンとこなかった。
 
 そんなもやった状態でずっといたのだが、日テレが人気のあるルパン作品をまとめて金曜ロードショー枠でやっていたのを観た時にこれなのかって気付かされた。
 
 その時にやったのが『死の翼アルバトロス』と『さらば愛しきルパンよ』だった。
 TVシリーズの一作で見る機会がなく、この時が初見だったのだが。
 
 宮崎駿制作のルパン作品に感じた違和感。
 
 『これってルパンでなくても良かったんじゃね?』
 
 身も蓋もない話しだが、まさにそれだった。
 『カリオストロの城』『さらば愛しきルパンよ』は少女の危機を救う脚長おじさん的な役回りをルパンが担っていた訳だが、それルパンがやる必要有ったの?と。
 第1シリーズのルパン三世にあった、地下社会の住人といった影がどちらの作品にはない。
 どこかの番組で『カリオストロの城』の中で偽札工場で銭形と会話する中で、ルパンが一言だけアウトローな一面を観せたと解説してたのを偶然観たけれど、山田康雄のアドリブだったのか宮崎駿があえて演出したのかは解らないけれど、本来のルパン三世はこうなんだってのを解っていながら良いおじさんを演じさせてる、いわば確信犯的な作品なんだなと。
 
 『死の翼アルバトロス』はそんなところはないけれど、以後の宮崎アニメにあるようなドタバタを楽しく観せる手法の原型的な作品で、ルパン三世の第2シリーズならこちらの方が合ってはいる。
 以後に作られたスペシャル作品も似たような感じの作品が多い様に思えるが、30分モノって時間の制限を外されると結構間延びしてしまうもんなんだなと。
 ただそれも、登場人物の紹介に費やす時間が要らないから即本題に入れるというのは無視出来ないだろう。
 逆に言えば人物のキャラを描く時間を取れればルパン三世で無くても良かったストーリーとも言える。
 
 『カリオストロの城』『さらば愛しきルパンよ』を通じて言えるのは、ルパンは全く利益を得ていないのだ。
 『カリオストロの城』はカリオストロ公国の偽札技術を盗む事が出来なかった。
 『さらば愛しきルパンよ』は濡れ衣を晴らすってのは合ったかもしれないが、偽物の上前をはねるくらいのことをするのがルパン三世って男だろう。
 
 ヒロインのために奮闘努力するがえるものがないエンディング。
 これってどこかで・・・と考えを巡らせて思いついた。
 
 寅さんじゃん。
 

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